ひな人形を持って春の野山へ——桃の節句に知りたい「ひなまつり」の歴史

女の子の健やかな成長と幸せを願う行事である桃の節句のひなまつり。しかし、その大もとは女の子に限られず、老若男女を問わず行われる「流しびな」の風習にありました。年中行事を「幸せになる魔法」だと語る人気マナー講師・井垣利英さんと共に、ひなまつりの歴史と心温まる逸話を振り返り、日本の年中行事の奥ゆかしさを味わいます。

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はじまりは厄祓いの行事だった

〈井垣〉
ひなまつりを感じで書くと、「雛祭り」。この「雛」というのは、もともとは「ひいな」と読み、小さい愛らしいものすべてをさす言葉です。

ひなまつりは、今では女の子の成長と幸せを願う行事ですが、昔むかしは「流しびな」という、草や葉っぱや紙でつくった人形(ひとがた)を川や海に流す厄祓いの行事でした。人形というのは紙を切り抜いて人の形に見立てたもの。今でも、六月の「夏越しの祓え(なごしのはらえ)」の儀式で使われています。

流しびなは、草や葉っぱや紙の人形で体をなでながら、「わたしの穢れをもらってください」「病気をもらってください」「自分に降りかかるわざわいをもらってください」と思いを託し、それを川や海に流すものです。

この流しびなの風習は、もともとは男も女も年寄りも子どもも区別なく、3月上旬に行われていました。これがひなまつりの大もとです。

弟、妹を想う「ひなの国みせ」

〈井垣〉
ひな人形やひなまつりには、心温まる美しい話が残っています。

昔むかし……、春になり、桃の節句の季節になると、女の子たちはひな人形を持って山に登ったものでした。春のおだやかな陽ざしの中で、女の子たちは小高い山に行き、草のうえに着てきた晴れ着の羽織を広げます。そしてひな人形をかざるのです。小さい人形という意味のひな人形です。今のひな人形のように完成されたものではなく、とても素朴なものでした。

丘の上にひな人形をかざって何をするのかというと、ひな人形に四方の春の美しい景色を見せてあげるのです。

これは「ひなの国みせ」といい、実際に行われていた風習です。

じつはひな人形に、生まれてすぐ、あるいは幼くして死んでしまった弟、妹のことを託しています。旧暦では、ひなまつりのころには桃の花や橘などが満開です。寒くて暗い冬が終わり、いっせいに花が咲きはじめ、美しい変化をとげる春がやってきました。

「このようすを、弟や妹にも見せてあげたかったな」と思う小さなお姉さんやお兄さんたちの優しい、切ない気持ちが伝わってくるようです。

昔は子どもが生まれるのも育つのも、大変な時代でした。だからこそ、亡くなった弟、妹に、生きていればいっしょに楽しめた世界を見せてあげる。そうやって遊んでいたのです。


(本記事は『開運 #年中行事はじめました』より一部を抜粋・編集したものです。)

月刊『致知』最新号(2021年4月号)特集「稲盛和夫に学ぶ人間学」には井垣先生がご登場。
稲盛和夫氏から受けた「プラス思考」や「誰にも負けない努力」の訓えについて詳しく語っていただきました◉

◇井垣利英(いがき・としえ)
株式会社シェリロゼ代表取締役、人材教育家、メンタルトレーナー、マナー講師。名古屋生まれ。中央大学法学部卒業。 女性が多く働く全国の企業で、社員研修、講演会を年間100本以上行う。化粧品、ジュエリー、エステティック、介護、幼児教育などに携わる女性のやる気とマナーを向上させ、売上アップにつなげる日本で唯一の専門家。活動は15年以上に及び、これまで、3000人以上の自社スクール受講生の人生を好転させた。テレビ出演、新聞、雑誌の取材は200件以上。『仕事の神様が“ひいき”したくなる人の法則』(致知出版社)、13万部を突破した『しぐさのマナーとコツ』(学研)など著書多数。

『開運 #年中行事はじめました』(井垣利英・著)

定価=本体1,540円(税込)

堅苦しい、面倒臭そう……と思われがちな年中行事。ひな祭りには七段飾りを、鯉のぼりは大空を泳ぐ大きなものを。そう考えているうちに、何もせず過ごしてしまう人がほとんどではないのでしょうか。マナー講師としてメディアでも活躍する井垣利英さんは、そんなに大事に考える必要はないといいます。ひな祭りには二色のガラス玉などを女雛と男雛に
見立ててペアで飾ってみる。鯉のぼりは、鯉のぼりの絵が描かれた手拭いや風呂敷などを部屋に飾ってみる。そんな工夫をするだけで日常生活にも彩りが出てくるといいます。

本書は、日本人に馴染みが深いはずの年中行事をもっと気軽に楽しみ、幸せに過ごすためのヒントが満載の一冊。お正月に門松を飾る理由、節分の鬼を追い払う2つの魔除け、始業式が4月8日に始まる理由、盆踊りにこめられた2つの意味……などなど、知れば「へーっ、そうだったんだ!」と誰かに話したくなったり、心がポッと温かくなったりします。

「年中行事を学んでから街の景色が輝いて見えるようになった」
「見えるものが変わってきた」とは、実践した人の多くが口にする言葉。本書でいいなと思ったことを一つでもやってみて、ぜひその楽しさや喜びを実感してみてください。知らないと恥をかいてしまう年賀状の書き方や、お墓参りのやり方とマナーなども詳しく紹介されていて、社会人として知っておきたい教養を身につけることもできます。

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