がんの神様ありがとう~10万回のありがとうが がんを消した~

 

西洋医学中心の医学界にあって、目に見えない世界の大切さを説き続ける育成会横浜病院院長の長堀優さん。がん患者との交流から見えてきた病気との向き合い方、生き方について筑波大学名誉教授の村上和雄さんと語り合っていただいた対談をご紹介します。

がんも生きている

(村上) 

長堀先生は医者としてたくさんのがん患者さんを診てこられたから、余計にそう思われるのでしょうね。

 (長堀) 

これは私が10年くらい前に出会った患者さんの話ですが、その方はお腹の中にがんが広がっていました。そのことは彼女も知っていたのですが、いつもニコニコされていたんです。 

彼女は75歳くらいでしたが、私が回診で病室へ行くと、私の足音で近づいてくるのが分かるようで、いつもベッドの上で正坐して待っているんです。 

たぶんどの先生にもそうだったと思うのですが、「いつもありがとうございます」と、正坐したまま最敬礼をしてくれるんです。その顔は本当にニコニコで満面の笑みでした。私はどこからこの笑顔が出てくるんだろうか、死が怖くないのだろうかと、いつも不思議だったんです。

ある日のこと、いつものように素敵な笑顔を見せてくれた彼女が真剣な顔つきで尋ねてきました。「先生、私は手術することもあるのでしょうか」と。私は正直にお答えしました。もう手術をしてもがんを取りきれないし、無理をするとかえって大変な結果になると。そうしたら彼女が喜びましてね。 

(村上) 

喜ばれたのですか。 

(長堀) 

実は彼女には肝硬変の夫がいたんです。子供がいなくて親戚も近くにいないから、お互いに支え合って生きていかなければいけない。だからこれ以上入院を続けて、家を空けているわけにはいかないと言うんですよ。 

本当は旦那さんより奥さんのほうが病状はよっぽど重いんです。でも彼女はこう言いました。「夫のことが私は心配なんです。あの人は私がいなければどうしようもないから。だからいつもがんの神様に、『もう少しおとなしくしていてくださいね。私はもう少しあなた(がん)と頑張って生きていきますから、大きくならないでくださいね』ってお祈りしているんですよ」って。私はその言葉にとても感動しました。 

(村上) 

それは偉い方だな。 

(長堀)

がんというのも細胞であって、米国の細胞生物学者ブルース・リプトン博士は「細胞一個一個に、感性がある」という話をしています。例えば単細胞のミドリムシは餌があれば寄っていくし、毒が来ると逃げていく。単細胞ですから脳みそも神経もないわけですが、そういったことが全部分かる。だから博士は「細胞はそれだけで完璧な生命体である。しかも生きる感性を持っている」ということを言っているんです。 

そうであれば、がんも細胞ですから生きる感性があるので、当然人間の思いとも関係してくる。実際、彼女は長く生きたんです。もって1年という診断でしたが、3年半あまり生きることができた。私は彼女の思いががん細胞に届いたのだと思っています。

病気とともに生きていく

(村上) 

つい最近、工藤房美さんという方が本を出しているのですが、この方は末期がんだったんですよ。医者に診てもらった時はもう既に手遅れで、余命1か月と宣告されたんです。 

彼女には3人の息子がいたのでそれぞれに遺書まで書かれていたのですが、私の本を差し入れた方がいたんですよ。それを読んだ彼女が、細胞一個一個にお礼を言い始めたんです。がん細胞にも「ありがとう」と10万回唱えた。 

(長堀) 

どうなりましたか。 

(村上) 

何と11か月で完全に消えたんですよ、がんが。アンビリーバブルとしか言いようがありません。人の思いとか感性で遺伝子にスイッチが入るエビデンス(証拠)を、私は読者の方から教えてもらいました。 

(長堀) 

あとはそこに法則性が見つかれば、これはもう立派な科学になりますね。私の外来にも、がんが消えた患者さんがいるんです。その方もいつもニコニコして来られます。ですから村上先生の言われたように、人の思いががん細胞に伝わるんですね。 

(村上) 

工藤さんの話で私がすごいと思ったのは、彼女は「がんを治してください」とはひと言も頼んでいないことです。がんも自分の体の細胞の一部なんだから、「いままでよく頑張ってくれたね」と、むしろ感謝している。そういう思いが体に、細胞に、遺伝子に影響を与えたということですね。 

(長堀) 

東洋には「同治」という言葉があって、病気が消えなくてもいい、病気とともに生きていこうという態度のことです。それに対応する言葉に「対治」というのがあって、これは病気を消してやろう、闘ってやろうという態度です。 

鈴木秀子先生が奇跡的に病気の治る人の特徴として、「愛」「感謝」「受容」という三つを挙げています。そのうちの「受容」というのが、「あってもいいんだ」「闘わない」という姿勢で、「同治」に繋がる考え方だと思います。 

(村上) 

医者に頼るのではなくて、患者にもできることがあるわけだ。 

(長堀) 

そのとおりです。自立した思いというのがとても大切だということを、私は「がんの神様」から教えてもらいました。 

(本記事は『致知』20162月号 特集「一生一事一貫」より一部抜粋・編集したものです。月刊『致知』には仕事や人生の糧になる各界一流の方々のご体験談が満載です!詳細・ご購読はこちら

村上和雄(むらかみ・かずお)  

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昭和11年奈良県生まれ。38年京都大学大学院博士課程修了。53年筑波大学教授。遺伝子工学で世界をリードする第一人者。平成11年より現職。著書に『スイッチ・オンの生き方』『人を幸せにする魂と遺伝子の法則』、共著に『遺伝子と宇宙子』(いずれも致知出版社)などがある。

 長堀優(ながほり・ゆたか)  

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昭和33年東京都生まれ。58年群馬大学医学部卒業。60年横浜市立大学医学部第二外科に入局。平成5年ドイツ・ハノーファー医科大学に留学。その後、横須賀共済病院外科医長、横浜市立みなと赤十字病院外科部長、横浜船員保険病院(現・横浜保土ヶ谷中央病院)副院長兼外科部長を経て、27年育生会横浜病院院長に就任。日本外科学会指導医、日本消化器外科学会指導医などを歴任。著書に『見えない世界の科学が医療を変える』(でくのぼう出版)がある。

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