道なき所に道をつくる 小西忠禮(関西シェフ同友会会長) 木村秋則(りんご農家)

不可能といわれた無農薬・無肥料のりんご栽培を成功させ、いまは日本の農業を変えるべく奔走する木村秋則氏。世界一の名門オテル・リッツに日本の料理人として初めて職を得、現在は幼児教育に邁進する小西忠禮氏。その〝奇跡〟ともいえる各々の実績はいかにして成し遂げられてきたのか。道なき道を歩んできた二人が語り合う、人間の花、人生の花──。

小さな感謝を積み重ねることによって、人は人生に大きな花を咲かせることができる

小西忠禮
関西シェフ同友会会長

 人生というのはまさに、ありがとう探しだと思うんです。日々、小さなありがとう探しをすることによって、どれだけ人生が豊かになるか。小さな感謝を積み重ねることによって、人は人生に大きな花を咲かせることができる。そう私は思うんです。

皆のためにと思ってやってこそ、初めて社会がそれを押し上げてくれる

木村秋則
りんご農家

 自分の得ばかり求めても、結局何もできないと思うんですよ。そりゃ一時的にはいい結果を生むかも分からないけれども、長続きしないし、そのうち社会から淘汰されてしまうんではないでしょうか。皆のためにと思ってやってこそ、初めて社会がそれを押し上げてくれる。私はそう思います。

プロフィール

小西忠禮

こにし・ただのり——昭和16年兵庫県生まれ。高校卒業後、企業勤務を経て料理の道へ。39年神戸オリエンタルホテル入社。44年日本人として初めて「オテル・リッツ・パリ」の有給従業員に。その後ヨーロッパの一流レストラン、ホテルでさらに腕を磨き48年帰国。大阪ロイヤルホテル(現・リーガロイヤルホテル大阪)を経て、56年神戸ポートピアホテル総料理長。その後ホテルオークラ神戸などを経て平成14年ホザナ幼稚園副理事長。16年同理事長就任。氏の評伝に『扉を開けろ』(髙久多美男・著/フーガブックス)がある。

木村秋則

きむら・あきのり——昭和24年青森県生まれ。高校卒業後、企業勤務を経て、46年よりりんご栽培を中心とした農業に従事。農薬で家族が健康を害したことをきっかけに、53年頃から無農薬・無肥料栽培を手がける。10年近くにわたる試行錯誤を経て、完全無農薬・無肥料のリンゴ栽培に成功。現在、リンゴ栽培のかたわら、国内外で農業指導を続けている。 著書に『自然栽培ひとすじに』(創森社)『リンゴの花が咲いたあと』(日本経済新聞出版社)など。


編集後記

特集の締め括りには、無農薬、無肥料の奇跡のりんごで知られるりんご農家の木村秋則さんと、世界一のホテルと謳われたリッツの扉を開いた関西シェフ同友会会長の小西忠禮さんにご登場いただきました。奇跡ともいえるお二人の実績はいかに成されたのか。その行動と考え方は、人生に大輪の花を咲かせるお手本とも言えそうです。

2018年6月1日 発行/ 7 月号

特集 人間の花

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