4 月号ピックアップ記事 /鼎談
感謝が人生を開く~よき人、よき言葉との出逢いが人生を導いてきた~ 大村 智(北里大学特別栄誉教授) 田口佳史(東洋思想研究家) 平井敬二(杏林製薬元社長)

縁尋機妙、多逢聖因。碩学・安岡正篤師はしばしばこの箴言を引き合いに、良縁を結ぶことの大切さを説いた。尊い縁に誘われて邂逅を果たした大村智氏、田口佳史氏、平井敬二氏。それぞれの道を切り開いてきた三氏が、心に深く刻んできた言葉、師恩、そして感謝の念を通じて、人生を開く条件を探った。

私が若い方々にお伝えしたい言葉は「実践躬行」です。
言うだけでなく実践することが大切。私の一番のモットーなんです
大村 智
北里大学特別栄誉教授
〈平井〉
この度は、私の大切な師である大村智先生、田口佳史先生との鼎談の機会をいただきまして、大変光栄でございます。
〈田口〉
私も念願叶ってお二人とお話しする機会をいただいて、本当にありがたく思います。何より嬉しいのは、大村先生がますますお元気で活躍なさっていることですよ。去年卒寿をお迎えになったとはとても思えません。
〈大村〉
いやいや、卒寿といってもめでたくはありません(笑)。頭の回転はだいぶ悪くなっていますし、やることはいろいろあるのに思ったように実行に移せない。しかしここまでやってこられたのは、いろんな人に助けていただいたおかげだから、とにかく健康をきちっと守って、今年も充実した一年にしたいと思っています。
〈平井〉
大村先生が頑張っていらっしゃると、我々も大変刺激を受けます。
〈大村〉
やり残していることがまだいっぱいありますので、それらをきちっと整理していい形で残していきたいんです。

生かされていることを自覚すると、感謝の心が生まれます。感謝というのは志の源泉だと私は思います
平井敬二
杏林製薬元社長
〈平井〉
母校の大先輩である大村先生のご活躍に倣って、私も世の中のためになる活動に邁進し、希望のある年にしようと思っています。
〈田口〉
平井さんは、大村先生と同じ大学のご出身でしたね。
〈平井〉
はい。私が在籍した山梨大学工学部発酵生産学科の加賀美元男教授の研究室は、奇遇にも大村先生がかつて助手を務めておられた研究室でした。ですから、大村先生とは見えないご縁を感じておりましたし、同じ感染症研究の大先輩としてご尊敬申し上げてまいりました。
〈大村〉
平井さんは杏林製薬の社長まで務められて、発酵生産学科の出世頭ですよ。ご活躍はかねて耳にしていまして、ある学会でお目にかかってから交流させていただくようになりました。

「一燈を提げて暗夜を行く」——この暗闇を照らす一燈というのは、まさしく感謝ではないでしょうか
田口佳史
東洋思想研究家
〈大村〉
平井さんにもう一つ感謝したいのは、田口先生とのご縁を結んでくださったことです。
私は、自分の専門とは異なる分野で大成された方から学びたいという思いがあって、長年『致知』を愛読してきました。その中で、田口先生という立派な東洋思想の先生がおられることを知ったのですが、幸運にも平井さんを通じてご縁をいただくことができて本当にありがたく思っています。
〈平井〉
田口先生とは、私が杏林製薬の社長になった2009年に、経営塾という幹部研修で東洋思想の講師をお願いしたのが最初の出会いでした。社長を退いて相談役になってからは時間ができたので、先生が主宰される勉強会や致知出版社のセミナーなどを通じて東洋思想の勉強を続けてきました。……(続きは本誌をご覧ください)
本記事の内容 ~全10ページ~
◇頑張っていればよい風が吹いてくる
◇見えない縁に導かれて
◇有由有縁 縁は由あって結ばれる
◇世界の行き詰まりを打開する東洋思想
◇「君はなぜここにいるのですか?」
◇生きる力を与えてくれたもの
◇運命を開いてくれた大恩人
◇研究を経営する
◇「一番大事なことは世の中に役に立つことだ」
◇自己の最善を他者へ尽くしきる
◇感謝の念を育むことで人は成長する
プロフィール
大村 智
おおむら・さとし――昭和10年山梨県生まれ。33年山梨大学学芸学部卒業。38年東京理科大学大学院理学研究科修士課程修了。40年北里研究所入所。米国ウエスレーヤン大学客員教授を経て、50年北里大学薬学部教授。北里研究所監事、同副所長等を経て、平成2年北里研究所理事・所長。19年北里大学名誉教授。20年北里研究所名誉理事長(現在は北里大学特別栄誉教授)。27年ノーベル生理学・医学賞受賞。著書に『ストックホルムへの廻り道 私の履歴書』(日本経済新聞出版社)『縁尋機妙』(致知出版社)『まわり道を生きる言葉』(草思社)など。
田口佳史
たぐち・よしふみ――昭和17年東京都生まれ。記録映画監督としてバンコクで撮影中、水牛に襲われ瀕死の重傷を負う。生死の狭間で『老子』と出合い、東洋思想研究に転身。「東洋思想」を基盤とする経営思想体系「タオ・マネジメント」を構築・実践し、1万人超の企業経営者や政治家らを育成。配信中の「ニューズレター」は海外でも注目を集める。主な著書(致知出版社刊)に『「大学」に学ぶ人間学』『「書経」講義録』『「中庸」講義録』他多数。最新刊に『王陽明「伝習録」に学ぶリーダーの人間学』。
平井敬二
ひらい・けいじ―― 昭和24年山口県生まれ。47年山梨大学工学部発酵生産学科卒業。杏林製薬入社。53年群馬大学医学部微生物学教室(三橋研) 出向(~55年)。杏林製薬常務、専務などを経て、平成21年社長に就任。24年相談役。28年富士製薬工業社外取締役。30年日本医療研究開発機構 (AMED)新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業プログラムオフィサー。
編集後記
特集のトップを飾っていただいたのは北里大学特別栄誉教授の大村智さん、東洋思想研究家の田口佳史さん、杏林製薬元社長の平井敬二さん。昨年卒寿を迎えてなお世のために多忙な日々を送る大村さんの近況に始まり、三氏を結びつけた縁、各々を今日へと導いた恩人の思い出をじっくり語り合っていただきました。お話を伺いながら実感したお三方の共通点は、縁を大切にする心と感謝の念の深さ。そこに人生の大切なヒントがありそうです。

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