5 月号ピックアップ記事 /インタビュー
手には技術、頭には知識、患者さまには愛を 蒲池眞澄(カマチグループ創設者・CEO)

九州・関東圏に26病院5551床、6つの看護・リハビリ専門学校(うち1大学)を運営するカマチグループ。山口県下関市の19床の診療所からスタートし、一代で日本屈指の医療法人へと発展させたのが蒲池眞澄氏、84歳。豪胆無比な人格と経営手腕で〝怪物〟との異名を取る氏の独立独歩の経営人生から、組織を繁栄に導く要諦を探る。
[写真=回復期リハビリ病院として日本最大級の332床を誇る「原宿リハビリテーション病院」。JR原宿駅から徒歩8分という好立地に位置し、病棟からは富士山、新宿高層ビル街、代々木公園、東京タワーなどが望める]

リーダーは逆境や試練に動じないこと。
言行一致で志を貫くことで、必ず道は拓けてくるんです
蒲池眞澄
カマチグループ創設者・CEO
――蒲池さんがCEOを務めるカマチグループは、2024年に創設50周年の節目を迎えました。いまどのようなご心境ですか?
〈蒲池〉
我ながらよくやったと思っています。19床の病院から始まり、いまでは九州・関東圏に26病院、6つの看護・リハビリ専門学校(うち1大学)を運営し、総勢1万5,000人のスタッフを擁する医療グループに成長しました。
欠点だらけの僕がここまで続けてこられたのは、素晴らしい人たちと出逢い、助けられてきた恩恵に他なりません。その感謝を胸に初志貫徹してきたことが、今日の発展に繋がったんじゃないかな。
僕はこれまで84年生きてきて、僕の生きる力が足りんと思ったことは一度もない。いまも毎日グループの全病院から上がってくる患者さんの記録を必ずチェックし、細かいところまで指導しています。また、毎月2回は関東に出張してグループ病院を回ったり、取引先の方と会ったり。問題はどこでもいつでも起こる。その都度解決しなければいけないからね。
――とても84歳とは思えないバイタリティーに圧倒されます。カマチグループが多くの人々に支持される理由をお教えください。
〈蒲池〉
開業時から一貫してきたのは、「患者さんのための医療」を提供することです。ほとんどの医者は患者さんの痛みの原因を突き止めることが治療の第一義だと考えている。一見正しそうに聞こえるでしょう? でも逆の言い方をすれば、原因が分かるまで患者さんは苦しみから解放されない。それって本末転倒でしょう。
患者さんが「痛い」と言えば、鎮痛剤を使ってすぐに痛みを取ってあげる。「死にたくない」と言われたら、命が長らえるように手を尽くし切る。これが医療の本来あるべき姿だと思うんだよ。
――患者さんの要望に真摯に応じることが病院の役目であると。
〈蒲池〉
そう。だから当グループでは、24時間365日救急車を受け入れる。2008年には……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~(全4ページ)
◇大和民族のための医療に邁進して50年
◇名医よりもまず良医たれ
◇看護師教育こそ最大の患者サービス
◇1%でも助かる可能性があれば全力を尽くす
プロフィール
蒲池眞澄
かまち・ますみ――昭和15年福岡県生まれ。40年九州大学医学部卒業。虎の門病院、九州大学大学院医学研究科、下関市立中央病院、福岡大学医学部などの勤務を経て、49年山口県下関市でカマチグループの礎となる「下関カマチ医院」を開院。現在は、九州・関東圏に26か所の病院、6か所の看護・リハビリ専門学校(うち一大学)を運営する。社会医療法人財団池友会理事、一般社団法人巨樹の会会長、医療法人社団緑野会理事、学校法人巨樹の会理事長を務める。
編集後記
取材は2月26日(水)、福岡和白病院(福岡県福岡市)にて行われました。様々な資料や写真を手元にご準備くださり、多くの方々に支えられていまがあることを力説される姿が印象的でした。

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