菊池雄星、大谷翔平を育てた花巻東高校・佐々木洋監督が語った「何をやってもツイてる人、空回りする人の4つの差」

2020年現在、メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手(26)や菊池雄星選手(29)など、数々のスタープレーヤーを育て上げてきた花巻東高校硬式野球部監督・佐々木洋さん。指導の中で見出した名選手の共通点――「何をやってもツイてる人、空回りする人の4つの差」について語っていただいています。

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言葉には力がある

私は運気を上げるために気をつけていることが4つあるのですが、そのうち一番大事なのが「言葉」だと思います。

試合中、相手や審判を野次ったり悪口を言った瞬間に一気に運気は下がって、必ず次の回に点を取られたりするんです。それは昨年の夏、準々決勝で大分の明豊高校と対戦した時にすごく感じました。

(エースの菊池雄星投手が背中を痛めて途中降板し、8回が終わって4対6。花巻東はここまでかと思われた)9回表の攻撃に移る前、私は選手たちには「まだ2点差しかないぞ」と言ったんです。言葉ってどう使っても自由ですよね。だから「5点差じゃない、まだ2点差なんだぞ」と。そうしたら、9回に2点入れて延長まで持ち込みました。

10回の表、佐藤涼平という選手がバントで1塁ランナーを2塁へ送った時、全力疾走でファーストに駆け込んだものだから向こうの選手と激突して倒れ込んでしまいました。
(佐藤選手はピクリとも動かず担架で運ばれていったため、誰もが彼は次の守備にはつけないと思っていた。だが10回裏、佐藤選手がまたニコニコ笑いながら全力疾走で守備に走っていく。その瞬間、会場が「ウオー」っとどよめいた)

あれには私も鳥肌が経ちました。もう敵味方なく、この球場は花巻東のためにあるんじゃないかと思うような拍手でした。甲子園にいる魔物ってこれかと思いまして、この試合は勝てると確信しました。

しかし、彼が倒れた時にファーストの選手をにらんだり、文句を言ったり、あるいは私が審判に激しく抗議したりしていたら、あれほど観客を味方につけることはできなかったと思います。やはりいかなる場面でも愚痴や毒を吐かないということが、運気を下げない大切なポイントだと思います。

運気を上げるための4つのポイント

私はずっと「おまえは運がいい、運がいい」と言われ続けているんですね。「菊池を獲得できて運がいい」とか「棚ボタで選抜に出て準優勝した」とか言われてですね、前は「俺だって努力しているんだ」とムッとしていました。でも最近、運というのは、運をつかむために自らをコントロールしている人のもとにしか来ないんだなと分かって、素直に喜べるようになりました。

では自分の何をコントロールしているかというと、1つは先ほどの言葉です。2つ目は一緒にいる人。親は選べませんが、友人は選べますよね。自分の意思で誰にでも会いに行って刺激を受けることができるわけです。

3つ目が表情、態度、姿勢、身だしなみ。2つ目にも通じますが、チャラチャラした格好をしている子はやはりそういう友達と一緒にいます。また野球でも逆転されてシュンとしたり、点を入れて大騒ぎしているチームにはあまり脅威を感じないんですね。逆に負けている時に笑顔でファイティングポーズとかが出るチームって怖いなと思う。特に監督が不安になったりすると一瞬でチーム全体に伝染しますから、表情、態度のコントロールは常に心掛けています。

そして最後はやっぱり感謝と謙虚さですね。とにかく敵をつくらず、味方をつくることが運を呼び込んでくると思います。例えば、うちのチームは宿泊したホテルから帰る時はすごくきれいに掃除させるんです。甲子園の時もホテルの方が「花巻東の使った後はベッドメイクが要らないくらいきれいにしてくれた」と喜ばれまして、ホテルの人たちが球場までわざわざ応援に来てくれたりしたんです。

例えば菊池雄星選手はゴミが落ちているのを見ると「神様が自分を試している」と思うと話していました。そうやって、いつも神様が自分を見ていると思っているんです。それから私が前にうちの選手たちに「成功している会社の社長さんの家を探っていったら1つだけ共通項があって、どの家もトイレの蓋が閉まっていたらしい」と話したら、どこに行っても蓋を閉めて回っています(笑)。

もしも、態度が横柄だったり、悪口ばっかり言っているチームは人がどんどん遠ざかっていきます。謙虚にしていると味方が増え、その人たちに感謝の気持ちを伝えると、さらに応援してくれるようになる。何をやってもツイている人と、何をやっても空回りする人の差はこの4つではないかと思っています。

(本記事は『致知』2010年3月号 特集「運をつかむ」に掲載された記事を抜粋・編集したものです)

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◇佐々木洋(ささき・ひろし)
昭和50年岩手県生まれ。平成10年国士舘大学卒業後、大谷学園横浜隼人高等学校にて硬式野球部コーチを経て、11年より花巻東高等学校勤務。バドミントン部、ソフトボール部の顧問を経て、14年硬式野球部監督。20年第81回選抜高校野球大会準優勝、第91回全国高等学校野球選手権大会ベスト4、新潟国体第3位となる。

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