組織を繁栄に導くリーダーのあり方 尾山 基(アシックス社長CEO) 山本良一(J.フロントリテイリング社長)

時代は未曾有の大変化を迎えている。これまでの常識を覆す変化が求められる中で、リーダーはいかにして組織を導いてゆけばよいのだろうか。世界的なスポーツ用品ブランドを率いる尾山基氏と、新時代の百貨店経営に果敢に挑む山本良一氏に、各々の足跡を交えながら、組織を繁栄に導くリーダーのあり方を語り合っていただいた。

意思決定というのが、トップの一番重要な役割

尾山 基
アシックス社長CEO

「ライバルのナイキはスニーカーで大ブームを巻き起こしていましたが、当社はバブル崩壊の影響や、商品のデザイン性に乏しかったことなどから、1998年度まで7期連続の赤字で、株価も一時60円まで落ち込んでいました。『アシックスはスリーピング・タイガー(眠る虎)だ』とまで言われて、脳裏には『倒産』の二文字がハッキリ浮かんでいましたね。
 しかし、厳しい状況に陥ったことで、逆に自分たちが本当に強い分野は何かを真剣に見つめ直すことができました。当社の歴史は、鬼塚が全くの素人からスポーツシューズをつくったところから始まりました。私は、この苦境を打開するには原点回帰しかないと考えて、ランニングシューズに経営資源を集中する戦略を打ち出しました。幸いにも健康志向の高まりで世界中にランニングブームが広がり始めましてね。スリーピング・タイガーを叩き起こすことができたんです」

絶対に勝たなければならないプレッシャーの中で勝つ。自分たちで何をするべきかを考え、勝つことに情熱を燃やしていました

山本良一
J.フロントリテイリング社長

「バスケットボールに打ち込んだ学生時代の四年間で、本当の意味で勝つためのリーダーシップというのを叩き込まれました。二、三年生の時に優勝していましたから、四年でも絶対に勝たなければなりませんでした。絶対に勝たなければならないプレッシャーの中で勝つ。そのために何をすべきか、仲間と結構議論しましたね。
 監督やコーチもいましたけど、私は「自分たちのチーム」だと考えていましたから、自分たちで何をするべきかを考えて、勝つことに情熱を燃やしていました。リーダーシップというのは、子供の頃からの体験を通じて養われるものが大きいと思います」

プロフィール

尾山 基

おやま・もとい――昭和26年石川県生まれ。49年大阪市立大学商学部卒業。日商岩井(現・双日)に入社。57年アシックスに入社。マーケティング統括部長、アシックスヨーロッパ社長、アシックス本社取締役、常務などを経て、平成20年社長に就任。23年社長CEO。同年、世界スポーツ用品工業連盟第13代会長に就任後、現在は同副会長。

山本良一

やまもと・りょういち――昭和26年神奈川県生まれ。48年明治大学商学部卒業。大丸に入社。大阪・梅田店営業企画部長、百貨店業務本部営業改革推進室部長などを経て、平成15年社長に就任。19年大丸と松坂屋の経営統合に伴い設立された持ち株会社のJ.フロントリテイリング取締役。22年大丸松坂屋百貨店社長。25年J.フロントリテイリング社長。


編集後記

私たちが直面する社会変化の凄まじさを強く実感させられたのが、アシックス社長・尾山基さんとJ.フロントリテイリング社長・山本良一さんのご対談でした。過去に大きな成功を収めてきた名門企業の舵取りを担うお二人が、これまでの延長線上では生き残れないとの強い危機感をもとに奮闘される姿が印象的です。

2017年3月1日 発行/ 4 月号

特集 繁栄の法則

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