2024年04月14日
総従業員数1万7,000人を率いるSBIグループの総帥として、金融ビジネスの荒波を「常に主体的に渡り歩いてきた」という北尾吉孝氏。仕事や人生を通じて「いかに身を修めるか」を一貫したテーマに置き、幼少期から慣れ親しんできた東洋古典を引き合いに現代社会の風潮を論じたり、築き上げてきた仕事観・人生観を率直に語ります。令和の時代を生きるビジネスパーソンに贈る珠玉の自己修養本、『人間学のすすめ』の中から、北尾氏が考える「仕事で伸びる人の特徴」をご紹介します。 ◎各界一流プロフェッショナルの体験談を多数掲載、定期購読者数No.1(約11万8,000人)の総合月刊誌『致知』。人間力を高め、学び続ける習慣をお届けします。
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仕事で伸びる人の10の特徴
以前、仕事において「この人は伸びる」と思われる人の特徴について書かれた記事がありました。
その10の特徴とは、
①素直な心を態度で示せる人、
②ポジティブ感情を生かしている人、
③感謝の心を言動で表せている人、
④目的に見合った情熱を持ち続けている人、
⑤好奇心と向学心がある人、
⑥数字に敏感で数学的思考ができる人、
⑦「やると良いこと」の習慣化ができている人、
⑧待機できる人、
⑨仕事にかかわる人と好情をはぐくめる人、
⑩健康管理とメンタルヘルスケアができている人、とのことです。
私が仕事で「この人は伸びる」と思えるか否かは、パンツのゴム紐と一緒で伸びたり縮んだりする弾力性を有しているか否か、だと考えています。
ちなみに国語辞典を見ますと、弾力性とは「思考や行動などの状況に応じて変化できる性質。柔軟性や融通性」と書かれています。
伸びる人は、余裕があります。
例えば、ある大学の入試に同能力の2人が臨む時、一所懸命努力に努力を重ねてやっとの思いで来た人と、大して努力している様子もなく余裕綽々でいる人がいたとします。
結果として共に入学できたとしても、合格擦れ擦れで何とか選ばれた前者は、将来的にあまり伸びないかもしれません。
つまり前者は受験勉強の成功だけである種の達成感を得て、大学での勉強に対する意欲も無く、サークル活動やアルバイトに明け暮れてしまいがちなのではないでしょうか。
また、仕事で伸びる人と思えるかどうかは、その人をどこまで長い目で見るかにも拠るものです。
初めの2、3年くらいで見れば余裕綽々な方が早く伸びますが、これを10年のスパンで見ると分からない部分が出てきます。
ずっと余裕綽々でいる人は要領が良いだけで本当の意味での努力をしませんから、結局次なる境地へ到達できないことがあるのもまた事実でしょう。
世の中には、全く勉強しなくてもIQがとても高く、大変な潜在力を持つ人がいます。
その人たちに様々な動機づけを行って、仕事に対する意欲を持たせると物凄く伸びるわけです。そういう意味で私は、ポテンシャルが非常に大事だと思っています。
さらには、決まった仕事を熟すことに秀ずる人がいる一方で、決まった所からどんどんはみ出ていく中で力を発揮できる人もいます。これも言ってみればポテンシャルということでしょう。
人の上に立つ者は、部下がどれ程の伸び代を有しているかを見極めねばなりません。
ポテンシャルの無い人に次を期待するのは、なかなか難しいことです。これは、企業の役員にも当て嵌ります。役員になった人たちが部下の時、出来が大変良かったかというと、必ずしもそうでもありません。
例えば我々の生きた時代を考えてみても、小学校の秀才が大学時代も秀才であったという例は少ない気がします。小器夙成のケースが多いようにも思います。
小学校時代に親に尻を叩かれ猛勉強し天童とまで言われていたような人は途中で力尽きてしまって、年を重ねるに従い大した人物にはならず蓋を開けてみれば何か小さくまとまってしまうといったケースが多々あるように思います。
それは要するにパンツのゴム紐と一緒で伸び切ってしまったら役に立たないのです。終局、「この人どこまで伸びるか分からんなぁ」という弾力性を常に持っていることが非常に大事になるのです。
大器晩成型の人は弾力性があり、この伸び代が大きいのでしょう。
本記事の内容は、『人間学のすすめ』(北尾吉孝・著)より抜粋しています。
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昭和26年兵庫県生まれ。49年慶應義塾大学経済学部卒業。同年野村證券入社。53年英国ケンブリッジ大学経済学部卒業。野村企業情報取締役、野村證券事業法人三部長など歴任。平成7年孫正義氏の招聘によりソフトバンク入社、常務取締役に就任。現在SBIホールディングス代表取締役社長。著書に『何のために働くのか』『修身のすすめ』(共に致知出版社)など多数。