マックス・フォン・シュラ―が読み説く「アメリカのいま、日本の未来」【第2回】——迫りくる朝鮮半島の動乱に備えよ

元海兵隊、歴史家として独自の視点と情報源からアメリカ政治、国際情勢に対する鋭い評論を続けているマックス・フォン・シュラーさん。日本在住の親日家でもあり、日本文化への深い理解から、この激動の時代の中で日本が持つ使命、とるべき具体的な方策も積極的に提言してきました。本連載では全3回にわたり、日本人が知らない超大国・アメリカの真実、混乱を深める朝鮮半島のいま、そして日本復活の道筋を紐解いていただきます。連載第2回は、左派による共産主義統一政権への道をつき歩む朝鮮半島の行方を解説していただきました。

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文在寅政権は共産主義政権である

連載第1回では、分断と崩壊の道を辿りつつあるアメリカのいまについて触れました。アメリカでは、新型コロナウイルスの感染拡大や黒人男性・フロイド氏の事件へのデモを発端とした左派と右派の暴力的対立がいまなお各地で続き、混乱の最中にあります。

さて、連載第2回では、朝鮮半島情勢について触れたいと思います。朝鮮半島が今後どういう展開を辿っていくか、その結果次第で日本は非常に困難な状況に直面することになります。

特に文在寅政権になってからの韓国は、慰安婦問題や徴用工問題といった歴史問題を執拗なまでに蒸し返し、北朝鮮との融和政策を積極的に推し進めるなど、同盟国の日本やアメリカを悩ませているのは周知のとおりです。

しかし、そうした表面的な動きに振り回されてはなりません。まず日本人が認識しておかなければならないのは、文政権が北朝鮮と内通する共産主義政権であるということです。文政権の目的は、北朝鮮と組んで朝鮮半島に共産主義国家を樹立することにあり、その手段として日本を叩いているのです。ですから、歴史問題が客観的に正しいかどうかなど、彼らにとってはどうでもよいのです。

韓国が主張している、戦時中に日本軍が強制的、組織的に韓国人女性を慰安婦にしたなどということはフィクションであり、プロパガンダです。第二次世界大戦を日本軍人として、戦後の朝鮮戦争を韓国軍人として戦った経験を持つ韓国人の知人も証言していましたが、当時は日本だけでなくどこの国の軍隊にも慰安婦が存在し、アメリカ軍もドイツ軍もフランス軍も慰安婦を管理していました。朝鮮戦争の時など、アメリカ軍の駐屯地一帯は一大慰安婦村になっていたそうです。しかし、日本軍は他国とは違って衛生面などもしっかりしていた、そのような国は世界でもなかったと彼ははっきり言っています。

ただ、文政権が北朝鮮と内通する共産主義政権であることは分かったけれども、ではなぜいま北朝鮮との関係が急速に悪化しているのか、不思議に思われる方も多いでしょう。確かに、北朝鮮で影響力を増している金正恩の妹である金与正は、文政権を過激な言葉で非難し、北朝鮮の開城工場地区にあった南北共同連絡事務所を爆破しました。一見、韓国と北朝鮮との緊張が高まっているように見えますが、これも表面的なことであり、ことの本質を見失ってはなりません。

北朝鮮はいま、金正恩から金与正へと権力の移行期にあります。金正恩は4月に数週間公の場から姿を消し、金日成の誕生日にも参加しませんでした。これは非常に注目すべきことです。様々な憶測が流れていますが、彼は何らかの重大な病気になったのではないかと私は見ています。そのため、金正恩は急いで信頼する妹の金与正に権力を移行しようとしているのです。金与正の韓国への強硬姿勢は、おそらく政権内で自分の権力を固めるための一種のパフォーマンスだと思われます。

実際、文政権は北朝鮮への融和姿勢を全く変えていません。むしろ、文政権は金与正政権を守る、援護するかのような行動をとっています。例えば、ある韓国議員は、韓国の脱北者団体による北朝鮮を批判するビラを撒く活動をやめさせる法律をつくろうとしています。また、韓国与党は、早速、爆破された開城工場地区での活動を再開するべきだと訴え、朝鮮戦争の終結を宣言する法律には多くの議員が署名しています。

