原田隆史氏が大反省から掴んだ、人財教育に欠かせない2つのコツ

生徒指導担当の教師として、荒れに荒れていた大阪の中学校を見事に立て直し、現在はビジネスマンやアスリートたちに向けて愛情深く人材教育を行っている原田隆史氏。氏が生徒たちの心を立て直すコツを掴むまでには、失敗と反省の日々があったそうです。

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靴が揃うだけで変化が起こる

〈原田〉
大阪で問題のある学校を次々に立て直し、「生徒指導の神様」などと呼ばれて少々天狗になっていた僕が三校目に赴任したのは、「しんどい」と言われていた中学校でした。

いまでこそ、学校教育のモデル校にされるほど生徒の態度がよく、部活動でも多数の日本一を輩出している同校ですが、当時は多くの問題をかかえていました。生徒や教師、保護者の間にもあきらめのムードが漂い、ハッキリとした「夢・自信・プライド」が持てない、それが当時の状況でした。

なぜ、生徒がそんな状況になってしまったのか。僕はわかっていました。

教師になって3年目、僕は、生徒が亡くなるという事件に遭いました。辛くて転職を考えていたある朝、母にこんな言葉をかけられました。「自分を変えなさい」。環境や相手を変えたところで何も変わらない。自分を変えてはじめて「変わる」と。

松下幸之助氏の本にもあったこの「主体変容」が僕の考えの原点ですから、当時の状況を好転させるためには、親や教師が自ら「夢」を描き、自信とプライドを持って生きる以外に道はなかったのです。

よし主体変容だ。自分がいままでより高い夢を語り一所懸命な姿を見せて、生徒とともに上がっていこう! 早速生徒を集めて宣言しました。

「皆を日本一にするで! 見学者がたくさん訪れるような学校日本一。それから3年以内に陸上日本一を出す。できなければ教師辞める!」

学校日本一、これは僕の最も得意とすることです。ポイントは、整理整頓や挨拶など身の回りの些細なすさみをとること。まずは生徒たちと相談し、靴を揃えることから始めました。

靴が揃うだけで変化は大きいのです。暴力事件が減り言葉遣いが良くなる。さらに学外の多くの方々に大変感動されたことをきっかけに、生徒たちのプライドに火がつきました。靴を揃える精度が上がり、意識が急激に高まってきたのです。

どんな些細なことでも、徹底的にやり切り、誉められることがどれほど大切なことか。生徒が素直さを取り戻しただけで、学校の雰囲気がガラリと変わり、その年の陸上ランキングで日本2位が誕生しました。

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「人財」教育に欠かせないもの

ところが僕はバカでした。「オレはやれる」と天狗になってしまった。以後、逆転や僅差で負け試合が続き、どうしても勝てなくなってしまったのです。

迷った時は、先達の真似をするのが一番です。マラソンの高橋尚子選手は、シドニー五輪の10年前には小出監督と「シドニーで金メダルをとる」と決めていました。頑張るだけでは勝てない。まず決める、目標設定が重要だったのです。

次に必要なのが自己分析。目標達成には何が足りないか。過去の成功例と失敗例、問題点、解決策。徹底的に書き出すことで、具体的な方策が見えてきました。

あとは実行、と思うかもしれません。しかしやり切るためには、どんな困難にも負けない強い心が必要になります。強い心は、不可能を可能にした時につくられるのではありません。小さなこと、できることを継続する中で育まれていくのです。

そこで、生徒に皿洗いなど家の手伝いを1,000日間続けさせました。特例は一切無し。サボりそうな子は常に確認しながら、一緒になってやり切らせました。

他にも心を使う・きれいにする・整理する・広くするという五つの心づくり指導を行うと生徒がみるみる変わり、7年間で、13回もの日本一を輩出、予告宣言優勝までなし得ることができました。

目標設定と強い心づくり、この2つはこれからの「人財」教育に欠かせません。自分で目標を設定し方法を考え、やり切って成果を出す。そういう自立した人間を育てていかなければならないのです。


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連載「二十代をどう生きるか」にて、いまを生きる若者たちへ
熱く心震えるメッセージをいただきました!


(本記事は月刊『致知』2004年9月号 特集「恕」に掲載された講演を要約・抜粋したものです/文責=致知編集部)

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