竹島が不法占拠され続ける理由(島根県「竹島問題研究会」座長・下條正男)

70年の長きにわたって韓国に不法占拠されている日本固有の領土「竹島」。なぜ竹島は不法占拠され、現在に至るまで日本に戻ってこないのか。その根本的な理由を、長年竹島問題の解決に心血を注いでこられた島根県「竹島問題研究会」座長の下條正男さんに伺いました。

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日本人の常識は通用しない

〈下條〉
日本固有の領土である竹島(島根県)が韓国によって不法占拠されてから、はや70年の月日が経とうとしています。しかし、竹島を巡る領土問題は解決に向かうどころか、韓国側はますます自国の主張を強め、年々日本への挑発行為をエスカレートさせています。

竹島問題の発端は、1952年1月18日、韓国政府が公海上に「李承晩ライン」を一方的に設定し、竹島を自国領としたことに遡ります。日本がサンフランシスコ講和条約を批准して国際社会に復帰する百日ほど前のことです。

その後、韓国の漁民による竹島での不法漁撈が始まり、1954年8月には韓国政府が灯台を設置し、沿岸警備隊による不法占拠が常態化します。これは1953年12月、「漁業資源保護法」を制定して、李承晩ラインを越えた日本漁船の拿捕・抑留が本格化してからです。

『日韓漁業対策運動史』(日韓漁業協会)によれば、1965年の日韓国交正常化までの間に、韓国側に拿捕された日本漁船は328隻、抑留された日本人漁船員は3千929人、死傷者は44人に上ります。その損害額は総計90億3100万円に達し、抑留されたた日本人漁船員への処遇も苛烈を極めました。

韓国の行動は、日韓の国交正常化交渉と深く関わっています。韓国政府が日本と国交を正常化するには、2つの大きな問題がありました。1つは1945年8月の日本の敗戦以降、朝鮮半島から日本に渡ってきた密航者の存在です。『出入国管理白書』によると、1946年から1965年までに検挙された密航者は6万9千288人で、国外退去者は1万1423人。しかし、これは氷山の一角で、検挙されなかった密航者はさらに多かったでしょう。

特に1948年4月3日、韓国の済州島で暴動が起こり、出動した軍隊等によって島民の大虐殺が行われ、その際に難を逃れた人々の多くが日本に密航してきたのです。また北朝鮮との朝鮮戦争で国内情勢が不安定だった韓国政府には、万を遥かに超える密航者の送還を喜ばず、密航者たちを日本に止まらせたい思惑がありました。

もう一つは戦前、日本が朝鮮半島に残してきた約52億ドルの在外資産です。もしこれが国交正常化以降、日本側に持ち出されるとなれば、韓国経済は成り立たなくなる。韓国はそれを阻止したかったのです。そこで韓国の李承晩大統領は「李承晩ライン」を引き、拿捕・抑留した日本人漁船員を外交・人質カードに、「財産請求権の放棄」と「在日韓国人に法的地位を与える」ことを日本政府に求めたのです。その時、竹島は日本による「朝鮮侵略の最初の犠牲の地」とされ、韓国内の反日感情を駆り立てる役割を果たしました。

結局、日本政府は財産請求権を放棄し、在日韓国人に法的地位を与えますが、竹島問題は未解決のまま残ってしまいました。日本政府は竹島問題の解決を国際司法裁判所に付託すべく韓国政府に提案しますが、一蹴されてしまいました。竹島問題を歴史問題とする韓国政府には、国際法は通用しないのです。

その後も韓国による竹島の不法占拠は続きますが、再び竹島問題が浮上したのは、韓国政府が竹島に接岸施設の建設を始めると発表した1996年2月でした。その動きに対して日本政府は抗議しましたが、韓国側の反発が強まると竹島問題を棚上げし、「日韓漁業協定」が結ばれ、竹島には暫定水域が設定されたため日本漁船は近づくことができなかったのです。

さらにこの「日韓漁業協定」は、日本海の好漁場である大和堆を日韓の「共同管理水域」に含めていたため、島根県をはじめ日本の漁業関係者が大きな被害を受けることになります。違法漁撈をする韓国漁船を取り締まることができず、日本海は「乱獲の海」となってしまったからです。

ちょうどその頃、私は韓国の大学に籍を置いていました。

1996年2月、竹島問題に関連して、ソウルの日本大使館前には連日韓国のデモ隊が押し寄せ、テレビのニュースでは、必死の形相で日本批判をする姿が映し出されていました。その光景を見て、当時、日本人学校の小学校2年生だった娘から、「日本が悪いことをしたの」と質問され、韓国側が竹島は韓国領だとする文献を読んでみました。読んで感じたのは、韓国側は文献が読めていないということでした。

そこでその事実を日本の『現代コリア』誌に寄稿し、同誌の紹介で韓国の『韓国論壇』にも掲載されました。この時から、韓国側の竹島研究者との論争が始まったのです。

それは勤務する韓国の大学から契約の更新を拒まれた1998年まで続きました。その論争を通じて実感したのは、韓国側の研究は自分たちの都合で歴史を曲解するか、不都合な事実には敢えて触れないということでした。

例えば、韓国側が竹島を韓国領とした英雄とする安龍福の供述です。安龍福は17世紀末、鳥取藩に密航して、鳥取藩主と交渉して欝陵島と竹島を韓国領にしたと証言していたのです。しかし、当時の文献を読むと、安龍福は鳥取藩主と交渉することもなく、江戸幕府の命令で鳥取藩によって追放されていました。安龍福の証言は偽証だったのです。

これは偽証を根拠に、日本批判をする慰安婦問題や徴用工訴訟とも同じ構造です。最初、「日本人を相手にしていたのでは自尊心が許さない」から始まった慰安婦問題も、いまでは日本によって強制的に連れ去られた「性奴隷」となり、自由意思で日本に渡った募集工が、「徴用令」で連れて行かれた徴用工になっています。この事実は、韓国の大法院が下した判決文を読めば容易に分かることです。

韓国の大法院の判決文を読むと、そこでは日本を侵略国家とし、日本を裁くことが目的になっています。韓国では歴史の事実などどうでもよいのです。自分たちが歴史と考えた「歴史認識」が真実なのです。

この韓国側の実態を知らずに軽々に談話などを発表すると、後世に禍根を残すことになります。韓国には国際法で臨んでも意味がありません。


(本記事は月刊『致知』2021年6月号 連載「意見・判断」より一部抜粋・編集したものです)


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◇下條正男(しもじょう・まさお)
昭和25年長野県生まれ。國學院大學大学院博士課程修了。58年韓国に渡り、三星総合研修院主任講師、仁川大学校客員教授を経て、平成10年に帰国。拓殖大学国際開発研究所、12年同大学国際学部アジア太平洋学科教授に就任。令和34月より東海大学海洋研究所客員教授。

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