東洋思想研究家・田口佳史氏が語る、『中庸』を学ぶ意義(『中庸講義録』)

経営リーダーを対象にした田口佳史氏による大人気の古典講義録を書籍化。四書の一つとされる儒教の代表的古典を現代に紐解き、道とは何か、忠恕とは何かといった根本原理から、君子のあり方や組織を運営する原則まで、人の上に立つ者の心得や実践訓を丁寧に説き明かしていきます。本書の中から、混沌とした現代に『中庸』を学ぶ意義をご紹介します。

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「これなくして人間にあらず」ということを教える

コロナも大敵で、当初は一年ぐらい我慢すればなんとかなるだろうと思っていましたが、なかなか厄介なものです。

人間の知恵でなんとか駆逐をしたいものだと思っていますが、そんな最中にロシアとウクライナの戦争が起こりました。ここでお話ししている人間学の教育と真っ向反対なことが起こっています。

前回もお話ししましたが、私は今、東洋思想を基本として「世の中こうなるべきではないか」というメッセージを英語と中国語で世界に発信しています。

この度の戦争に際しては、民間人を撃ってはいけないというような細かい条件を付けて許容するのではなくて、戦争そのものをこの世からなくすべきではないかというメッセージを発信しました。人が人を殺すなんて不道もいいところです。

道を説いている立場の人間から言わせてもらえば、今日生きてこの時代を迎えている人間として、皆がこぞって「戦争をなくそう」と言うべきではないかと提唱したいのです。

私は戦争中に生まれ、戦争から人生が始まりました。

東京大空襲のときは三歳で、命からがら逃げるという体験をしました。未だにウーッというサイレンの音を聞くと落ち着かない気分になります。だからこそ、戦争は条件抜きで絶対この世からなくさなくてはいけないと主張していきたいと思います。ぜひ皆さんにもご協力いただきたいと思います。

そういう願いもあって、この『中庸』を読むととても身に沁みるところがあります。

前回、「天の命ぜる、之を性と謂ふ。性に率ふ、これを道と謂ふ」という言葉の説明をして、道を修めるのが教育だという話をしました。その教育が今は知識教育一辺倒になってしまっています。なにしろ覚えろ覚えろとやっておりまして、子供がかわいそうです。

しっかりした人間として育つということの第一歩は、道のなんたるかを教えることなのです。だから『中庸』では、「天の命ぜる、之を性と謂ふ」という「性」とは何かを教えて、本性にしたがって生きることが生きるということなのだと教えてあげなければいけないと言っているわけです。

『大學』にしろ『小學』にしろ、幼年教育の教科書では、「これなくして人間にあらず」ということをしっかり教えています。そこから成長させなくてはいけないのです。

しかし、そういう意見が全く通じないのです。

私も小学校教育に関わりましたが、なにしろ「覚えろ、覚えろ」という教育です。そういう教育をすると、テストには強いけれど人間としては不完全な人ができあがります。

それが本当の教育なのかと文科省とも随分やり合いましたが、「あなたのような考え方の人は珍しくて、大方の人は今の教育を良しとしています」と言われました。こういう認識の違いはどうしようもできません。

人間を育てるという意味で、『中庸』をはじめとする四書は実にうまくできています。

「これなくして人間にあらず」というものを非常に端的に主張しています。ですから、皆さんにもぜひここで学んだことをご家庭に持ち帰って、お子さんたちに教えてあげていただきたいと思うのです。

本記事の内容は、『中庸講義録』(田口佳史・著)より抜粋しています。
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◇田口佳史(たぐち・よしふみ)
昭和17年東京都生まれ。新進の記録映画監督としてバンコク市郊外で撮影中、水牛2頭に襲われ瀕死の重傷を負う。生死の狭間で『老子』と運命的に出会い、東洋思想研究に転身。「東洋思想」を基盤とする経営思想体系「タオ・マネジメント」を構築・実践し、1万人超の企業経営者や政治家らを育て上げてきた。主な著書(致知出版社刊)に『「大学」に学ぶ人間学』『「書経」講義録』他多数。最新刊に『「中庸」講義録』。

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