「イベルメクチン」は新型コロナウイルスの治療薬になり得るか?——大村智

いまなお世界を席巻し続ける新型コロナウイルス。日本でも「第三波」の拡大が深刻に進み、1月7日には1都3県を対象に再びとなる緊急事態宣言が発令されました。世界が直面するこの苦難に差し込む一筋の希望の光が、ノーベル生理学・医学賞受賞者である大村智博士が中心になって開発したイベルメクチンです。現在、イベルメクチンは世界の臨床実験によって、新型ウイルスに対する効果が確認されつつあるといいます。これまでも寄生虫病などに罹った数億人の命を救ってきたイベルメクチンは、果たしてコロナ禍を脱するための治療薬となるのか――大村博士への特別インタビューから抜粋してお届けいたします。
※インタビューの内容は2020年10月当時のものです

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新型コロナウイルスは人工的につくられた?

――全世界で全人類が同時に、同じウイルスの感染拡大という苦難に直面する。こういうことは人類始まって以来でしょうね。

〈大村〉 
おっしゃる通りですね。人類はこれまで幾度も大きな感染症を乗り越えてきましたが、全人類が同時に、ということはなかったと思います。

今回の新型コロナウイルスは、感染症状から見れば、インフルエンザによく似ているんです。ところが、インフルエンザとはまた違うんですね。私はその特徴をいくつかに纏めてみたのですが、一つには潜伏期間が長くて、感染したとしてもすぐには発症しないことが多い。そして無症状の人が多い。問題なのはこの無症状の人からも人に感染することで、ここが他のウイルスと違うところです。

感染経路についても飛沫であったり空気感染であったり食べ物であったり非常に多彩で、一旦感染するとウイルスはすべての臓器に入り込むことができる。しかも、RNAウイルスなので、ウイルスの顔つきが次々に変わり、ワクチンができても使えなくなる可能性があるんです。

それに、普通はウイルスに感染すると、体内に抗体ができて感染しなくなるのですが、新型コロナウイルスの場合は約3か月で抗体の量が急激に減少するという報告もある。

もう一つ恐ろしいのは、新型コロナウイルスの遺伝子は遺伝子配列の4か所がエイズウイルスと同じだという点です。エイズウイルスはいまなおワクチンができていませんが、それと類似の性質を新型コロナウイルスも持っているわけです。

――ああ、新型コロナウイルスはエイズウイルスと同じ性質を持っている、と。

〈大村〉 
ええ。こういう特徴を見る限り、このウイルスが自然にできたとはなかなか考えにくいんですね。人工的につくられたのではないかと思われるフシがいっぱいあります。実際、エイズウイルスの発見者リュック・モンタニエ博士は「遺伝子配列の4か所がエイズウイルスと同じというのはどう考えても不自然だ」とはっきり指摘しています。

だけど、それを証明するのは困難ですね。発生源とされる武漢のウイルス研究所に軍隊が乗り込んで証拠になりそうなものをすべて破壊し、関係者の口封じをしたとされているからです。新型コロナウイルスが蝙蝠などの動物によるものなのか、あるいは人工的につくられたものなのか、いまとなってはそれを掴むことが困難になっているのが残念と言う他ありません。

データが証明した新型コロナウイルスへの効果

――イベルメクチンの新型コロナウイルスに対する効果は、どのようにして分かったのですか。

〈大村〉 
私はノーベル賞を受賞した際のレクチャー論文の中に「ウイルスに効く」ということを紹介しました。多くの研究者はそれを知っていたと思います。

イベルメクチンが新型コロナウイルス感染症の治療に使われ始めるきっかけとなったのが、3月29日にウイルス学の専門誌で発表されたオーストラリア・モナシュ大学のキリ・M・グスタフ教授による「イベルメクチンが新型コロナウイルスの細胞レベルでの増殖を阻害する」という内容の論文でした。以来、各国で臨床実験が開始され、治験の成果を待たずに医師による使用が認められる観察研究が加速するようになりました。

四月にはアメリカのハーバード大学医学部のマンディブ・R・メヘラ教授などによるイベルメクチンの有用性に関する論文が発表され、イベルメクチンによって著しく感染者の致死率が下がったとするデータが示されたんです。

