2024年01月02日
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町工場として初の株式上場を果たしたエーワン精密。創業者である梅原勝彦氏は12歳から丁稚として金属加工に携わり、技術力を武器に起業しました。経営のいろはを知らぬながら、氏はいかにして平均経常利益率35%超という経営体質を築き、社を牽引してきたのか。その背景にあったリーダーとしての「器の磨き方」について語っていただきました。
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リーダーとしての器の磨き方
〈梅原〉
自慢じゃないけど部品の値段は50年前から一度も上げたことがない。
物価が上昇し、社員の給料は上げても、経営の合理化などで工夫して、部品の値段はずっと一緒です。だからお客様から喜ばれ続ける。
その後、コレットチャックという部品や刃物の仕事も手掛けたけど、共通しているのは利益が出るか、世の中に必要か、トップになれるか。この3つが僕が新規事業を手掛ける時の判断基準です。
業界のトップになれるかというのが一番ハードルが高いんだけど、なぜトップにこだわるかって、トップはプライスリーダーだからね。
──明確な経営の軸をお持ちだったのですね。
〈梅原〉
1970年、31歳でエーワン精密をつくった時も、「いの一番」という思いを込めてA‐ONEと社名を決めました。
おかげさまでカムは好調で、4年後に山梨に工場用の土地を買い、周囲からは順風満帆に見えたかもしれない。だけど、手作業で行う轆轤が不要になったように、今後さらに機械化が進めば、カムの需要が減っていくのが予想できた。
そこで目をつけたのが現在の主力商品であるコレットチャック。これは旋盤の構造上、必須な上に消耗品。
このニッチ産業なら勝てると確信して、少しずつ生産を始めたんだけど、知識も技術も不足していていい部品がつくれず、事業としてものになるまでに10年はかかった。
その間カムで利益を出せていたから、新規事業で挑戦し、莫大な投資ができたんだ。
(主力製品のコレットチャック 提供:エーワン精密)
──先見の明がおありだったのですね。経営者としての器はどのように磨き高めてこられましたか?
〈梅原〉
言っていることとやっていることが変わらない、これが大事だと思ってきました。
だから疲れたよ。100何人の社員が皆で僕の後ろ姿を見てるんだもん。
でも器というのは社会の荒波が揉んでくれるから心配ないね。考え方に一本芯が通っていれば仕事が自分を成長させてくれる。
僕はトップを狙える、利益が出る、お客様の役に立つという軸があったから、経営で迷うことはなかった。
──利益が出てくると人間は私利私欲に走りがちですが、その軸を貫き通せた要因はなんでしょうか。
〈梅原〉
それは小さい頃の家庭環境も影響しているんだろうな。だてに人よりも10年早く働いているわけじゃないからね。学校出てない分、人の上に立つためにどうしたらいいかを悩んでいたんだろうな。
それで30代後半頃からいろいろな本を貪り読んでいた。初めはどうすれば利益が上がるかとか、経営に直結する本を読んだけど、そのうち人間はいかに生きるかなど、生き方や考え方を学ぶ本や中国古典を読むようになりました。
本記事は、エーワン精密が驚異の利益率を実現した具体的取り組みや、リーダーとしての器の磨き方に留まらず、梅原氏が幼少期に経験した逆境を踏まえ、逆境からいかに立ち上がり、人生を発展させていけばよいかについて示唆に富む内容となっています。
◉『致知』1月号 特集「人生の大事」◉
インタビュー〝「一に社員、二に社員、
三四がなくて、五に社員
」〟
梅原勝彦(エーワン精密創業者)
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◇梅原勝彦(うめはら・かつひこ)
昭和14年東京生まれ。小学校卒業後の12歳から働き始め、夜間中学を卒業。40年に兄と共に起業し、45年に独立してエーワン精密を設立。徹底した数値管理に基づくスピード重視の経営によって、創業以来の売上高経常利益率が平均で30%を超える高収益企業に育ててきた。平成16年にジャスダック上場。19年から令和4年まで相談役を務めた。著書に『「速さ」で稼ぐリーダー47のコツ』(日経BP)など。