表面的には韓国と北朝鮮は緊張状態にあるように見えても、大局的には共産主義者の主導による朝鮮半島統一という流れは変わらないでしょう。もしこのまま朝鮮半島に赤化統一国家が誕生すれば、日本は対馬海峡を挟んで共産主義勢力と直接向き合うことになります。これは日本にとって安全保障上、危機的な事態です。

考えられる最悪のシナリオ

私が最も懸念しているのは、朝鮮半島が共産主義勢力により統一された場合に起こるだろう大混乱です。文政権はとにかく南北統一を急ごうとしていますが、70年以上も分断されていた国家が一つになることは容易ではありません。それは西ドイツと東ドイツの例を見ても明らかでしょう。

特に韓国と北朝鮮とでは大きな経済格差もありますし、民主主義・資本主義社会に馴染んでいる韓国国民と独裁的な閉鎖社会で長く生活してきた北朝鮮国民とでは、生活習慣や商習慣、価値観にも非常に大きな隔たりがあります。70年も交流がなければ言葉も通じにくくなっている可能性があります。そのため、統一後には、国民同士で様々な軋轢や対立が生じるはずです。

韓国軍と北朝鮮軍との統一も非常に困難な作業になります。例えば、長年対立してきた韓国の軍人がいきなり北朝鮮の軍人の上官になった場合、北朝鮮の軍人はその命令を素直に聞くでしょうか? 逆もまたしかりです。韓国軍内には北朝鮮との統一に反対する保守派も多くいます。また、軍隊内の規律や装備品も異なります。こうした事情が軍隊の統一を妨げるでしょう。

さらに、南北統一にあたって、金正恩と金与正は自らの主導権を譲らないはずです。彼らは二人の大統領の存在は許しません。できるだけ自分たちが有利な条件で統一しようとするはずです。ですから、統一後、政治においても様々な混乱や内紛が予想されます。韓国の保守派は共産主義者による粛清の対象になるかもしれません。

そのような混乱した状況が続けば、治安の悪化や粛清を恐れた市民、軍人たちが対馬海峡をわたって日本に大量に押し寄せてくる事態も考えられます。

同時に、統一朝鮮は国民や軍人の不満を逸らし、国内の団結を図るために、ますます反日運動を激化させていくでしょう。これはあくまで最悪のシナリオですが、国内の混乱がどうにもならなくなった統一朝鮮は、最も上陸しやすい福岡県あたりに侵攻してくる可能性もあります。これは全く空想ではなく、このまま朝鮮半島が統一された場合、かなりの程度ありうる事態だと見ています。(このシミュレーションは『日本に迫る統一朝鮮の悪夢』に詳述しています)。

いずれにせよ、近い将来訪れるだろう朝鮮半島の統一は、日本にとって悪夢となります。朝鮮半島は再び動乱の時を迎えるでしょう。その時、国内問題で手いっぱいになっているアメリカが日本を守ってくれる保障はありません。日本はすぐ隣にある朝鮮半島でいったい何が起こっているのか冷静に見極め、常に最悪の事態を想定し、来るべき危機に備えなければなりません。

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◇マックス・フォン・シュラ―

1956年アメリカ・シカゴ生まれ。1974年に岩国基地に米軍海兵隊として来日、アメリカ軍の情報局で秘密調査などに従事。退役後は、国際基督教大学、警備会社、役者、ナレーター等、日本国内で幅広く活動する。著書に『アメリカ人が語る 日本人に隠しておけないアメリカの"崩壊"』『日本に迫る統一朝鮮の悪夢』『アメリカ人が語るアメリカが隠しておきたい日本の歴史』(いずれもハート出版)などがある。YouTube公式チャンネル「軍事歴史がMAXわかる!」でも情報発信中。

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