5 月号ピックアップ記事 /生涯現役
「無条件の愛」に生きる 中谷比佐子(きもの文化研究家/シルク伝道師協会 会長)

きもの文化研究家、きものジャーナリストとして日本の素晴らしい伝統文化、先人たちの生きる知恵を発信し、伝承している中谷比佐子さん、90歳。「無条件の愛」を信条に生涯現役ならぬ〝生涯現場〟を貫く中谷さんに、人生の原点、日本人の歴史と伝統を守り、穏やかな心で生きる要諦を伺う。

蚕の「無条件の愛」を知ってから、日々の生活や人生観が大きく変わり、「自分が」という我がなくなって、人と競争したり、対立したりすることが全くなくなりました
中谷比佐子
きもの文化研究家/シルク伝道師協会 会長
──中谷さんは90歳になるいまなお、きもの文化研究家、きものジャーナリストとして、生涯現役で活躍されているそうですね。
〈中谷〉
私の場合、「現役」というのはちょっと違うかな……。現役ではなくて、〝生涯現場〟のほうがぴったりきます。取材でも何でも現場にいるほうが学ぶことがたくさんありますから、こちらに来てもらうのではなくて、常に自分で現場に行きたいタイプなんです。
──生涯現役ではなく生涯現場。
〈中谷〉
16年間、ブログを毎日書いていて、ブログのサービスが終了してからはSNSのnote(ノート)で継続しています。長いと読んでもらえませんから、ブログの時は千字以内、noteは500字以内と決めて書いています。これは何より現場でお会いした方々の声を伝えたいとの思いで続けてきました。きものや絹をつくる現場の声は、メディアではあまり取り上げられないんですよ。
本も、年に1冊出していた時期もありましたが、最近は数年に1冊のペースで出しています。2025年に出版したこの『絹と日本人』はいろんな方の協力でできました。
──日々の取材だけでなく、本の出版やnoteまで。年齢を感じさせないバイタリティに驚きます。
〈中谷〉
10年前に講演した時、前振りで40年来の友人に、「比佐子さんは実は80歳です」と紹介されたんです。それまで自分が何歳かなんて考えたこともなかったのですが、それ以来、年齢について多少意識するようになりました。
また、去年白内障の手術をした後、自分の顔がはっきり見えるようになって、大きなショックを受けました(笑)。でも美容家の友人から、「人間がどうやって老いていくかを見せることも、ジャーナリストとして必要じゃない?」と言われて、ああ、なるほどなと。
ですから、いまは老いに抵抗するのではなくて、老いを受け入れてしっかり付き合っていこう。そういう気持ちで生きています。
──健康を維持するために普段実践していることはありますか。
〈中谷〉
白内障の手術をして以降はお休みしていますが、声楽とクラシックバレエをずっと習っているんです。声楽でお腹なかの底から大きな声を出すこと、クラシックバレエで肩甲骨など骨を動かして鍛えること。この2つが健康の源になっているのかもしれませんね。……(続きは本誌にて)
~本記事の内容~
◇生涯現役より〝生涯現場〟を貫く
◇生き方の手本となった両親の教え
◇「西洋かぶれ」から日本の歴史と伝統へ
◇蚕が教えてくれた「無条件の愛」
本記事では中谷さんに、元気の源であるきものや絹を通じて日本の伝統文化、日本人が継承してきた生き方を語っていただきます。
プロフィール
中谷比佐子
なかたに・ひさこ――昭和11年大分県生まれ。共立女子大学卒業後、女性誌の編集記者に。きものや絹、養蚕について取材や執筆活動を続け、平成23年(一財)大日本蚕糸会より「蚕糸功績賞」受賞。著書に『きもの解体新書』(春陽堂書店)『絹と日本人』(藤原書店)など多数。
編集後記
きものジャーナリストの中谷さんの取材は、致知出版社で行われました。素敵なきもの姿で現れた中谷さんの凛とした姿勢に驚きました。大きな病気はしたことがない、体調を崩しても熱いお風呂に浸かれば元気になってしまうというバイタリティに溢れた中谷さんの元気溌剌の秘訣には、日本人が脈々と伝承してきた伝統文化、生き方がありました。

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