10 月号ピックアップ記事 /エッセイ
生きるとは、 拝んで燃えてとけること【平澤興先生の生き方】 那須信孝(浄土真宗本願寺派一行寺前住職)

脳神経解剖学の権威であり、京都大学総長を務めた平澤興先生。浄土真宗本願寺派一行寺前住職の那須信孝氏は偶然の出会いから晩年の平澤先生と交流を始め、約10年にわたって師と仰ぎ親炙してきた。そして師との出会いにより、ご自身の生き方が大きく変わったという。今年95歳を迎えた那須氏に、平澤先生の貴重な逸話を交えながら、その実像をお話しいただいた。
【写真=昭和62年5月10日、一行寺法要に当たって平澤先生が贈られた色紙。「生きるとは 拝んで燃えて とけること 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏」】

生きるとは、拝んで燃えてとけること
平澤 興(ひらさわ・こう)
明治33年新潟県西蒲原郡味方村生まれ。大正13年京都大学医学部卒業。新潟医科大学助教授を務め、欧米留学後同大学教授、21年招かれて京大医学部教授。26年学士院賞受賞。31年同大医学部長、32年総長となる。38年任期満了により退任。42年日本学士院会員。国際ロータリー265地区(現在は2650地区)ガバナー。45年勲一等瑞宝章受章。平成元年6月17日逝去。語録に『生きよう今日も喜んで』『平澤興一日一言』(共に致知出版社)。著書『論語を楽しむ』が令和7年7月に致知出版社より復刊。

平澤先生はご自身のことを越後人特有の「お人好し」「真面目」「辛抱強い」「正直で愚かでのろまである」という言葉で語られていました。
その背後には馬鹿正直とも言えるほどの誠実さがあります。
先生の心奥には、深く広く人間を理解する心、人を愛する心が息づいていました
那須信孝
浄土真宗本願寺派一行寺前住職
平澤興先生が亡くなり、早くも36年の歳月が流れました。当時59歳だった私も気がつけば95歳。
還暦を迎えるに当たり「これから20年の修行が始まる。本当に人生を楽しむのは80歳からである。90歳にならないと本当の人生は分からない」と教えていただきましたが、先生のお言葉のように長生きをしてきて、ようやく見えてくる世界があることをしみじみと感じています。
「一日一生涯」
「朝に希望、夕べに感謝」
「けさもまた さめて眼も見え 手も動く」
これらは先生が何気なく語られていた言葉です。「朝」という字を分解すると10月10日、つまり妊娠から誕生までを意味することが分かります。
朝新たな気分で目覚め、夜寝る前はゆっくりと湯船に浸かって、豊かで平穏な一日を送られたことに感謝して手を合わせる。そうやって無事に日常生活を送れることがいかに尊くありがたいことか。「一日一生涯」の心境でいられる喜びを噛みしめる毎日です。……(続きは本誌をご覧ください)
本記事の内容 ~全5ページ~
◇95歳になって分かる平澤先生の教え
◇自分さえ気づかぬ能力を引き出そうとしてくださる
◇馬鹿正直ともいえるほど誠実な生き方
◇にこにこ顔で命がけ
◇二人の師との出逢いに生かされて
プロフィール
那須信孝
なす・のぶたか――昭和5年京都府生まれ。30年京都大学文学部卒業、34年大谷大学大学院修士課程修了、浄土真宗本願寺派一行寺住職などを歴任。著書に『曽我量深の教え 救済と自証~法蔵菩薩は誰か~』(新学社)の他、論文・法話集など。
編集後記
一行寺前住職の那須信孝さんは、平澤興先生と親しく交流してきた、いまでは数少ない語り部のお一人です。結婚の馴れ初め、京都大学総長就任のいきさつなど、那須さんしか語り得ない数々のエピソードを通して、その人間的なスケールの大きさが伝わってきます。

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