9 月号ピックアップ記事 /インタビュー
「あそび」の力で未来価値を創造する 徳本達郎(ジャクエツ代表取締役)

「未来は、あそびの中に。」をスローガンに、保育教材や遊具の企画・制作・販売、さらには多様な人々の居場所や舞台となる公共空間のデザイン、コンサルティングまで、「あそび」の持つ可能性に挑戦し続けているジャクエツ。三代目社長として同社を牽引する徳本達郎氏が語る創業の原点、挑戦の軌跡から、事業永続の要諦を学ぶ。
【写真=2024年度、「グッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)」を受賞した「障がいの有無に関わらず誰もが遊ぶことができる遊具」。医療的ケア児の「遊びたくても遊べない」という課題に注目、さまざまな個性を持つ子どもたち、医師、ケアスタッフ、遊具デザイナー、地域のプレーヤーが携わり3つの遊具を開発した】

目先の利益ではなく、未来の子どもたち、未来の人たちから見て自分はどういう祖先でありたいか、どのような正の遺産を残せるかを常に意識して、これからも未来価値の創造に果敢に挑戦し続けていきたいです
徳本達郎
ジャクエツ代表取締役
――徳本社長は、どのような経緯で家業に入られたのですか。これまでの歩みをお話しください。
<徳本>
私は男3人、5人きょうだいの次男なのですが、物心つく頃に祖父は亡くなり、後を継いだ父が一人でお寺、幼稚園、会社の3つを切り盛りしていました。父は朝に幼稚園に顔を出し、それから会社に出て、夕方には檀家回りに行く……というように、土日もないほど多忙な日々で、私たちも早くから父を手伝っていました。
その流れで長男の兄、私と弟の男3人で家業を分担してやっていこうという話になり、最終的には兄がお寺と幼稚園、私と弟(現・専務)が会社に入ることになりました。私が入社したのは、大学卒業後の1986年のことです。
――入社当時、会社の状況はいかがでしたか。
<徳本>
先ほど触れたように、祖父は社会事業家の側面が強く、思いが先に立つところがあったのですが、父は会社が組織として安定して成長していくことが大事だと、様々な事業の仕組化に取り組んでいました。そのこともあって、私が入社した時には売上も経営も安定していました。
父は「腫れ物と会社は大きくなると潰れる。会社を大きくすることを目的にしてはいけない」とよく言っていました。
――創業者が立ち上げた事業を、二代目のお父様が会社組織として安定させていかれたのですね。
<徳本>
ただ、私が入社する少し前から少子化が始まりました。それまではベビーブームに乗って、保育教材もつくればつくっただけ売れる時代でした。それが少子化に転じたことでピークアウトしてきたんです。
市場の環境変化に影響されない価値をどうすれば提供していけるか、これが私の世代が取り組まなければならないテーマでした。……(続きは本誌にて)
本記事の内容 ~全4ページ~
◇いまも息づく創業者のDNA
◇事業の使命は社会課題の解決である
◇環境が変わる前に自らが変わっていく
◇「あそび」の力が日本の明るい未来を創る
本記事では徳本さんに、企業永続の要訣、新しい価値を創造し続ける経営の極意を語っていただきました。
プロフィール
徳本達郎
とくもと・たつろう――昭和38年福井県生まれ。61年3月佛教大学文学部卒、同年4月株式会社若越(現・ジャクエツ)入社。平成16年専務取締役などを経て、18年9月より現職。
編集後記
徳本さんが繰り返し強調されていたのが、創業のDNAに基づいた事業展開、組織づくりをする大切さでした。徳本さんが語る創業の歩み、現在の取り組みには、事業永続の極意が鏤められています。

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