挑戦で切り開いてきた人生と経営 金子和斗志(アイ・ケイ・ケイホールディングス 会長兼社長CEO) 唐池恒二(九州旅客鉄道〈JR九州〉相談役)

ゲストハウス型の婚礼施設を展開するアイ・ケイ・ケイを創業し、就職人気ランキングで3年連続九州・沖縄一に選ばれる人気企業へと発展させてきた金子和斗志氏。日本初の豪華寝台列車「ななつ星㏌九州」をはじめとした鉄道事業の改革と事業の多角化を推進し、JR九州を完全民営化へと導いた唐池恒二氏。共に九州の地から東証プライム上場を果たし、日本を代表する企業へと育て上げてきたお二人に、絶えざる挑戦を重ねてきた足跡について語り合っていただいた。そこから見えてくるリーダーの条件とは――。

経営者は絶えず夢を掲げ続けること。
夢見る力が気をつくるんです

唐池恒二
九州旅客鉄道〈JR九州〉相談役

〈唐池〉 
どうも、金子さん。きょうはお会いできるのを楽しみにしてきました。

〈金子〉
私もです。唐池さんは九州を代表する経営者であり、現在は九州観光機構の会長として九州全体の観光を盛り上げている。人生や会社経営についていろいろ伺いたいと思っていたんです。

〈唐池〉 
お手柔らかにお願いします。

〈金子〉
こちらこそ。唐池さんと最初に出逢ったのは、千数百人規模の唐池さんの講演会に一聴衆として参加した時でした。

唐池さんのお話はユーモアに溢れながらも、論理的で非常に分かりやすい。千数百人全員が惹き込まれ、納得していたんですね。「私もこういう人になりたい」と感銘を受けたのを鮮明に覚えています。あれはいつ頃でしたかね?

〈唐池〉 
確か十数年前、年の始めに東京で行った講演だと思います。それからお会いする機会も度々ありましたけど、頻繁にお話しするようになったのはこの2年ぐらいですよね?

〈金子〉 
そうでした。2年前の唐池さんの古希を祝う会に参列したところ、何と私までお祝いしていただいて、大変感激しました。

実は、私の生まれは1952年3月26日で、唐池さんは1953年4月2日。私のほうが1歳ちょっと先輩なんですね(笑)。

〈唐池〉 
学年は2学年違いますかね。先輩には頭が上がらない(笑)。

古希を祝う会ですっかり意気投合して、それから数週間後には再び会食しましたものね。

〈金子〉 
唐池さんはJR九州を今日の発展へと導いてきた経営手腕はもちろんのこと、人間として器が大きい。それに秘めた情熱を持っていて、自然と人を惹きつける。まさに傑物だと私は思っています。

人生が仕事であり、仕事が人生、また人生は挑戦であり、挑戦が人生だと捉えてやってきました

金子和斗志
アイ・ケイ・ケイホールディングス 会長兼社長CEO

〈唐池〉
それにしても、御社の躍進は目を見張るものがありますね。

〈金子〉 
佐賀県伊万里市で父親が手掛けていた家業のホテルと結婚式場を受け継ぎ、アイ・ケイ・ケイを設立して今年でちょうど30年になります。おかげさまで現在では、全国18都市で20の婚礼施設を運営しながら介護事業や海外婚礼事業等を展開し、グループ全体の従業員は1,000名を超えるまでになりました。前期(2024年10月)売上高232億円、営業利益24億円は共に過去最高でした。

とはいえ、まだまだこれからです。婚礼事業では施行組数減少といった逆風が吹いています。そこで2020年には食品事業を手掛ける明徳庵を立ち上げるなど、新規事業開発に力を注いでいます。

「誠実であれ! 情熱をもって 挑戦する!」。この当社の理念を旨とし、前進し続けているんです。

〈唐池〉 
絶えず挑戦を重ねている。いまや九州で働きたい会社ナンバーワンですものね。

〈金子〉 
今年4月にマイナビと日本経済新聞社が発表した「大学生就職企業人気ランキング」の九州・沖縄地区において1位になりました。これで3年連続1位、業種別の「冠婚葬祭」では11年連続1位に選ばれたことになります。

学生が就職活動をする時って、その会社に勤める大学のOB・OGに話を聞きに行くことが多いんですね。「実際どうですか」って。その意味で、当社が九州の就職ランキング1位になったということは、社員が後輩に「うちはいい会社だよ」と本音で語ってくれているってことじゃないでしょうか。

実際、面接に訪れる約2,000名のうち、約半数は婚礼事業を志望する子たちで、もう半分は「先輩に憧れて」「社風に惹かれて」という理由でやってくるんですよ。……(続きは本誌をご覧ください)

本記事の内容 ~全10ページ(約14,000字)~
◇就職人気ランキングで3年連続九州・沖縄一に選出
◇餃子300人前がトレードマネーに
◇「すべての責任は俺が取るからやらせてくれ」
◇名経営者に通ずる本質に気づく力
◇夢が叶うということは夢が夢でなくなること
◇気を満ち溢れさせる5つの法則
◇三位一体となって成し遂げた上場への軌跡
◇逆境と屈辱が人と組織を強くする
◇世界一の豪華寝台列車「ななつ星」誕生秘話
◇人生は挑戦であり挑戦が人生

プロフィール

金子和斗志

かねこ・かつし――昭和27年佐賀県生まれ。佐賀県立伊万里高校卒業後、靴販売店での営業などを経て家業のホテルを継ぐ。平成7年アイ・ケイ・ケイ設立、社長に就任。22年大証JASDAQ市場に上場。24年東証二部に鞍替えし、25年東証一部(現・プライム)指定。令和3年より現職。著書に『サービスの精神はありがとうから生まれる』(コスモ教育出版)がある。

唐池恒二

からいけ・こうじ――昭和28年大阪府生まれ。52年京都大学法学部卒業後、日本国有鉄道(国鉄)入社。62年国鉄分割民営化に伴い、九州旅客鉄道(JR九州)総務部勤労課副長。外食事業部長、経営企画部長、2度のJR九州フードサービス社長などを経て、平成21年社長に就任。26年会長に就任。令和5年より現職。著書に『ななつ星への道』(PHP研究所)『感動経営』(ダイヤモンド社)など多数。


編集後記

表紙を飾っていただいたのは、アイ・ケイ・ケイの金子和斗志さんとJR九州の唐池恒二さんです。九州を代表する経営者として懇意にしているというお二方ですが、対談するのは今回が初めて。「人生は挑戦であり、挑戦が人生」(金子さん)「夢見る力が気をつくる」(唐池さん)といった実感の籠った数々の言葉を通じて、一人ひとりの人生もまた経営であり、繁栄へと導く要諦を教えられます。

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