【取材手記】「獄中で出逢った『致知』が僕の人生を逆転させた!」 堺市倫理法人会会長・亀井潤一郎さんの体験に学ぶ

~本記事は月刊誌『致知』2026年10月号 特集「運をつかむ」に掲載のインタビュー(「人間学の学びが僕の運命を変えた」)の取材手記です~

平均参加社数日本一の堺市倫理法人会

「大阪の堺市に亀井潤一郎さんという人がいます。かつては裏社会に身を置き、そこから見事に立ち直り、現在は経営者として、また堺市倫理法人会会長として活躍する素晴らしい人なので、ぜひ『致知』で取り上げてください」。そんな声を読者の皆様方からいただいていました。

取材で堺市を訪れたのは7月下旬。実際にお会いした亀井さんはとても笑顔がさわやかで、明るく謙虚な方でした。堺市倫理法人会の令和8年度モーニングセミナーの平均参加社数が全国776か所の法人会で1位になったというお話からも、亀井さんの卓越したリーダーシップと情熱、信望が窺えました。しかし、話がこれまでの半生に及ぶと、そこで語られる壮絶さは予想以上で、お聞きしながら言葉を失いそうになることもありました。

亀井さんは現在50歳。小学1年生の時にご両親は離婚。亀井さんとご兄弟は母親と祖母に育てられました。小学生の頃から素行が悪く、中学生になるとそれがさらにエスカレートし、15歳の頃には暴走族に加わって、せっかく入学できた高校をすぐに退学してしまうほどだったといいます。その後、厳しい現実の社会に失望し、日雇いの仕事をしながら、暴走族時代の仲間の勧めで地元の暴力団に。35歳までの15年間、裏社会に身を置くことになります。

愛情深く育ててくれたお祖母様と。 左端が亀井氏

良心への目覚めを促した出来事

転機が訪れたのは2006年、30歳の時、3度目の逮捕でついに懲役に行くことが決まった、まさにその日でした。亀井さんは当時を振り返りながら話します。

裁判所で判決を受け「何年も帰ってこれへんな」と思ってふと傍聴席を見た時、組織の人間がたくさん並んで見ている中、本当に隅のほうにポツンと立っている一人の老人が目に留まりました。よく見たら祖父でした。何年も会っていませんでしたけど、もう心配そうな顔でじっとこっちを見ているんです。
              (中略)
懲役の判決を言い渡されても、悪態をつくほどだったのに、祖父の顔を見た途端、いきなり孫に戻ってしまって、そこからどうやって拘置所に戻ったか記憶がないくらい気持ちは動揺していました。後で分かったのは、祖父はその頃、心臓病で入院していて、裁判の度に外出許可をもらって来てくれていたみたいなんですね。

亀井さんの祖父は、亀井さんの家族と同居はしていなかったものの、よく家にやって来ては孫たちを遊びに連れて行ってくれるなど、亀井さんをとても可愛がってくれました。それだけに裁判所で祖父を目にした時の衝撃は大変なものでした。そのことをきっかけとして、亀井さんは徐々に徐々に良心に目覚めていくのです。その経緯は『致知』で詳しく語られていますので、ぜひ本文をお読みください。

獄中で読み耽った『致知』

人として大切な気づきを与えてくれた人との様々なご縁のほかに、亀井さんの目覚めを促したものがあります。それが他ならぬ『致知』でした。亀井さんは福岡の刑務所で、たまたま『致知』創刊30周年の新聞広告を目にしました。そこにある「人間学」という言葉になぜか惹かれ、獄中で定期購読を始めるのです。「自分の世界ではない」と最初はほとんど目を通すことをしなかった亀井さんですが、やがて『致知』は手放せないものになっていきました。

最初は「やはり面白ないな」と思って読み始めました。しかし、一つの記事を読み返すと違う感覚で心に飛び込んでくるんですね。そのうちに登場された方々に対する憧れが湧いてくるようになりました。「この人、えらい苦労されたけど、こんな逆転劇があるのか」「人間はこんなに立派に生きられるんか」と感動を覚える度に、いつしかマーカーを引き、気に入った言葉をノートに書き写すようになっていました。

「特集総リード」は僕にはとても難しかったのですが、何度も辞書を引きながら読み、そこに紹介された本もたくさん購入しました。そのうちに自分で希望して雑居部屋から独居部屋に移してもらい、生まれて初めて耳栓を買ってテレビの電源も抜いて、作業から戻るやすぐに読書に耽るようになっていました。

亀井さんがいかに『致知』の世界に惹かれていったか。そのことがよく伝わってくるのではないでしょうか。

人の心は触れるものによって変わる

出所した亀井さんは裏社会との関係を断ち切り、企業家としての道を歩み始めます。やがて倫理法人会と出合いがあり、人間学の学びをさらに深められるのです。

「人の心は触れるものによって変わる」といいます。取材を通して実感したのはそのことでした。と同時に『致知』を求めている人が、この日本にはたくさんいることを強く感じた取材でもありました。

最後に、亀井さんがどのような思いで『致知』を読まれているか。ご本人が書かれた文章を最後にお届けしたいと思います。

『致知』との出逢いは、創刊30周年を伝える新聞一面の広告でした。紙面いっぱいに躍る「人間学」の文字。「人間学ってなんや?」――その衝撃を今でも鮮明に覚えています。振り返れば、まさに人生を変える「邂逅」でした。人生のどん底にいた僕に、人間は学びによっていくらでも変われることを教え、人生を救ってくれた『致知』。人間の根本は教育によって変わる。そのことを僕自身が身をもって体感しました。僕にとって『致知』は、奇跡を起こす本です。

亀井潤一郎(かめい・じゅんいちろう)
昭和51年大阪府生まれ。平成24年堺市でレンタカーの会社K- RENT を立ち上げる。令和元年堺市倫理法人会入会。事務長、副会長、専任理事を歴任し、令和6年会長に就任。

↓インタビュー内容はこちら!
◇暴走族から裏社会の道へ
◇祖父母が教えてくれたこと
◇人生を変えた『致知』との出合い
◇自我を手放す生き方を目指したい

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