オリックスシニア・チェアマン、宮内義彦さんが「ビジネスの親父」から学んだこと

リース業という未開拓の分野を日本に根づかせたのみならず、事業の多角化を図り、日本経済の発展に大きく貢献してきたオリックスシニア・チェアマンの宮内義彦さん。その宮内さんが「ビジネスの親父」として薫陶を受けたのが、オリックスの前身であるオリエント・リース社長を務めた乾恒雄氏です。宮内さんに乾氏のもとでの社長修行の日々を振り返っていただきました。

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乾恒雄氏に学んだ仕事の要諦

〈宮内〉
乾さんという方はいわゆる「明治の男」で、思い込んだら命懸けで事を成そうとする一本筋の通った方でした。この強力なリーダーシップによって、現在のオリックスの基盤が築かれました。

乾さんが社長としてまず取り組んだのは、12名のメンバーにどうやって生き生きとがむしゃらに働いてもらえるかということ。皆が出向社員で、しかも競合同士の寄り合い所帯では会社は回らない。そこで創業間もない頃から12名のメンバー1人ひとりと語り合い、最終的に多くのメンバーがオリエント・リースへ転籍しました。

「企業はパブリックな存在であるべきだ」「会社というものは自分の足で立たなければいけない」

いまのオリックスにも受け継がれるこの信念は乾さんが貫いたものの1つです。親会社からの独立を早い段階から志し、創業2年目からは新卒採用を開始し、7年目に大証二部への上場を果たします。そうして親会社の意向に左右されない事業展開を推し進めることができました。時は高度成長期、多くの企業がリース子会社を立ち上げるも、当社ほど独自路線を歩んだ会社はありません。

乾さんは13人の創業メンバーの中で最年長で、私とは25歳差です。私にとって乾さんは「ビジネスの親父」であり、本当によく目を掛けてもらいました。一番若手だった私を初めから次期社長にと考えていたわけではないと思いますが、ある時から乾さんに連れられていろいろな場に参加するようになりました。いま思えば社長としての修練を積ませてもらっていたのでしょう。思い出深いエピソードが一つあります。

乾さんは特に社外の集まりを大切にする方で、多忙で参加できない時には代理で私が出席することもありました。しかし、中には仕事と直接関係がないと感じるものも多く、多忙を理由に乾さんに黙って欠席したことがあります。

ところがそれを乾さんに知られると、普段は温厚な乾さんが「仕事に直接関係がないからこそ行けと言っている」とひどく叱るのです。様々な場に顔を出し、ご縁を広げていくことの重要性を直接ご指導いただけたことは貴重な経験でした。それからは極力すべての会に参加し、「芸者踊りの会」にまで参加したのは懐かしい思い出です。


(本記事は月刊『致知』2021年12月号 連載「二十代をどう生きるか」より一部抜粋・編集したものです)

◎この他にも、宮内さんには「リースを日本に定着させる」「高度な専門性と人間力」など、若き日を振り返っていただきながら、仕事や人生の壁を突破するヒントを語っていただいています。宮内さんの記事を掲載した月刊『致知』2021年12月号 特集「死中活あり」の詳細・ご購読はこちら

◇宮内義彦(みやうち・よしひこ)
昭和10年神戸市生まれ。33年関西学院大学商学部卒業。35年ワシントン大学経営学部大学院でMBA取得後、日綿實業(現・双日)入社。39年オリエント・リース(現・オリックス)入社。45年取締役、55年代表取締役社長・グループCEO、平成12年代表取締役会長・グループCEOを経て、26年より現職。著書に『グッドリスクをとりなさい!』(プレジデント社)『私のリーダー論』(日経BP)など多数。

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