8 月号ピックアップ記事 /インタビュー
感謝や好奇心……よき心の習慣が人生を豊かにする 小山明子(女優)

女優でエッセイストとしても知られる小山明子さんは、今年1月、満90歳を迎えた。ご主人で映画監督の大島渚さんが脳出血で倒れたのは、小山さんが61歳の時。仕事も家庭も順調だった小山さんは突然どん底に突き落とされる。以来、女優業から距離を置き、17年間にわたってご主人を介護、献身的に支え、そしてそこに喜びを見出してきた。様々な人生の四季を経て、90歳を迎えた小山さんはいま、どういう心掛けで日々人生を満喫しているのだろうか。小山さんが語る幸せに生きる秘訣とは――。

日々起きる問題にうまく折り合いをつけながら明るく前向きに歩んでいくのが人生なんじゃないかと思っているんです
小山明子
女優
【写真=ご主人で映画監督の大島渚さんと共に。小山さんの古希を祝うパーティにて】
――90歳をお迎えになったとは思えないくらい、お元気でいらっしゃいますね。
〈小山〉
ありがとうございます。90歳の誕生日にはいろいろな方からお祝いをしていただきました。私がフグが好きだといって、30人くらいの友人が会費制でフグをご馳走してくださいました。
私にとって90歳はいろいろな意味で大きな節目で、90代にして初めて死を考えたんです。80代の頃はまだ死は先だと思っていたんですけど、「ああ、私はいずれ死ぬ。近い将来、死がやってくるな」とすごく感じましたね。
――90歳で死を意識された。
〈小山〉
ええ。昨年、肺がんが再発してステージⅣと診断され、ちょっと危なかったんです。
放射線治療をやったんですけど、考えたらもう残りの時間が計算できる人生じゃないですか。何年単位の人生だと思っているから、その間、絶対に元気で楽しく生きてやると考えを変えたんですよ。
きょうもちょっと転んじゃったんですけど、「この程度で済んでよかった。怪我をしなくてよかった」とすぐに考えを切り替えました。
――若さを保つために、どのようなことを心掛けていらっしゃるのですか。
〈小山〉
規則正しい生活を心掛けています。……(続きは本誌をご覧ください)
本記事の内容 ~全7ページ~
◇90歳で初めて死を意識する
◇過去の業績や肩書きを手放す
◇戦争体験、そして女優への道へ
◇資金難の中で製作した忘れ難い映画『少年』
◇「ありがとう」は魔法の言葉
◇「主人を社会復帰させるのが自分の使命」
◇人生最高のハイライト
◇マイナスには力がある
プロフィール
小山明子
こやま・あきこ――昭和10年千葉県生まれ。大谷学園在学中、学園のファッションショーに出演した際『家庭よみうり』のカバーガールとなり松竹にスカウトされ入社。松竹映画『ママ横をむいてて』で芸能界デビューを果たす。松竹の助監督だった大島渚と35年に結婚。平成8年に大島渚が脳出血で倒れてからは、女優業から距離を置き介護に専念。介護うつを克服しながら17年間にわたって献身的に支える。著書に『パパはマイナス50点』(集英社)『小山明子のしあわせ日和』(清流出版)など。
編集後記
トップインタビューは女優の小山明子さんです。お会いしてまず驚いたのは満90歳とは思えぬ若々しさ。ご主人である映画監督の大島渚さんが病に倒れた後、献身的に介護を続けたことはよく知られていますが、女優としての栄誉や地位をあっさりと手放し、一主婦に徹した姿勢に感銘を受けました。生きる希望と勇気を与えてくれます。

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