いまをどう生きるのか 横田南嶺(臨済宗円覚寺派管長) 阿 純章(天台宗圓融寺住職)

花が咲いている。精いっぱい咲いている。私たちも精いっぱい生きよう──かの松原泰道師の言葉である。その言葉に導かれ、40年にわたり禅の道を歩んできた横田南嶺師と、宗祖伝教大師の法脈を継ぐ天台の名刹を担う阿純章師。それぞれの道で真理を追究してきたお二人に、人間いかに生き、いかに花を咲かせるか、語り合っていただいた。

人間は明るい顔、笑顔で人生に美しい花を咲かせることができるんです

横田南嶺
臨済宗円覚寺派管長

 私が禅の道を志すきっかけとなったのは、松原泰道先生から「花が咲いている。精いっぱい咲いている。私たちも精いっぱい生きよう」という言葉をいただいたことが原点なんですが、長く思い悩んでいた私が明るく生きるきっかけを与えてくださったのも、松原先生でした。
先生は101歳でお亡くなりになりましたが、最後にお目にかかった時に「明るい顔になってよかったね」と言ってくださったんです。私はそれを先生の最後の教えと受け止めて、努めて明るく生きるよう心掛けてきました。
 明るい顔をして生きていくことですよ。人間は明るい顔、笑顔で人生に美しい花を咲かせることができるんです。

花というゴールはずっと先にあるのではなく、いま歩んでいるその足元にあると思います

阿 純章
天台宗圓融寺住職

 人生の局面の一つひとつも何かの手段だと思うと取るに足らないものに見えてしまいますけど、それも美しい人間の花の大切な一つだと思って、いま自分が歩いているこの一歩一歩を慈しみながら生きていくことが大切だと思います。
 お釈迦様がお生まれになった時に、7歩歩いてその足跡に花が咲いたというエピソードがありますが、花というのは歩いた先にあるのではなくて、歩いたその足跡に咲くものなのではないかと思うんです。花というゴールはずっと先にあるのではなく、いま歩んでいるその足元にある。そしてふと振り返った時に、人それぞれに素晴らしい花畑が後ろに広がっているのだと私は思います。

プロフィール

横田南嶺

よこた・なんれい──昭和39年和歌山県生まれ。62年筑波大学卒業。在学中に出家得度し、卒業と同時に京都建仁寺僧堂で修行。平成3年円覚寺僧堂で修行。11年円覚寺僧堂師家。22年臨済宗円覚寺派管長に就任。29年12月花園大学総長に就任。著書に『人生を照らす禅の言葉』『禅が教える人生の大道』(ともに致知出版社)など多数。

阿 純章

おか・じゅんしょう──昭和44年東京都生まれ。平成4年早稲田大学卒業。15年同大学大学院文学研究科東洋哲学専攻博士課程退学。大学院在学中、北京大学に中国政府奨学金留学生として留学。帰国後、早稲田大学、専修大学等で非常勤講師を務める。現在は天台宗圓融寺住職、円融寺幼稚園園長。著書に『「迷子」のすすめ』(春秋社)。


編集後記

本誌連載でもお馴染みの臨済宗円覚寺派管長の横田南嶺さんには、天台宗圓融寺住職の阿純章さんとご対談いただきました。宗派は異なるもののお二人のお話はとても弾み、終わりのない禅の工夫や、幼稚園児から得た気づき等々、たくさんの印象的な話題を通じて、いま、ここに花を咲かせるための道を示していただきました。

2018年6月1日 発行/ 7 月号

特集 人間の花

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