人が3年かかって覚える仕事を、絶対に1年で身につけよう-「料理の鉄人」が語り合う、成長の極意

1978(昭和53)年に創刊された月刊誌『致知』の45周年を記念し刊行された、『一生学べる仕事力大全』。同誌では1万人以上の人物取材の中から「後世に残したい」54本のインタビューや対談記事を選び抜き、1冊にまとめました。本書の中から、『致知』2012年4月号に掲載された、「銀座ろくさん亭」主人・道場六三郎氏と、「ラ・ロシェル」店主・坂井宏行氏が語り合う、成長の極意についてご紹介します。

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人よりいかに早く手を動かすか

<道場>
例えばだし巻きのつくり方なんかを覚えるのでも、いまここに置いてあるようなタオルをだし巻きの形にして空の鍋に入れ、上手に返す練習をする。
そんなふうにいろいろなものを使ってよく訓練をしました。

<坂井>
僕もジャガイモのシャトー剥きというのをやるのに、玉子で練習したりしていましたね。

また当時の僕は、きょう与えられた仕事はきょう中にやってしまう、クリアする、明日に延ばさないということを常に心掛けていました。

我われの修業時代は石炭ストーブの時代ですから、朝、火をおこすのに結構時間がかかってしまうんです。だから前の晩に炭を全部搔き出しておき、先輩たちが来られた時に、すぐ仕事ができるような段取りをしておく。

とにかく自分は料理人として生きていくんだという自負の中で、早く仕事を覚えたいという思いがあった。

そして5年後にはシェフになるぞ、10年後には店を持つぞというように、自分の目標を5年先、10年先、20年先と持って、それをクリアするために、きょう何をしなくちゃいけないかをいつも考えていました。

要は人よりいかに早く手を動かして早く仕事を覚え、自分の料理を出せるようになれるかということです。

道場さんも言われたように、ライバルはいっぱいいるんですよ。でもそこで自分が頭一つ抜きん出ていかないと、いつまで経っても埒が明かない。

<道場> 
例えば1つの店に10人が働いていたとする。

もしその中で1番になれれば、世間にはそういう店が無数にあるわけだから、本当は何万人という料理人の中での1番か、それに近い実力があるということなんです。
逆に言えば、その店でダメな奴はどこの店に行ってもダメだということですね。だからまずその店で1番になることが大事。

<坂井>
そのとおりですね。

<道場> 
だから僕はいつもこう思っていました。

人の2倍は働こう。人が3年かかって覚える仕事を、絶対に1年で身につけようと。

キュウリでも3本までなら重ねて切れますが、僕はさらにその上に2本置き、これを刻むにはどうしたらいいかと考えた。

普通にやっては切れないが、手首のスナップをうまく利かせれば5本一遍にでも切れる。そうやっていろんなことを自分で編み出していきました。そうしなければ、いつまで経っても浮かび上がれないという危機感がありましたから。

<坂井> 
僕もジャガイモ剥きの競争などをよくしたものです。相手が同じ時間で3個剥くなら、自分は10個剥くとか。

そうやって人より1歩でも2歩でも余分にやって技術を修得し、次のものを覚えるということの大切さは、どの世界でもまったく同じですよね。

本記事の内容は、『一生学べる仕事力大全』(藤尾秀昭・監)より抜粋しています。
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道場六三郎さん、坂井宏行さんは共に弊誌『致知』をご愛読いただいています。創刊45周年を祝しお寄せいただいた推薦コメントはこちら↓↓◎

私は92歳の現在、週に2回のゴルフと、ここ2年くらいはYouTubeで家庭料理を紹介しています。また、月替わりの献立作りもライフワークとして続けています。お客様の笑顔は、私の生き甲斐そのものだからです。
そうは言っても年齢は年齢です。最近支えの大切さを意識するようになりました。ゴルフで脚を鍛えているつもりでいても、階段では手すりを支えにし、疲れてくれば支えの壁も頼りにします。確かな支えの感触を確かめながら、こうして幾つも人様に支えられてきた道のりを思い出すとき、つくづく有難いと思うのです。時には弟子たちに頼られて自ら支えになったときもありました。
人は皆、支えによって救われます。私にとって『致知』は心の支え、人生まだ92年、幸せを生きる道途中です。

創刊45周年、誠におめでとうございます。
私はレストランをオープンして43年が経ちますが『致知』は経営者としてぶれない軸を持つための教科書となっています。更に人間性を養っていくためにこれからも読み続けたいと思っています。
今後も多くの人々の心の拠り所であり続けてください。

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