倫理運動の創設者・丸山敏雄と哲学者・森信三——二人の巨人が説く国家再建の道(丸山敏秋)

左が森信三師、右が丸山敏雄師

倫理運動の創設者である丸山敏雄氏と、哲学者・森信三氏は同時代に生まれ、広島高等師範学校時代には西晋一郎という共通の師に学びました。生涯、一度も接点がなかったお二人ですが、その思想や歩みには共通点が多くあります。丸山敏雄氏の令孫で、森氏とも交流があった倫理研究所理事長・丸山敏秋さんに、実践によって培われたお二人の哲学の神髄を語っていただきました。

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国家再建の根本は夫婦の道にあり

(丸山敏秋)
祖父と森先生が求めたもの、それは在野における実践的な人間教育でした。いわゆるアカデミックな世界とは一線を画し、一般の人たちを相手に人間の生き方やあり方をコツコツと説き続けられたのです。足がしっかりと地に着いて、精神の垂直軸を持った日本人の育成。二人が目指した教育は、そこにありました。

具体的にいえば、祖父は戦後間もなく『夫婦道』という論文を認め、これが倫理運動の実質的なスタートとなりました。そこに込められた祖父の思いは、民族の拠って立つ基盤は家庭であり、その家庭の中心は夫婦である。この道が乱れていては国の再建はできないというものでした。

そういう信念のもと、昭和22年には新世会を設立、『文化と家庭』(現在は『新世』)という雑誌を発行しました。

家庭教育を重視した祖父の人間教育は、森先生の教育観と通じるものがあります。『森信三小伝』(致知出版社)には、先生の教育観について、戦後の講演行脚に関連して次のように書かれています。

「今一つ、日本民族の再建は、家庭教育より他なしとの考えから、全国津々浦々を説いて廻りたいとの念願でもありました。……そのうち、雑誌発行をとの思いが実り、ついに昭和二十二年二月号より『開顕』誌を創刊するに到りました。……今『開顕』誌を手にすると、その巻頭の上欄に『立場』と題して『自省を通して新生日本の道を究明せんとす』という一語があるのがひときわ眼を引きます」

興味深いのは、祖父と森先生が日本の果たすべき役割についても似たようなことを述べている点です。これも二人の言葉を引用してみましょう。

「日本は、人類永遠の平和のための使徒であり、世界文化の中核として、東西融和のカタライザー(触媒)となることが不足なのであろうか」(丸山敏雄「青年よ、足下を掘れ」)

「人類の今後の文化は、現在不当に膨張した『有の文化』である西洋の物資文明と、『無の文化』としての東洋文化とが、互いに歩み寄ることによって、そこから新たなる第三の文化の生まれ出る可能性が約束せられているかに思われます。……全世界を見渡しても、結局われわれ日本民族ほどそれに応わしい民族は無いのではないかと思われます」(森信三『不尽片言』)

生涯、一面識もなかった二人が全く同じことを述べていることに驚かされますが、そのルーツを辿れば、そこにあるのはやはり西晋一郎先生の教えなのでしょうか。


(本記事は月刊『致知』2022年9月号 特集「実行するは我にあり」から一部抜粋・編集したものです)

◉丸山敏秋さんには、このほかにも「丸山敏雄と森信三」の歩みについて、ご自身の体験を交えて語っていただきました。

「忘れ難き森信三先生の手紙」

「アカデミズムから実践哲学の世界へ」

「苦難の中で掴んだ人生の真理」

「現代人が学ぶべき実践哲学」

など、丸山敏雄、森信三、両哲人が遺した教えの神髄、知られざるエピソード、また日本が再び甦るための要諦を語っていただいています。本記事の詳細・ご購読はこちら致知電子版でもお読みいただけます】

◇丸山敏雄(まるやま・としお
明治25(1892)年~昭和26(1951)年。福岡県生まれ。広島高等師範学校を卒業後、福岡県内の中学・高校に赴任。長崎県女子師範学校首席教諭となるものの、更なる探究心から広島文理大学に学ぶ。宗教修行を経て戦後は倫理運動に取り組み、組織的な活動を展開する。

◇森信三
明治29(1896)年~平成4(1992)年。愛知県生まれ。大正11年広島高等師範学校卒業。15年京都大学哲学科卒業。昭和14年旧満洲の建国大学教授、28年神戸大学教授。「国民教育の師父」と謳われた在野の教育者・哲学者であり、その教えはいまなお多くの人々の人生の糧となっている。

◇丸山敏秋(まるやま・としあき)

昭和28年東京都生まれ。51年東京教育大学文学部哲学学科卒業。59年筑波大学大学院哲学思想研究科博士課程修了。文学博士。日本学術振興会奨励研究員茨城大学・筑波大学、目白大学非常勤講師など歴任。著書に『家庭のちから』『生きぬく力』(共に新世書房)『至心に生きる』(倫理研究所)など多数。

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