マックス・フォン・シュラーが読み説く「アメリカのいま、日本の未来」【第3回】 覇権か混乱か——中国への警戒を怠るな

元海兵隊、歴史家として独自の視点と情報源からアメリカ政治、国際情勢に対する鋭い評論を続けているマックス・フォン・シュラーさん。日本在住の親日家でもあり、日本文化への深い理解から、この激動の時代の中で日本が持つ使命、とるべき具体的な方策も積極的に提言してきました。本連載では全4回にわたり、日本人が知らない超大国・アメリカの真実、覇権への道を歩む中国、混乱を深める朝鮮半島の未来、そして日本復活の道筋を紐解いていただきます。連載第3回は、世界の覇権を握ろうと着実に歩みを進める中国の戦略といまについて語っていただきました。

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世界に支配の手を伸ばす中国

連載第2回では、混迷を深める朝鮮半島情勢について触れましたが、アジアには日本の運命を大きく左右する国がもう一つあります。それは言うまでもなく中国です。

今回の新型コロナウイルスによって改めて明らかになったのは、中国が着々と確実に世界へと支配の手を伸ばしているということです。特に象徴的だったのは、中国とWHO(世界保健機関)の関係でしょう。

新型コロナウイルスは中国武漢市から発生しましたが、中国が情報を隠蔽したために、各国の初動が遅れ、世界中に感染が拡大していきました。にも拘らず、WHO事務局長のテドロス氏は「中国の初期対応が感染拡大を防いだ」などと中国を称賛するような発言を行いました。これは明らかに不自然です。

テドロス氏の母国はエチオピアですが、同国は中国の経済圏構想「一帯一路」のモデル国であり、中国からの経済支援に頼っているという事情があります。そのため、テドロス氏は中国の都合の悪い発言はできない、もっといえば、中国が望む通りの発言をさせられているのだろうと思います。さらに、テドロス氏はもともと共産主義団体の構成員だったという情報もあります。思想的にも中国と近いのです。実際、トランプ大統領は、中国寄りだとしてWHOからの脱退を通告しました。

WHO以外のいくつかの国際機関も同様に、既に中国の影響下にあると考えてよいでしょう。日本人は国際機関と言えば中立的で公正なイメージを抱いているかもしれませんが、そのような幻想は一刻も早く捨て去らなければなりません。

また、中国は世界中で医療物資が不足する中、「人道支援」としてマスクや防護服などを各国に送りました。自分たちが新型コロナウイルスを世界に拡散させたにも拘わらずです。これに対してイタリアやスペイン、台湾と国交があるバチカンまでもが感謝のメッセージを発しましたが、中国が純粋に人道支援から医療物資を送ったと信じてはなりません。中国は医療物資を戦略物資として各国に影響力を及ぼし、コントールしようとしているのです。

さらに、中国政府は中国語教育機関「孔子学院」を日本を含め世界中の大学に併設(世界数百か所以上)しています。これも単純に中国語を教える教育機関だと信じてはなりません。中国は孔子学院を拠点に様々な工作活動を行い、現地での影響力拡大を図っているのです。その危険性に気づいたベルギーなどの欧米諸国では、孔子学院を「中国人スパイの拠点」として閉鎖しています。

中国は様々な巧妙な手口で各国に支配の手を伸ばし、世界の覇権を握ろうとしています。日本も中国への警戒を怠ってはなりません。

覇権か混乱か

ただ一方で、新型コロナウイルスは中国にも甚大な被害を与えている可能性があります。共産党一党独裁の強権的手段を使い、感染封じ込めをいち早く世界にアピールした中国ですが、いまだ感染拡大は続いており、死者数も公式発表よりはるかに多いというのが私の見方です。

例えば、新型コロナウイルスの感染が表面化して以降、衛星写真などでは中国国内の火葬場がフル稼働しているという情報があります。これが事実であれば、新型コロナウイルスによる中国の死者数は公式発表の何倍、いや何十倍にもなるでしょう。事実、最近も北京などの都市が事実上のロックダウンとなりました。中国では新型コロナウイルスの感染拡大は終わっていないのです。日本は特に中国人の渡航緩和について早まった判断をしてはなりません。

また、中国に拠点がある日本メーカーの知人によれば、中国は感染拡大による労働者不足に直面しており、刑務所の囚人や弾圧した少数民族を工場で強制的に働かせているために、生産した製品の多くが使い物にならなくなっていると言います。中国から日本に送られたマスクに不良品が多くあったことは皆さんもご存じの通りです。中国が世界各国に送った医療物資にも不良品がかなり含まれているといいます。

さらに、中国では新型コロナウイルスに加え「アフリカ豚熱」の感染も広がっており、中国人の主食である豚肉の供給に不安が出始めています。豚肉、食料の供給が不安定な状態になれば、中国国民の不満も高まってくるはずです。

新型コロナウイルスの感染拡大、労働者不足による経済・生産活動の停滞、豚肉の供給不安……こうした状況が続けば、今後の中国に深刻なマイナス影響を与えることは間違いないでしょう。中国は6月30日に「香港国家安全維持法案」を可決し、香港の自由を潰しました。これも中国の国際的な信用を失墜させると共に、香港という自由貿易ゾーンを失うことによる経済的損失は大きいでしょう。もしかすると、中国では国民の不満が暴発し、大きな混乱に陥ることも考えられます。

そうなれば、国内の不満を逸らすために、中国は対外的にはまずます強硬姿勢になり、軍事活動を活発化させるはずです。台湾、尖閣、南シナ海などの情勢は今後さらに緊迫して可能性が高いでしょう。日本は不測の事態に備えておく必要があります。

中国がこのまま世界に覇権の手を伸ばしても、国内問題で大きな混乱に陥っても、いずれにせよ日本は非常に厳しい現実に直面します。その時、内乱の危機にある同盟国アメリカに、日本を助ける余裕はあるでしょうか? 日本は自国が置かれている現実を直視しなくてはなりません。日本は正念場にあります。
 

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◇マックス・フォン・シュラ―

1956年アメリカ・シカゴ生まれ。1974年に岩国基地に米軍海兵隊として来日、アメリカ軍の情報局で秘密調査などに従事。退役後は、国際基督教大学、警備会社、役者、ナレーター等、日本国内で幅広く活動する。著書に『アメリカ人が語る 日本人に隠しておけないアメリカの"崩壊"』『日本に迫る統一朝鮮の悪夢』『アメリカ人が語るアメリカが隠しておきたい日本の歴史』(いずれもハート出版)などがある。YouTube公式チャンネル「軍事歴史がMAXわかる!」でも情報発信中。

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