5 月号ピックアップ記事 /インタビュー
かくして日本一の鮮魚店をつくってきた 前田尚毅(サスエ前田魚店代表)

独自の技によって、大衆魚を高級魚に勝るとも劣らない味わいに仕立てる名人がいる。サスエ前田魚店代表の前田尚毅氏だ。店舗は静岡県焼津市に一つのみ。氏は地域住民に愛される町の魚屋としての顔を維持しつつ、国内外の一流料理人がこぞって仕入れを希望する世界的名店に育て上げてきた。一匹の魚に命を懸け、試練を越えてきた不屈の半生に迫る。

諦めないで頑張るだけじゃ駄目。結果って絶対に必要なんです。
誰もが諦めることを諦めないで結果を出す人。それがプロだと思います
前田尚毅
サスエ前田魚店代表
——静岡・焼津に国内外から注文が殺到する鮮魚店があると聞いて伺いました。一見どこにでもありそうな「町の鮮魚店」が世界中から注目を集める理由はどこにあるのでしょうか。
〈前田〉
サスエ前田魚店は1960年、静岡県焼津市で創業した老舗の魚屋です。初代・前田英逸から数えて、私で5代目になります。創業以来、鮮度がよく美味しい魚をリーズナブルな価格で提供し続け、地元の住民や飲食店に長らく愛されてきました。
飲食店の取引先は国内外に100軒ほどを数えますが、販売先を県外に広げたのはつい14年ほど前のことです。ミシュラン三ツ星店をはじめ一流料理人にも重宝される理由は、魚のうまみを極限まで引き出す「仕立て」の技にあります。うちが主として扱っているのは、鯵や鰯などのいわゆる大衆魚なんです。けれども、この仕立てによってどんな大衆魚も高級魚に劣らぬ味に昇華させることができます。
高級魚は確かにおいしいですよ。でも、50円の鰯が1万円の魚を負かしたらすごくないですか? それを狙いたいんです。……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~
◇魚の温度と人の温度
◇未明まで繰り広げられる魚談義
◇親方との約束
◇日本一の魚屋と呼ばれるまでの道のり
◇土俵際の美学
プロフィール
前田尚毅
まえだ・なおき――昭和49年静岡県生まれ。水産高校卒業後、水産会社で荷受や仲卸しを学び、平成7年家業であるサスエ前田魚店に入社。令和6年に代表取締役に就任。地域に愛される町の鮮魚店としての顔を維持しつつ、県外への販路拡大、寿司やどんぶりの提供など新たな施策を次々に推進。ミシュラン三ツ星の名店をはじめ、国内外の一流料理人から仕入れの依頼が殺到する繁盛店を築く。著書に『冷やしとひと塩で魚はグッとうまくなる』(飛鳥新社)『サスエ前田式 最高に旨い魚の仕立て術』(産業編集センター)がある。
編集後記
日本有数の水揚げ高を誇る魚の町・焼津で、60年以上の歴史を有するサスエ前田魚店。本記事は、いわゆる「町の鮮魚店」だった同店の名声を世界まで轟かせた前田さんの半生に迫っています。その仕事ぶりはまさに命懸けそのもの。打たれても打たれても立ち上がる、「不撓不屈」とも呼ぶべき歩みに思わず心を打たれます。

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