バレーボールW杯で活躍する荒木絵里香と澤穂希の母力

熱戦が繰り広げられているワールドカップ(W杯)バレーボール。“火の鳥NIPPON”の愛称をもつ女子チームの中にあって、ベテランの存在感を放っているのがママさん選手の荒木絵里香さん。女子サッカーのなでしこジャパンを世界一に導いた澤穂希さんと、子育てについて熱く語り合いました。

☆人間力を高める記事や言葉を毎日配信!公式メルマガ「人間力メルマガ」のご登録はこちら

出産5か月後にコートに立つ

(澤)
荒木さんとは何回かお目にかかっていますけど、子育てをしながら現役でプレーをされているのは、考えられないくらいすごいことだと思っているんです。しかも出産してから、現役復帰されたのもかなり早かったですよね。

(荒木)
2014年の1月に出産をして、その5か月後にはコートに立っていました。

(澤)
それだけ短期間で復帰したということは、やはり妊娠中でもトレーニングは可能な範囲で欠かさずされていたのでしょうか?

(荒木)
はい。それから出産後には夜泣きをする娘を抱っこしながらスクワットをしたり、娘が寝ている間にランニングに出たりと徐々にトレーニングを始めていきました。ただ、産後はトレーニングそのものより、むしろそのための時間を確保することのほうがよっぽど大変でしたね。

もちろん、そうした生活ができたのは家族のサポートがあってのことで、いまも基本的には私の母が娘の面倒を見てくれているんです。それに現役復帰にあたっては、主人がすごく後押しをしてくれたので心強かったですね。

(澤)
私も家族の協力があるからこそ、いまもこうして仕事ができているので、そのことにはすごく感謝しているんです。

何があっても子供が最優先

(荒木)
本当はすごく迷っていた時期があったんですよ。あれはちょうどロンドンオリンピック後のことで、まだまだ競技を続けたいと思う半面、結婚して子供もほしいという思いもあって、あれこれと考えた上で結婚を決めたんです。

実際に子供を授かってからはいろいろと大変でしたけど、ただ単に大変だけだったかというとそんなことはありませんでした。と言うのも、それまでバレーボールしか深く向き合うものがなかっただけに、子供という存在が身近にできたことで、不思議とバランスが取れるようになったという感じはありましたね。

(澤)
その感覚、すごくよく分かります。私も現役の時は自分中心の生活でしたけど、引退後は娘の誕生をきっかけに、子供が最優先で、何があっても子供が一番という考えに変わりました。自分でも驚いているんですけど、自分のすべてを犠牲にしても悔いはないと思えるほどの存在に出逢えたことっていうのは、本当にすごいことだと思っています。

うちの娘も2歳になってイヤイヤ期に入ったのか、何をやるにもとにかく全部「自分で、自分で」ってなっているんですよ。靴下一つ履くにしても自分でやるって聞かないんですけど、仕事でもう行かなきゃいけない時なんかは本当に手が焼けます。

それでも娘が困らないようにとか、嫌な思いをさせないようにと娘のことを常に考えている自分がいて、これっていうのは守るべきものができたからなんだなって思うんですよ。

娘と一緒に楽しめることの幸せ

(荒木)
とにかく時間がない時には、毎回娘との戦いが始まる。しかも自分ではどうすることもできないことのほうが多すぎて、ついイラっとしちゃうんです。

(澤)
しますします。ただ、これって冷静に考えてみると、結局は大人の都合なんですよね。自分のペースで物事が進まないものから、ついついイライラしちゃう。

自我の芽生えにどう対処するかは本当に悩ましいんですけど、例えば歯磨の時には、最近では彼女が納得するまで自分でやらせています。そうすると、できない時には助けを求めてくるからスッと手伝ってあげられる。

(荒木)
そういう時のことも含めて、子育てを通じてそれまで自分が感じたことのないような気持ちを味わう一方で、子供を通じて新しい発見や喜びを感じることも多いなと感じているんです。

例えば結婚して子供を授かるまでは、ゆっくり外を散歩することもなく、練習でも試合でも常に体育館なので、天気を気にしたりすることもありませんでした。それにクリスマスやハロウィン、雛祭りなどには目もくれず、がむしゃらに走り続けていたんです。

それがいまでは、明日の天気のこととか季節の行事が、娘を通して自分の生活の中に入ってくる。人との出会いもそうで、娘のお友達のママさんをはじめ、バレー一筋だった頃にはお会いできなかった方々と知り合うことができる。そのすべてを娘と一緒に楽しめることを、私はすごく幸せだと思っているんです。

(澤)
それもすごく分かります。2歳になって娘もだいぶお喋りができるようになってきた中で、例えば昨日言えなかったことがきょうになって言えたりとか、そうしたちょっとした変化にも、私はすごく嬉しさを感じるんです。

(本記事は『致知別冊「母」』(2019年6月発行)から一部抜粋・編集したものです。『致知』にはあなたの人間力・仕事力を高める記事が満載です! 『致知』の詳細・ご購読はこちら

 

 

◇澤 穂希(さわ・ほまれ)
昭和53年東京都生まれ。平成2年読売サッカークラブ女子・ベレーザ(当時)に入団。15歳で日本代表に初招集される。これまでFIFA女子ワールドカップ6回とオリンピックに4回出場。23年FIFA女子ワールドカップドイツ大会で初優勝した際には得点王とMVPを獲得。同年のFIFA最優秀選手賞を受賞する。27年12月現役引退。29年第一子女児を出産。

◇荒木 絵里香(あらき・えりか)
昭和59年岡山県生まれ。成徳学園高等学校(現・下北沢成徳高等学校)を卒業後、東レアローズに入団。平成20年セリエAのベルガモに移籍後、再び東レアローズでプレー。25年第一子女児を出産。同年上尾メディックスで現役復帰を果たし、現在はトヨタ車体クインシーズでプレーを続ける。全日本女子バレーボールチームにも選出され、オリンピックに3回出場。

人間力・仕事力を高める記事をメルマガで受け取る

その他のメルマガご案内はこちら

『致知』には毎号、あなたの人間力を高める記事が掲載されています。
まだお読みでない方は、こちらからお申し込みください。

※お気軽に1年購読 10,500円(1冊あたり875円/税・送料込み)
※おトクな3年購読 28,500円(1冊あたり792円/税・送料込み)

人間学の月刊誌 致知とは

閉じる