4 月号ピックアップ記事 /私の座右銘
一歩 清水市代(日本将棋連盟会長)

各界を代表する企業、機関、団体を牽引してきたリーダーに、人生観・仕事観を形成した体験や、貫いてきた信条を披歴いただく連載「私の座右銘」。
今回ご登場いただいたのは、日本将棋連盟の会長に、現役女流棋士として初めて就任した清水市代さんです。清水さんは、女流棋士自体の数も知名度もなかった1980年代、ご両親の反対を押し切って高校生でプロ棋士デビュー。瞬く間に頭角を現し、19歳で初タイトルとなる女流名人、27歳で前人未到の女流タイトル四冠制覇を成し遂げられました。その並外れた強さの奥にある信念とは――。
「一歩」──昨日より今日、今日より明日と、一歩でも強くなりたい。自分自身の高みを目指そうとすれば、人と比べる必要はありません
清水市代
日本将棋連盟会長
2025年6月、私は日本将棋連盟の会長に選出されました。女性の会長は初となります。それまで常務理事として8年、佐藤康光会長、羽生善治会長をお支えする立場でしたが、将棋の歴史と伝統、棋界全体を背負う重圧は比になりません。毎日が勉強です。
幼い頃は外で遊んでばかりいた私が将棋に興味を持ったのは、小学校高学年の時です。利き腕を骨折して家で静養していた折、自宅で将棋教室を開いていた父が指し方を教えてくれたのです。他でもない、自分が考え抜いた一手が勝利に結びつくことに楽しさを覚え、いつしか夢中で指すようになりました。
そして1984年、中学3年の時に女流アマ名人戦で優勝。プロの世界で力を試したいという思いが湧きました。
当時は女流棋士自体の知名度も低く、母のみならず父にも猛反対を受けましたが、私の覚悟は揺らぎませんでした。半年に及ぶ家族会議の末、中原誠十六世名人をはじめ一流棋士を育てた名伯楽・高柳敏夫名誉九段に弟子入りしたのです。
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~本記事の内容~
◇「化粧はするな、恋愛はするな、金は稼ぐな。タイトルを取るまでは」
◇一分一秒でも将棋に向き合う時間をつくり出す
◇盤上は人生勉強の宝庫
プロフィール
清水市代
しみず・いちよ――昭和44年東京都生まれ。58年女流育成会入会。60年プロデビュー。63年19歳で第14期女流名人戦に挑戦し、初タイトル獲得。平成8年女流将棋界初の四冠独占、令和2年史上初の女流七段に昇段する。平成29年日本将棋連盟常務理事。令和7年より現職。
編集後記
長い歴史と伝統をもつ日本の将棋。その将棋界全体の普及発展という重責を担っているのが清水市代会長です。当日、清水会長が応接間に入ってくるまで緊張は抜けませんでしたが、いざお目にかかると、威圧感のようなものはなく、一つひとつ丁寧に言葉を紡いでくださり、引き込まれました。一方で、物腰の柔らかさの中に、将棋に対する透徹した覚悟、熾烈なタイトル争いを通して鍛え抜かれた信念が垣間見え、将棋を差し続けるとはどういうことなのかを間接的に教えられる思いでした。

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