――その研究発表に、たちまち世界が反応した。

〈大村〉 
私たちの北里研究所でも2月上旬に新型コロナウイルスに関する研究チームを立ち上げていました。実は私は最初、ハーバード大学のメヘラ教授らの論文の存在を知りませんでした。論文の中身を娘がツイッターで見つけて私に知らせてくれたんです。

私はその内容に驚いて、早速、北里大学で花木秀明教授、山岡邦宏教授を中心に医師主導による治験を開始すべく準備に取り掛かりました。と同時に治験薬開発の基礎研究や臨床研究の助成金の確保のために行政に働きかけました。このことはテレビなど多くのメディアでも紹介され、この頃から日本でもイベルメクチンへの期待が大きく高まり始めました。

6月には、アメリカ・フロリダ州のブロワード・ヘルス病院で入院患者の致死率を40%カットしたとするデータが発表されました。現在ではアメリカ合衆国、アルゼンチン、イスラエル、イラク、インド、エジプト、バングラデシュ、フランス、ブラジル、メキシコなどの国々の、30か所以上の医療機関で、正式に医師主導の治験・臨床研究が行われているんです。

――世界的な広がりを見せていますね。

〈大村〉 
興味深いデータを紹介しておきましょうか。それは828日に発表されたエジプトのザガジグ大学が行った臨床研究の結果です。新型コロナウイルス患者と密接な接触があった304人のうち、イベルメクチンを投与したのが203人で、発症者は15人(7.4%)でした。一方、投与しなかった101人では59人(58.4%)が発症しています(共に14日以内)。

――それは素晴らしい実証結果ですね。

〈大村〉 
これだけの差が出ているということは、やはりイベルメクチンの効果と考えるべきでしょう。

もう一例、先に疥癬の話をしましたが、カナダのある特別養護老人ホームの一つのフロアで疥癬が広まった時、そのフロアの全員にイベルメクチンを投与しました。すると、そのフロアのお年寄りだけ新型コロナウイルスの感染者がいなかったというんです。他のフロアではたくさんの感染者が出ているにも拘らず、です。

医師主導による治験は私どもの北里研究所でもやっていて、いまデータを集めているところです。

――イベルメクチンの持つ大きな可能性を感じます。

〈大村〉 
イベルメクチンの特徴は、とにかく値段が安いことです。1700円程度です。だから、毎年何億人という人が飲むことができるんです。しかも、この薬は副作用もなく、医師や看護師の手を要しません。アフリカなどの国々では講習を受けた人がその人の身長を見て「あなたは何錠」と言いながら村人たちに配っている。副作用がほとんどないからこそ、そういうこともできるんです。


『致知』2021年2月号では、記事中に登場の花木秀明教授(大村智記念研究所 感染制御研究センター長)に、新型コロナウイルスの治療薬として現在治験が進んでいる「イベルメクチン」について、最新の臨床データを交えてお話しいただきました。実用化はいつになるのか、そして、どの程度の効用が認められているのか――感染予防の心構えも必読です。


(本記事は『致知』2020年12月号 特集「苦難にまさる教師なし」より一部を抜粋・編集したものです)


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◇大村 智(おおむら・さとし)
昭和10年山梨県生まれ。33年山梨大学学芸学部卒業。38年東京理科大学大学院理学研究科修士課程修了。40年北里研究所入所。米国ウエスレーヤン大学客員教授を経て、50年北里大学薬学部教授。北里研究所監事、同副所長等を経て、平成2年北里研究所理事・所長。19年北里大学名誉教授。20年北里研究所と北里学園との統合により北里研究所名誉理事長(現在は北里大学特別栄誉教授)。27年ノーベル生理学・医学賞受賞。著書に『人をつくる言葉』『人間の旬』(共に毎日新聞出版)『自然が答えを持っている』(潮出版社)『ストックホルムへの廻り道 私の履歴書』(日本経済新聞出版社)など。

◉大村智先生から弊誌『致知』へメッセージをいただきました!
 「私は『致知』を長年愛読しており、私の生き方はこの雑誌の影響を色濃く受けていると思っております。」
  ⇒ あの著名人も致知を読んでいます

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