2 月号ピックアップ記事 /対談
日本の活路をどう拓くか 櫻井よしこ(ジャーナリスト) 中西輝政(京都大学名誉教授)

一触即発の北朝鮮情勢や中国の海洋進出など、日本は過去にないほど重大な危機的局面を迎えている。混迷を極める国際情勢の中にあって、我が国はこの危機にどのように向き合い、厳しい現状を打開していったらよいのだろうか。ジャーナリストの櫻井よしこさん、京都大学名誉教授の中西輝政氏に今後の日本の活路について語り合っていただく。

国民自ら日本を守るという気概を取り戻さない限り、この危機は乗り越えられない
櫻井よしこ
ジャーナリスト
「内向きに変わったアメリカから『自国は自国で守ってください』と突きつけられてしまったら、何も打つ手がありません。
私は世界で一番脆弱な国は日本だと思うんです。これだけ豊かな資源やお金、技術があり、正直で働き者の人間がいて、それこそ中国が欲しいものが山のように積み重なっている日本が、こと国防となると自力では何もできない。1日も早い憲法改正とともに、国民自ら日本を守るという気概を取り戻さない限り、この危機は乗り越えられないと思います」

危機に臨んで気概や覚悟とともに、変えるべきことと変えてはいけないことを見極める力を培うことも大事
中西輝政
京都大学名誉教授
「私はこの激変の時代に対応するには、危機に臨んで気概や覚悟とともに、変えるべきことと変えてはいけないことを見極める力を培うことも大事だと考えています。
かつて大きなビジョンを描いた明治維新の先人たちに倣い、この機を活かして、戦後日本の惰性と訣別して自立を目指した国家戦略を意識的に考えなくてはいけない時に来ているんです。2018年は、そういう議論が活発に行われることを大いに期待したいものです」
プロフィール
櫻井よしこ
さくらい・よしこ――ベトナム生まれ。ハワイ州立大学歴史学部卒業後、「クリスチャン・サイエンス・モニター」紙東京支局勤務。日本テレビニュースキャスター等を経て、現在はフリージャーナリスト。平成19年「国家基本問題研究所」を設立し、理事長に就任。23年日本再生に向けた精力的な言論活動が評価され、第26回正論大賞受賞。24年インターネット配信の「言論テレビ」創設、若い世代への情報発信に取り組む。近著に『頼るな、備えよ―論戦2017』(ダイヤモンド社)など多数。
中西輝政
なかにし・てるまさ――昭和22年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。英国ケンブリッジ大学歴史学部大学院修了。京都大学助手、三重大学助教授、米国スタンフォード大学客員研究員、静岡県立大学教授を経て、京都大学大学院教授。平成24年退官。専攻は国際政治学、国際関係史、文明史。著書に『国民の覚悟』『賢国への道』(ともに致知出版社)など。近著に『アメリカ帝国衰亡論序説』(幻冬舎)がある。
編集後記
北朝鮮の核開発や中国の海洋進出など年々緊迫化する国際情勢と、その中で追い詰められていく日本。我が国はこの危機をどう乗り越えたらいいのでしょうか。保守派の論客として活躍するジャーナリストの櫻井よしこさんと京都大学名誉教授の中西輝政さんの対談からは、一刻の猶予もならない事態に直面している現実を教えられます。

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