宝塚歌劇団に伝わる「ブスの25箇条」

「清く、正しく、美しく」をモットーとする宝塚歌劇団に、ある日突然貼り出された25の戒めがあります。その名も「ブスの25箇条」。こうするとブスになるという25箇条は、人間としてかくあるべきという資質を逆説的に説いています。元宝塚歌劇団男役トップスターで、現在は女優として活躍する貴城けいさんにお話しいただきました。

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宝塚歌劇団に貼り出された「ブスの25箇条」

私が宝塚歌劇団を退団する1年ほど前だったと思います。ある時期から歌劇団の人なら誰もが目にする場所に貼り出された1枚の紙。

そこには「ブスの25箇条」とありました。

いつ、誰が、何のために貼ったのか、誰に聞いても分かりません(しかもいまは外されているというから、ますますナゾです)。

しかし、誰もがその貼り紙の前で足を止め、見入っていました。「こうするとブスになる」という、この25の戒めは、何も女性だけを対象としたものではなく、人間としてのあるべき姿を逆説的に示したものではないかと思います。そして延いてはそれが人から愛され、運を呼び込むための資質といえるのではないでしょうか。


・笑顔がない

・お礼を言わない

・おいしいと言わない

・目が輝いていない

・精気がない

・いつも口がへの字の形をしている

・自信がない

・希望や信念がない

・自分がブスであることを知らない

・声が小さくイジケている

・自分が最も正しいと信じ込んでいる

・グチをこぼす

・他人をうらむ

・責任転嫁がうまい

・いつも周囲が悪いと思っている

・他人にシットする

・他人につくさない

・他人を信じない

・謙虚さがなくゴウマンである

・人のアドバイスや忠告を受け入れない

・なんでもないことにキズつく

・悲観的に物事を考える

・問題意識を持っていない

・存在自体が周囲を暗くする

・人生においても仕事においても意欲がない


夢や願望といった壮大なことではなくとも、「人としてよく生きたい、美しく生きたい」という思いは、誰しもに共通したものだと思います。なんでもいいのですが、例えばこの「ブスの25箇条」を読んで、まずは「自分ってどうなんだろう」と振り返ってみることが第一歩ではないかと思います。

最初はすべて当てはまっていてもいいのです。「よし、1つずつクリアしていこう」と決意し、実践する。そしてそれを継続した人のみが成功し、必然的に運をつかむ人になるのではないかと思います。

1日でクリアできる人もいれば、10年かかる人もいるでしょう。しかし、自分の歩幅に合わせて、少しずつでも前進していくことが、結果としてその人の人間力となり、魅力となる。そうなれば、運のほうから自分のところへやってくるのではないかと思っています。

スポットライトの裏側にあるもの

退団して2年が過ぎましたが、活躍している同期も多いので、いまでも時間があれば宝塚の公演を観に行きます。いざ客席に座ってみると、「私、よくあんなにハードなことをやっていたな」と自分で驚いてしまいます。

やはり宝塚のトップはものすごい精神力、体力がなければ務まらない。私は在任1年でしたが、その1年はすべてが公演一色の生活でした。根こそぎ公演にエネルギーを注ぎ、終了後はぐったり。それ以外のことをしたり、考えたりする時間も体力も残っていません。

ごはんは食べなければいけないけれども、「おいしいものを食べに行こう」という元気も失われ、「早く帰って、ごはんを食べて、とにかく早く寝なければ」という、修行者のような日々でした。

宝塚の大階段から明るく、大きなスポットライトを浴びて降りてくるトップの裏側には、必ず努力と忍耐の日々があるのです。

しかし、そんなことはおくびにも出さず、満面の笑みで歌い、踊り続け、お客様に夢のひと時を提供する。どんなに疲れていても、どんなにつらいことや悲しいことがあっても、劇場に足を運んでくださったお客様に心から感謝を込めて最高の笑顔でお迎えする。そして笑顔で劇場を後にしていただく。

それがタカラジェンヌとして、一番のベースとなる心構えであったように思います。


(本記事は『致知』2010年3月号 特集「運をつかむ」より、記事の一部を抜粋・編集したものです)

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◇貴城けい(たかしろ・けい)
東京都生まれ。平成4年に第78期生として宝塚歌劇団に入団。雪組に配属。正統派男役として早くから活躍。18年5月宙組に組替え、7月宙組男役トップスターに就任。19年歌劇団退団。現在は舞台、ドラマを中心に活躍中。著書に『宝塚式「美人」養成講座』(講談社)がある。

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