9 月号ピックアップ記事 /対談
事業は閃きである 唐池恒二(九州旅客鉄道会長)
昨年、発足30の節目に東証一部上場を果たしたJR九州。同社が手掛ける日本初のクルーズトレイン「ななつ星in九州」は、運行開始から4年が経過したいまなお、抽選平均倍率が16倍を超える人気ぶりで、第1回「日本サービス大賞」内閣総理大臣賞を受賞するなど、脚光を浴びている。その「ななつ星」をはじめ、これまで数々のヒットを生み出し、同社を上場へと導いてこられた唐池恒二会長に、これまでの道のりとともによいアイデアを閃く秘訣について伺った。
閃きというのは何もないところからは生まれません。そのことについて毎日ずっと考え抜いているうちに、頭の中にアイデアの鉱脈のようなものができ、それが何かの拍子にポッと外に出てくるんです
唐池恒二
九州旅客鉄道会長
「『ななつ星』は2013年10月15日に運行を開始したんですけど、私が驚いたのは、最初の3泊4日の旅で延べ10万人もの方が駅や線路沿いから『ななつ星』に手を振ってくれたことです。福岡県うきは市では、筑後川にかかる鉄橋の河原に集まって、『ななつ星』を歓迎しようと自主的に企画してくれました。
私はその話を運行前日に聞いたものですから、普通ならあっという間に通り過ぎちゃうところを、ゆっくり走ってくれとお願いしたんですね。で、当日は177人が初めて目にする『ななつ星』を見上げて、思い思いの形で手を振ったり旗を振ってくれたわけですが、何とその半分の人が泣いていたんです。さらにもう半分の人は号泣している。私はこんなことがあるのかと思いました。きっと『ななつ星』に満ち溢れた気が『ななつ星』を見た人に乗り移って、感動というエネルギーに変わったのでしょうね」
プロフィール
唐池恒二
からいけ・こうじ――昭和28年大阪府生まれ。52年京都大学法学部卒業後、日本国有鉄道(国鉄)入社。62年国鉄分割民営化に伴い、九州旅客鉄道(JR九州)総務部勤労課副長。外食事業部長、経営企画部長、2度のJR九州フードサービス社長などを経て、平成21年社長に就任。26年より現職。著書に『鉄客商売』(PHP研究所)などがある。
編集後記
トップインタビューを飾るのはJR九州会長の唐池恒二さん。いま話題の豪華寝台列車「ななつ星in九州」をはじめ、これまで数々のヒットを手掛け、同社を東証一部上場へと導いた立役者です。「リーダーに必須の3つの力」「気を満ち溢れさせる4条件」など、体験から掴まれた閃きを生み出す秘訣に興味は尽きません。
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