2025年04月11日
交通、不動産、生活サービス、ホテル・リゾートを事業の柱にまちづくりを手掛け、216社7法人で構成する一大グループを統括する野本弘文氏。27歳の時に徒手空拳で創業した会社を上場企業10社を含む2,800億円規模のインターネットグループへと導いてきた熊谷正寿氏。企業を繁栄へと導いてきたお二人に、強い組織をつくるリーダーの心得を語り合っていただきました。
(本記事は『致知』2025年4月号 特集「人間における運の研究」より一部を抜粋・編集したものです)
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課長に課せられた3つの大事な仕事
〈野本〉
やっぱり同じ目的を共感しながら共有することが、組織を強くするための最大のポイントだと考えます。何のためにこの仕事をしているんだろうと思ったら、いい仕事はできません。
リーダーが目的やビジョンを繰り返し伝え、皆が同じ方向を向き、ベクトルを揃えていく。何のためにやるのかが明快になると、一人ひとりが当事者意識を持てる組織体になっていくと感じています。
私が2011年に社長に就任した際、「3つの日本一」というビジョンを掲げ、「日本一住みたい沿線 東急沿線」「日本一訪れたい街 渋谷」「日本一働きたい街 二子玉川」を追求してきたのもそういう思いからです。
〈熊谷〉
我々の場合はGMOイズムにすべて詰まっているんですが、敢えてそこにないことで私が日頃パートナーさんによく伝えているのは、「ベンチャーは成長がすべてを癒す」です。
我々のようなベンチャー企業は成長が止まった途端に様々なところで問題が噴出します。自分たちが成長してお客様に喜んでいただければ、結果的に役職も上がり、給料も増え、ポジティブスパイラルに入って心が癒される。いいことだらけですよ。だから、成長し続けないとダメなんです。
我々は写真を撮る時や乾杯をする時に、人差し指を立ててナンバーワンポーズを取ります。これは売り上げ一番、利益一番、マーケットシェア一番ではなくて、一番いいサービスをお客様に提供するとの誓いを込めているんです。
一番いいサービスを提供するとお客様は笑顔になって喜んでお支払いいただける。結果として売り上げや利益が上がり、私たちも株主様も笑顔になれる。この笑顔の循環、笑顔のトライアングルをつくることこそ、上場企業としての務めで、我々の目標なんです。
〈野本〉
大企業になればなるほど、それまで努力してきた方のことを忘れて、いまが当たり前だと錯覚する。その状態から出発すると、それ以上成長することよりも現状維持することに汲々としてしまう。だから、私はよく「課長に3つの大事な仕事がある」と言うんです。
1つ目は与えられた目標を達成すること。2つ目は新しい事業を起こすこと。3つ目は自分の後継を育てること。これができないといつまで経っても課長のままで、自分も会社も成長しません。お客様と一番近くで接する現場のトップが課長ですから、やっぱり課長力を高めないと企業力は落ちてしまいますよ。
私自身、課長時代にこの3つを絶えず意識して仕事に取り組んできました。
~本対談の内容~
◇素晴らしい人との出逢いがすべての始まり
◇まちづくりを手掛ける上で大切にしていること
◇AIを使えるか否かで人間とサルの差になる
◇東急グループに伝わる五島慶太翁の創業精神
◇全パートナーが共有する「GMOイズム」
◇「夢・人生ピラミッド」でどん底から這い上がった
◇エリートコースではない人間が社長に就いた要因
◇コロナ禍での開業という試練を乗り越えた閃き
◇400億円赤字の逆境でも誰一人辞めなかった理由
◇強い組織をつくるリーダーの心得
◇努力なくして運は掴めず 感謝なくして運は続かず
「お二人の出逢い」や「企業を取り巻く環境の変化、それを受けていま注力している取り組み」に始まり、「入社や起業のきっかけ、飛躍への転機」「特に影響を受けた人や本」「振り返って、運がよかったと感じる出来事」「最大の逆境や試練──それをどう乗り越えてきたか、それを通じて練り上げられた経営哲学や人生信条」、さらには「組織を強くするために大切なこと」「日頃、社員さんによく伝えているメッセージ」「運をよくする人と悪くする人の差」「成功している経営者の共通点」など、一冊の書籍になるほどの内容がギュッと凝縮されています。
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◇野本弘文(のもと・ひろふみ)
昭和22年福岡県生まれ。46年早稲田大学理工学部卒業後、東京急行電鉄(現・東急)入社。63年グループ会社である東急不動産に出向。平成13年事業戦略推進本部メディア事業室長、16年グループ会社でケーブルテレビ事業を行うイッツ・コミュニケーションズ取締役社長を経て、19年東京急行電鉄取締役。23年4月より取締役社長に就任。30年より取締役会長。東急グループ代表も務める。
◇熊谷正寿(くまがい・まさとし)
昭和38年長野県生まれ。平成3年ボイスメディア(現・GMOインターネットグループ)を設立。7年インターネット事業に進出し、11年には独立系ネットベンチャーとして日本で初めて店頭公開を果たす。現在は、上場企業10社を含むグループ114社を率いる。著書に『一冊の手帳で夢は必ずかなう』(かんき出版)『20代で始める「夢設計図」』(大和書房)など多数。
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