「幸せを捨てて、幸せを得た」——羽生結弦、小平奈緒はなぜ圧倒的に強いのか?

2018年、個人では最年少、フィギュアスケート選手では初となる国民栄誉賞を受賞した羽生結弦さん。同年、平昌オリンピックにて日本女子スピードスケート史上初の金メダルに輝くという快挙を成し遂げた小平奈緒さん。二人の若き一流アスリートの強さの秘密はどこにあるのでしょうか。スポーツキャスター・松岡修造さんと和食の神様・道場六三郎さんの対談の中で、その秘密が明らかにされています。

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羽生結弦の強さの秘密

〈道場〉 
松岡さんは平昌五輪の応援団長としていろんな選手と接してこられたと思いますが、特に印象に残っている選手はいますか?

〈松岡〉
皆さんそれぞれ素晴らしかったのですが、特にすごいと感じたのは、フィギュアスケートの羽生結弦さん。どこがすごいのかと言うと、一番は自分の心をきちんと言語化できるところです。ただ単に「頑張ります」ではなくて、 どのように頑張るかを具体的に伝えることができる。ひと言ひと言に駆け引きがあって、そこに学びがあるんですよ。

羽生さんは平昌五輪の約3か月前に靭帯を損傷する大きな怪我をされました。直前の大会を治療やリハビリのために欠場していてブランクがあった上に、痛み止めを打たないとジャンプも跳べない状態だったにもかかわらず、勝たないと意味がないとの覚悟で本番に臨み、2位と10点以上の差をつけ、男子シングルで66年ぶりとなる五輪2連覇を果たしたんです。

〈道場〉 
圧巻の演技でしたよね。

〈松岡〉 
そして、優勝直後に、「どんなオリンピックでしたか」と尋ねてみると、彼は、「とにかく捨てて、捨てて、捨てる作業をしたオリンピックでした」と。

一つは、勝つために「技」を捨てたわけです。羽生さんは世界で初めて4回転ループという大技を習得したんですが、それを封印しました。

 もう一つは、自分の「欲」を捨てたと。彼はゲームが好きなんですが、怪我をしてからそれを一切やめた。あと、彼は「幸せ」も捨てたと言ったんです。

そして、最後に、それではこのオリンピックで何を得たのか伺うと、「幸せを得ました」って。

〈道場〉 
んー、深い言葉ですね。

〈松岡〉 
人は捨てることによって、掛け替えのないものを得られるんだなと。彼の感性と勝負感覚にはいつも勉強させてもらっています。こんなに誇らしい日本人はそういないですよ。23歳にして既に男の中の男です。

自分に克つ方法を研究する

〈道場〉
スピードスケートで金メダルと銀メダルを獲得した小平奈緒さんも素晴らしい活躍でしたね。

〈松岡〉
僕は、小平さんは今回出場した選手の中で一番日本人らしいアスリートだと思います。

〈道場〉
それはどういう意味で?

〈松岡〉
僕ばかり喋ってしまって恐縮なんですが、彼女は昔、本番に弱くて、ソチ五輪でも本来の力を発揮できなくて負けてしまった。自分には何が必要かと考え、強豪のオランダにスケート留学に行ったんです。そこで「勝つためには相手を殺すくらいの闘争心を持ちなさい」と教わったそうです。

普通だったら分かりましたと言って、そのとおりやると思うんですが、彼女は違いました。私は人を殺してまで勝ちたいと思わない。だったら、自分に克つ方法を徹底的に研究しようと決意するんです。

〈道場〉
ほお、面白い。

〈松岡〉 
そこで何に目をつけたかと言うと、コーナリングです。直線コースはパワーのあるオランダが強いけれども、曲線コースは技術を磨けば自分の武器にできると。そこから日本独特の古武術を学んでいったんです。

日本には古きよきものがたくさんあるのに、それを見ようとせず、欧米から学んできたものでよしとするのは実にもったいない。日本人には日本人らしい考え方、体の鍛え方、戦い方があるわけで、それを証明してくれたのが小平さんです。

ご承知のとおり、日本女子スピードスケート史上初の金メダル、なおかつ冬季五輪で日本人最年長(31歳8か月)の金メダルという快挙を打ち立てました。(後略)

(本記事は月刊『致知』2018年7月号 特集「人間の花」より、一部を抜粋・編集したものです)

【致知に寄せられた推薦のメッセージ】 
道場六三郎さん
父の想い出の中に、いつも枕元に修養書が有りました。今、私の枕元には『致知』が有ります。『致知』のおかげで安心して日送りが出来ます。私は店の者にも子供にも、『致知』は「人生航路の羅針盤」、また、どこへ流れて居るのか不安な時の「凧の糸」とも伝えています。風の流れ、世の流れ、何処に流れるのか、糸を手操れば足元に帰ります。料理の世界も同じ事。世界で泳ぎ基本に帰る。温故知新。人間の常識本、それが『致知』です。

松岡修造さん
僕と『致知』との出会いは1995年、ウィンブルドンベスト8に入った年だ。『致知』は僕に世界で戦うために必要な“精神”を教えてくれた。そして今『致知』から学んだことを応援という形でたくさんの人達の心に響く言葉として、これからも伝え続けたい。 

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