歩きの基本は踵に体重。「プライマリーウォーキング🄬」で曲がった背中も伸びる!(岡本啓司)

鍼灸・整体師としての長年にわたる活動経験から、立ち方・歩き方・座り方のメソッド「プライマリーウォーキング🄬」を考案した岡本啓司さん。このメソッドの実践によって血流やリンパの流れが活性化、さらに代謝が向上するため、腰痛や肩こり、股関節障害、ひざ痛、猫背、外反母趾等の様々な慢性疾患を多くの方が改善しているといいます。今回は『致知』の長寿連載コーナー「大自然と体心」から、その具体的なやり方とコツの一部を特別にご紹介します。

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「プライマリーウォーキング🄬」開発の原点

〈岡本〉
この方法を考えるヒントになったのが高齢者の歩き方です。たまたま街中を歩いている時に、70代か80代の高齢女性の姿が目に留まりました。腰を曲げて頼りなげな歩き方でした。しばらくすると、反対側から同世代と思われる女性が、背筋を伸ばし凛とした姿で歩いてきて交差したのです。

まるで映画のワンシーンのようで、超スローモーションの映像となって目に焼きつきました。姿勢や表情がなぜこうも違うのだろうかと疑問が頭をよぎるのと同時に、お二方の歩き方が全く異なることに気づきました。前者は「脚を前に上げて歩いている」、後者は「脚が後ろに送られている」というイメージだったのです。

その後、街頭で観察を続けた結果、背中や腰が大きく曲がって丸くなった老人性円背やガニ股の方、歩行器や杖を使っている高齢者の大半は、「つまずかないように」という意識もあって、太ももを上げ脚を前に踏み出そうとしている習性のあることが分かりました。

正しい姿勢で「立つ」ことが基本

私のクライアントであるゴルフやテニスなどのスポーツ障碍者にもいえることなのですが、痛みを抱えている人は、誤った体の使い方や立ち方・歩き方をしていることが少なくありません。その結果、筋肉に力が入って体に歪みが生じ、血管やリンパ管が圧迫され、最も弱い部分に痛みや障がいが生じてくるのです。そこで、日常の立ち方や歩き方のフォームから変えることに着目し、腸腰筋(腸骨筋と大腰筋)と呼ばれる筋肉の動きなども含めて研究を進め、プライマリーウォーキングに辿り着いたのです。

プライマリーウォーキングのコツを習得するには、立ち方、歩き方、座り方の三つに分けて理解する必要があります。以下、順にご説明しましょう。

【立ち方】
日本人に多いのは、つま先に体重が乗った立ち方です。これでは体が前方に倒れようとするため、それを起こそうと上半身が緊張して肩がこったり、腰も反ってしまうため腰痛の原因になります。そこで、体重をかかと側にくるよう意識してください(体重を後ろに乗せることではありません)

つま先の角度も大事なポイントです。両足のかかとをつけて立ち、つま先を60度に開いてください。植物の若葉のような形をイメージするとよいでしょう。その上で体重をかかと側にすると、体に余計な力が加わらないため、体全体の筋肉をほとんど使うことなく立つことができます。

【歩き方】
歩き始めの練習をしましょう。最初のポーズは「片ひざ曲げ」です。片脚のひざを曲げて、ひざ下を後ろに上げます。地面に着いたままのもう一方の足は、かかとに体重を乗せることを忘れないでください。

二つ目のポーズは「伸びる」。後ろに上げていた脚の力を抜くと、自然に前方へと伸びます。脚を前に出そうとする必要はありません。軸脚はひざを曲げたりせず、まっすぐ伸ばしてください。

三つ目のポーズは「落ちる」。前方へ伸びた足は地面に着地します。実際にはかかとから地面に着くのですが、「足裏全体で着地する」イメージを描いてください。この時、脚を無理に前に出そうとせず、振り出された位置で脱力して落とすことが大切になります。

歩き方の四つ目のポーズは「乗る」。股関節から脚を伸ばすイメージで、脚が体の後ろに残るよう意識してください。ひざが曲がり、脚が前に出るようなことのないよう心掛けることも大切です。

この四つのポーズを覚えるための〝かけ声〟が「曲げて、伸ばして、落として、乗る!」です。声を出して練習しましょう。

ストレッチよりも体を効率よく使うこと

【座り方】
女性の悩みで多いのが「むくみ」。静脈やリンパの循環が悪くなるのが主な原因で、夕方になると脚がむくみ太くなることがあります。改善策の一つが椅子の座面の高さを調整すること。太ももには浅大腿動脈という血管が通っており、この血管が圧迫されると血流に影響が生じます。

そこで、座面と太もも裏側の間に、一定の隙間を設けるよう座面を低くするよう調整するとよいでしょう。もし、高さの調整が難しいようでしたら、適度な高さの足の踏み台を用意してください。

加齢により、椎間板が弱くなって背骨が変形したり、骨粗鬆症に伴う圧迫骨折によってだんだんと背中が曲がってくる老人性円背のような病気も、プライマリーウォーキングを取り入れることによって多くの高齢者が改善しています。

通常、高齢者に対する指導法としては、筋肉や柔軟性を維持するためのストレッチを勧めるケースが多いようですが、私が提唱しているのは、「いまある体を上手に生かし切り、効率よく使いましょう」というのが骨子。日本人は「楽をする」ことに否定的な国民で頑張り過ぎてしまいがち。無理は禁物、「鍛えない、頑張らない、力を入れない」でいいのです。

(本記事は『致知』2019年12月号 連載「大自然と体心」より一部を抜粋・編集したものです)

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◇岡本啓司(おかもと・けいじ)
昭和41年大阪府生まれ。駒澤大学卒業後、平成2年鍼灸・整体・運動指導の治療院「岡本流身体調整研究所」を開設。22年プライマリーウォーキング指導者協会を設立、医師・柔道整復師・理学療法士らを中心に150名の指導員を育成。大阪府高齢者大学校講師。『プライマリーウォーキングで歩けば若返る!』(三笠書房)『「かかと体重」で歩くと血流がよくなり脚の悩みは9割解決する』(ゴマブックス)など著書多数。

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