為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の為さぬなりけり 工藤勇一(教育アドバイザー)

麹町中学校や横浜創英中学・高等学校で「宿題・定期テストなし」「クラス担任制廃止」といった型破りな学校改革を断行し、子どもの主体性を引き出してきた工藤勇一氏。現在は教育アドバイザーとして多方面で活躍し、日本の教育界を牽引し続けている。氏の原点から見えてくるもの――。
【写真=地元・山形の中学教師として子どもたちと向き合っていた頃】

進取の気性に富み、逃げずに向き合っていれば、現実を変えることだってできる。

これが、40年以上教育一筋に歩んできた私の心からの実感です

工藤勇一
教育アドバイザー

20代の10年間を振り返ると、後悔したくない一心で無我夢中だったように思います。まだまだ稚拙ながらも、分かれ道に遭遇する度、困難な道を選択してきました。その一つひとつが自分の身になっていったと実感しています。

私は山形県の鶴岡市で生まれ育ちました。父親は自動車のディーラー業を営んでいて、事業を大きくするために懸命に努力する姿は鮮明に覚えています。

いまでこそ教育を天職とする私ですが、子どもの頃から高圧的な先生は大嫌いでした。時は1970年代。悪しき全体主義が蔓延っており、クラスの誰かが悪さをすると、全員で廊下に立たされる。体罰も当たり前で、理不尽に殴られたことも数えきれません。そうした体験が積もり積もって、教師に不信感を抱くようになりました。

また、表に出ることが好きではなく、リーダーにはなりたくないと強く意識していたほどです。高校は地元の進学校に進み、政治や哲学について同級生と侃々諤々の議論を重ねていたものの、周りと比べれば幼稚だったと思います。

そんな学生時代から自然と身についていた習慣があります。それは、自分の頭で考えるということです。……(続きは本誌にて)

~本記事の内容~
◇自分の頭で考え、行動する
◇転機となった二週間の教育実習
◇「自分だけ善良な人間みたい」
◇自主性ではなく主体性を育てる
◇できないのはただやらないだけ

プロフィール

工藤勇一

くどう・ゆういち――昭和35年山形県生まれ。東京理科大学卒業。山形県、東京都の公立中学校でそれぞれ教鞭を執り、東京都教育委員会、新宿区教育委員会教育指導課長を経て平成26年4月千代田区立麹町中学校長に就任。令和2年4月横浜創英中学・高等学校校長に就任。現在は教育アドバイザーとして、全国で講演活動を行う。著書に『学校の「当たり前」をやめた。』(時事通信社)『校長の力』(中央公論新社)など多数。


編集後記

先進的な取り組みを次々導入し、日本の学校教育に一石を投じてきた工藤氏。多忙を極める中でも快くお受けいただき、オンラインにて取材が実現しました。目の前の生徒一人ひとりに真摯に向き合ってきた氏の愚直な実践録に、多くの若者が心を鼓舞されるはずです。

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