ドラッカーの7つの教訓

 

世界のビジネスマンが座右に置き、日々の指針にするピーター・F・ドラッカーの著書。その言葉や教えはいまなお力強い説得力を持ち、私たちの仕事や人生の指針となっています。著書の翻訳に取り組んできた上田惇生さんに、「ドラッカーの7つの教訓」について語っていただきました。

ドラッカーにいま学ぶべき生き方

世界のビジネス界に大きな影響を与えているドラッカーですが、その思想形成に当たっては人生の中で7回の精神的な節目が訪れたことを著書の中で述べています。

その7つの経験から得た教訓を最初に列記すると、以下のようになります。

一、目標とビジョンをもって行動する。

二、常にベストを尽くす。「神々が見ている」と考える。

三、一時に一つのことに集中する。

四、定期的に検証と反省を行い、計画を立てる。

五、新しい仕事が要求するものを考える。 

六、仕事で挙げるべき成果を書き留めておき、実際の結果をフィードバックする。

七、「何をもって憶えられたいか」を考える。

最初の教訓「目標とビジョンをもって行動する」を得たのは、ドラッカーが商社の見習いをしていた頃でした。

当時、彼は週一回オペラを聞きに行くのを楽しみにしていました。ある夜、信じられない力強さで人生の喜びを歌い上げるオペラを耳にし、その作者が80歳を越えた後のヴェルディによるものであることを知ります。

なぜ80歳にして並はずれた難しいオペラを書く仕事に取り組んだのか、との質問にヴェルディは「いつも満足できないできた。だから、もう一度挑戦する必要があった」と答えたのです。

18歳ですでに音楽家として名を馳せていたヴェルディが、80歳にして発したこの言葉は、一商社の見習いだったドラッカーの心に火をつけます。

何歳になっても、いつまでも諦めずに挑戦し続けるこの言葉から、「目標とビジョンをもって行動する」ということを学び、習慣化したのがドラッカーの最初の体験でした。

その頃彼は、ギリシャの彫刻家・フェイディアスに関する一冊の本を読みます。これが二つ目の経験です。

フェイディアスはアテネのパンテオンの屋根に立つ彫刻群を完成させたことで知られています。彫刻の完成後、フェイディアスの請求書を見た会計官が「彫刻の背中は見えない。その分まで請求するとは何事か」と言ったところ、彼の答えはこうでした。

「そんなことはない。神々は見ている」と。

この話を読んだドラッカーは

「神々しか見ていなくても、完全を求めていかなくてはならない」

と肝に銘じます。

3つ目の気づきはフランクフルトの新聞社に勤めていた時に訪れます。新聞は夕刊紙だったので、彼は朝六時から午後2時までの勤務を終えた後、残りの時間と夜の時間を使って徹底的に勉強しました。

その時、身につけたのが「一時に一つのことに集中して勉強する」という勉強法でした。

テーマは統計学、中世史、日本画、経済学など多岐にわたりますが、一時に一つという勉強法を長年、貫いています。

そのことでいろいろな知識を仕入れるだけでなく、新しい体系やアプローチ、手法を学んだといいます。(談)

(本記事は『致知』最新号2003年12月号 特集「読書力」より一部抜粋したものです。仕事に役立つ珠玉の体験談が満載の月刊『致知』の詳細・ご購読はこちらから

◇上田惇生(うえだ・あつお)

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昭和13年埼玉県生まれ。サウスジョージア大学経営学科、慶應義塾大学経済学部卒業後、経団連事務局入局。国際経済部次長、広報部長などを経て、現在、ものつくり大学教授。ドラッカーの長年の友人で「日本での分身」と呼ばれている。著作のほとんどを翻訳。

 

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