10 月号ピックアップ記事 /インタビュー
限界を決めるな——大横綱・千代の富士が教えてくれたこと 九重龍二(第十四代九重親方)

迫力ある突っ張り相撲で多くのファンを沸かせた元大関の千代大海。大関在位65場所は、歴代1位タイとしていまだ破られていない大記録である。現在は相撲部屋の名門・九重部屋の第十四代九重親方として、弟子たちの指導に心血を注ぐ九重龍二氏に、師匠である大横綱・千代の富士との魂の師弟関係、そこから得た人生を導く出逢いの要諦をお話しいただいた。
【写真=1995年5月、大相撲名古屋場所での十両昇進が決まり、師匠(元横綱千代の富士、左)と握手する千代大海(現・九重龍二氏)©時事】

私は師匠に初めてお会いした時、「この人が俺の師匠だ!」って心に決めたから、その出逢いが人生を変えるターニングポイントになったのだと思います。どんな出逢いも、自分の中にそういうものがなければ、本物の出逢いにならないのではないでしょうか
九重龍二
第十四代九重親方
ーー親方はどのようなきっかけで相撲の道に入られたのですか。
〈九重〉
私は大分県で育ったのですが、小さい頃から体が大きく運動神経も抜群で、とにかくやんちゃだったんです。大人のルールに合わせるのが嫌で、義務教育時代は遊びや喧嘩に明け暮れていました。
その中で一番誰に迷惑をかけたかというと、やはりお袋なんですね。父は、警察署の柔道師範をしていたのですが、私が5歳の時に亡くなったんです。以来、お袋が女手一つで育ててくれました。
ーーああ、母子家庭で育たれた。
〈九重〉
お袋がいつも言っていたのは、「男ならやったことは自分で責任を持ちなさい」ということでした。私が悪さして警察に補導された時も、周りの友達はその日のうちに親が迎えに来ます。ところが、私だけ次の日にならないとお袋が迎えに来ない。待っている間、刑事さんと食事をしたり署に泊まったりしなければいけないんです。
ーーお母様の愛情を感じます。
〈九重〉
結局、そんな生活を送っていてどうなるんだと考えるようになって、自分の腕力を正義のために使おうと、中学2年生の頃から空手を始め、卒業後は空手の師範の会社でとび職をするようになりました。それでも、日本にいたらまた悪さするんじゃないかと感じて、師範の兄弟弟子がいるアメリカのシカゴに渡り、ボディーガードになろうと決めたんですね。
ただ、そのことを家の掘り炬燵に入っている時に、お袋に伝えたところ、台所から出刃包丁を持ってきて……(続きは本誌をご覧ください)
本記事の内容 ~全4ページ~
◇一人ひとりに愛情を持って向き合う
◇人生を変えた母親の覚悟
◇生涯の師匠との運命的な出逢い
◇限界を自分で決めるな――相撲道を支えた師の教え
◇師の精神を受け継ぎ相撲道を歩み続ける
プロフィール
九重龍二
ここのえ・りゅうじ――昭和51年大分県出身。元大関・千代大海。中学卒業後、大横綱・千代の富士が親方を務める九重部屋に入門。平成4年に初土俵。11年大関に昇進。戦歴771勝528敗休場115。幕内最高優勝3回。大関在位65場所という歴代1位タイの大記録を持つ。22年現役引退。28年九重部屋を継承。
編集後記
「千代大海」として迫力ある突っ張り相撲で多くのファンを沸かせ、現在は相撲部屋の名門・九重部屋を率いる九重龍二さん(第一四代九重親方)。現役時代の印象とは違って、取材時の語り口はいたって優しく、静かなる情熱に溢れたものでした。また取材は東京葛飾区にある九重部屋にて行われましたが、弟子たちと触れ合う九重親方の姿からは、弟子を心からの愛情を持って育てていることが伝わってきました。

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