5 月号ピックアップ記事 /百年企業はどこが違うのか
創業192年 千疋屋総本店 大島代次郎(千疋屋総本店社長) 藤間秋男(TOMAコンサルタンツグループ会長)

我が国初の果物専門店として、192年の歴史を紡いできた千疋屋(せんびきや)総本店。定番のマスクメロンをはじめ、店頭を彩る様々な商品の品質と高いブランド力はいかにして築かれたのだろうか。創業来の苦難と飛躍の道のり、そして現社長・大島代次郎氏の挑戦。

初代の弁蔵は「勿奢 勿焦 勿欲張」(おごることなかれ 焦ることなかれ 欲張ることなかれ)という家訓を残しています。ひと言で言えば、謙虚であれということだと思うんです
大島代次郎
千疋屋総本店社長
〈藤間〉
御社は日本初の果物専門店として、フルーツギフトやフルーツパーラーなど、新しい食文化を日本に根づかせてこられましたね。
〈大島〉
創業時から果物一筋でやってまいりました。
日本のフルーツは昔からクオリティが高く、江戸近郊で穫れたものは「水菓子」と呼ばれて親しまれていました。それが料亭のデザートやギフトとして利用されるようになり、品種改良を重ねて味も見栄えもさらに洗練されてきたんです。
こんなにもフルーツの種類が豊富で、ギフトとしても成り立つ国は他にないでしょうね。世界有数の果物文化を育んできたのが日本であり、私どもにはそれを担ってきた自負があります。
〈藤間〉
果物が江戸で水菓子と呼ばれていたとのことですが、御社のご創業もその頃でしたね。
〈大島〉
はい。1834(天保5)年に、この日本橋で「水菓子安うり処」の看板を掲げたのが当社の商いの始まりです。初代の弁蔵は侍から商人に転身した人で、まさにいまで言うベンチャーでした。
〈藤間〉
あぁ、初代はお侍だったのですか。
〈大島〉
槍の道場を運営していました。先祖を辿ると徳島の蜂須賀家に仕えていて、そこから豊臣家、徳川家に転じています。
しかし、幕末には侍も減って道場が成り立たなくなり、商いを始めたのです。弁蔵の道場はいまの埼玉県越谷市東町にあって、当時は「千疋」という地名であったことから「千疋屋」という屋号を掲げたわけです。……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~
◇世界に誇る日本の果物文化を担う
◇暖簾分けした店と切磋琢磨
◇歴史の荒波を乗り越えて
◇ブランディングを見直し売り上げを5倍に
◇次の代のことを考えて商いをする

〈ホスト〉
藤間秋男(とうま・あきお)
TOMAコンサルタンツグループ会長
昭和27年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。公認会計士税理士。明治23年創業の藤間司法書士事務所の末裔として、昭和57年藤間公認会計士税理士事務所を新規創業。230名の総合コンサルファームにTOMAグループを成長させ、平成29年より会長。著書に『中小企業の事業承継はじめに読む本』(すばる舎)『100年残したい日本の会社』(扶桑社)など多数。
プロフィール
大島代次郎
おおしま・だいじろう――昭和32年東京都生まれ。56年慶應義塾大学法学部卒業。米国留学、商社勤務を経て、60年千疋屋総本店入社。貿易部長、常務を歴任し、平成10年社長に就任。
編集後記
事業承継コンサルタントとして百年続く企業づくりに取り組む藤間秋男氏が、百年企業の強さの秘密を探る本連載。第5回となる今回は、果物専門店の老舗として長年親しまれてきた「千疋屋総本店」の大島代次郎社長にご登場いただきました。192年の長きにわたって高いブランド力を維持し、発展してきた背景には、妥協のない果物一筋の姿勢がありました。

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