前人未到の全日本剣道選手権大会6度優勝、剣道範士八段・宮崎正裕さんが強くなるために実行していたこと

強豪ひしめく全日本剣道選手権大会で史上最多の6度優勝、さらには史上初の2連覇(2度)という偉業を成した神奈川県警察剣道名誉師範の宮崎正裕さん。2023年5月には、剣道家として最高位である範士八段の称号を授与されました。60歳になるいまもなお道場で剣を交え、後進を教え導き、日本剣道界を牽引し続けている宮崎さんが、強くなるために実行していたあることとは――。

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常に目的意識をもって努力する

<宮崎> 

……東海大相模高校は自宅からすごく遠くて、電車を何度も乗り継いで片道2時間かけて通いました。また、稽古も非常に厳しく、最初これは続けられるかなと思ったのですが、やっぱり「強くなりたい」という思いが捨てられなかったこと。それに早くレギュラーになって、私立の高校に行かせてくれた両親に親孝行したいという思いが支えになりました。

とはいえ、周りは実績のある選手ばかりなので、普通に稽古していてはレギュラーにはなれません。ですから、私は高校に入って以降、「強くなるために何が必要か」を真剣に考え始めたんです。

<――具体的にはどのようなことに取り組んでいかれたのですか。>

<宮崎> 

一つには、強い人の動きや技を見て学び取る見取り稽古に力を入れました。自分の稽古の順番が回ってくる間も休憩するのではなく、じーっと先輩たちの稽古を観察する。稽古で元立ちとなって相手に打たせる時も、相手の速度やタイミングなどを必死に見極め、一瞬たりとも気を緩めず稽古しました。そうすると、「あの人は面を打つ前に声を出すな」などと、それぞれに何かしら癖があることが分かっていったんです。

<――相手のことを徹底的に研究して、弱点を見抜いていったと。>

<宮崎> 

それをノートや手にメモし試行錯誤していく中で、こちらの攻撃や防御が成功する確率が次第に上がっていき、「こうすれば勝てる」という偶然ではない自分の勝ち方が見えていきました。そして自分で考えて実行した技がその通りに決まると、達成感や自信にも繋がり、もっと頑張ろうという気にもなっていったんです。

また、自分より上手な選手には先輩・後輩問わず頭を下げて貪欲に教わりに行き、学んだことはメモにとって忘れないようにしました。とにかく早く強くなりたいとの一心で、恥ずかしいとかいうプライドは一切なかったですね。

<――常に意識を高く持ち、あらゆる機会を捉えて学んでいった。>

<宮崎> 

大きな夢を持つことも必要なことですが、まずは手の届くところに目標を設定し、自分の現状とその目標から逆算していま何をすべきなのか、一日一日の努力なり、稽古なりを積み重ねていくことが大事だと思っていました。

私の場合は、いきなりインターハイ出場といった大きな目標を立ててもすぐには辿り着けませんから、まずはレギュラーに入る、その目的意識を絶えず持ち、努力や試行錯誤を重ねていきました。

・  ・  ・  ・

<宮崎> 

それからもう一つ意識していたのが、自分のスタイル、剣風をつくり上げていくことです。当時は積極的に前に出る剣道が評価されていましたが、実力のない私がそれをやっていてはなかなか勝てません。

であれば、攻撃が下手でも相手に打たせなければ負けることはないだろうと、亀のように守りを固める〝負けない剣道〟を追求しようと思ったんですね。

守りに徹すると、自然と試合時間が長くなりますから、精神的にも体力的にもお互いに苦しくなっていきます。その根くらべの中で相手の力、集中力がふっと抜けた隙を突いて打ち込むわけです。

<――人とは違う独自の剣道スタイルに活路を見出していかれた。>

<宮崎> 

ええ。そのような剣風を創り上げていくことで、二年生の夏頃からレギュラーとして実力が安定し、三年生の時に県大会で個人・団体共に優勝、インターハイにも出場することができました。


★本記事は、『致知』2024年1月号より一部抜粋・編集したものです。

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◇全く実績が残せなかった少年時代

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◇宮崎正裕(みやざき・まさひろ)

昭和38年神奈川県生まれ。東海大付属相模高校を卒業後、神奈川県警に奉職。以後、史上最多の全日本剣道選手権大会優勝6回(2度の連覇含む)、世界選手権大会個人優勝、全国警察剣道選手権優勝、世界選手権団体優勝、全国警察剣道選手権大会団体優勝、全日本選抜七段選手権優勝、全日本選抜八段優勝大会優勝(2連覇)など前人未到の戦績を残す。神奈川県警察剣道首席師範を経て現在は剣道名誉師範。令和5年剣道範士八段。第1518回世界選手権女子日本代表監督。指導者としても5人の日本一(全日本剣道選手権優勝者)を育てる。著書に『勝ち続ける技術』(サンマーク出版)。

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