【第2回】休校中の子どもたちに贈る「こんなときだからこそ伝えたいこと」

『ビジネスマンのための歴史失敗学講義』(弊社刊)などの著書がある、作家の瀧澤中(あたる)氏。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため休校が延期になるなど、不安を感じている子供たちを何とか元気づけてあげられないか、とこんな記事を寄稿してくださいました。テーマは、休校中の子どもたちに贈る「こんなときだからこそ伝えたいこと」。第二回目をお届けします。

◎【残り僅か!3/31まで】お申込みくださった方に『渋沢栄一 一日一言』プレゼント!新生活応援CP実施中。この春、新たなステージに挑戦するあなたの「人間力」を磨き高めるために、人間学を学ぶ月刊誌『致知』をぜひご活用ください。

たった3分で手続き完了、1年12冊の『致知』ご購読・詳細はこちら

あなたの心にあるのは善い心? 悪い心?

前回は、「自分以外の人のために」という覚悟をすると恐怖や不安が後回しになる、というお話をしました。きょうは、「では、どうすればそんな気持ちになれるのか」ということを、お話ししたいと思います。

あなたは、遊びたいですか?お金がほしい? 楽したい? 勉強しないで怠けたい? たまに意地悪な気持ちになる?

はい、私もそういう気持ちがたくさんあります。

でも。ほんのちょっぴりでも、身体の不自由な人を手助けしたい、ほしいものを我慢して募金に協力したい、そういう気持ち、心のどこかにありませんか?人の心を1つの円に表すと、右半円が、善い心。優しい、心が広い、勤勉、思いやりがある。左半円が、悪い心。意地悪、心が狭い、怠ける、自己中心。人は、自分さえよければいい、という心と、他人を助けてあげたい、という心、両方持っているんです。あなたはいま、電車の中で座っています。目に前におばあさんが立っています。あなたは、どうしたいですか?

部活で疲れてるし、あしたのテストのために単語覚えなきゃいけない。すこし居眠りもしたい・・・。おや? 別の声も聞こえてきます。おばあさん、なんだかつらそうだなぁ。単語なんか立ったまま覚えられるし、譲ってあげようかなぁ。こんなときは、あなたの心の中で、善い心と悪い心が、戦っているのです。あなたは席をおばあさんに譲りました。良い心が勝ちました。

どうして?

あなたが、自分のことより、おばあさんのことを思ったから。日本の歴史上でも、たくさん同じことが起きています。少年が本を読みながら、たきぎを背負っている像を見たことがありますか?そう、二宮金次郎。あの像は、金次郎が、いまで言えば中学生くらいの頃だと言われています。二宮金次郎は、すごいことをやります。600以上の村々を、救うのです。中には、食べ物がまったくなくて毎日バタバタと人がたおれ、死んでいった村もありました。

金次郎は、どうやって村を救ったのか。まず、村人の身体を休めさせます。次に、どう働けば豊かになるかを教えます。そして、ふだんからムダな出費をおさえ、危機に備えるようにします。働いて、稼いで、出費はおさえる。すると、お金が余ります。余ったお金を、どうするか。将来のため、子どものために貯める。これは、理解できます。それとは別に、自分の住んでいる地域のため、自分以外の人のために役立てるようすすめます。いっしょけんめい働いて稼いだのに、他人のために使う??

ちょっと考えられませんね。

でも、今から200年くらい前の江戸時代、村人たちは実際に、「自分以外の人のため」に余ったお金を、みんなで助け合うお金として寄付し合います。どうしてそんなことができたのか。自分以外の誰かを助ける、という方が、自分の欲望を満たすよりもより魅力的だったからです。自分は良いことをしている。その気持ち良さを、あなたも経験したことがありませんか?お年寄りに席をゆずったときに感じる、あの気持ち。

あなたは善い心も、悪い心も、どちらも選択できる。忘れないでほしいのは、その選択の積み重ねが、あなたの人生になるということ。善い心の選択を積み重ねた方が良い人生になるにきまっています。二宮金次郎は、ほとんど財産を残しませんでした。でも、200年たったいまでも、こうして私たちの前にあらわれるのです。素晴らしい人生だと、思いませんか?ちなみに、「人には、善い心と悪い心のふたつがあって、それが一つの円になって人間をつくっている」と考えたのは、二宮金次郎です。

迷ったとき、自分の心に「どうしようか」とたずねてください。あなたがたずねる心が、善い方の心でありますように。

※第三回は4/17(金)18:00に配信します


◎【残り僅か!3/31まで】お申込みくださった方に『渋沢栄一 一日一言』プレゼント!新生活応援CP実施中。この春、新たなステージに挑戦するあなたの「人間力」を磨き高めるために、人間学を学ぶ月刊誌『致知』をぜひご活用ください。

たった3分で手続き完了、1年12冊の『致知』ご購読・詳細はこちら

 


◇瀧澤中(たきざわ・あたる)
昭和40年東京都出身。平成13年『政治のニュースが面白いほどわかる本』(中経出版)がベストセラーとなり、時事解説を中心に著作活動を続ける。また日本経団連・21世紀政策研究所で平成23年~25年まで、日本政治プロジェクト・タスクフォース委員を務めた。政権交代の混乱期に「リーダーはいかにあるべきか」を徹底議論、報告書作成に関わる。また、『秋山兄弟 好古と真之』(朝日新聞出版)や『日本はなぜ日露戦争に勝てたのか』(KADOKAWA)等で、教育や財政面から歴史をやさしく解説し好評を得、その後『「戦国大名」失敗の研究』(PHP研究所)をはじめとする「失敗の研究」シリーズ(累計19万部)を執筆。自衛隊や日本経団連はじめ経済・農業団体、企業研修、故・津川雅彦氏主宰の勉強会で講師を務めた。マスコミで「近現代の例と比較しながら面白く読ませる」(日本経済新聞)と取りあげられるなど、〝むずかしいを面白く〟の信念のもと、「いまに活かす歴史」を探求する。

人間力・仕事力を高める記事をメルマガで受け取る

その他のメルマガご案内はこちら

『致知』には毎号、あなたの人間力を高める記事が掲載されています。
まだお読みでない方は、こちらからお申し込みください。

※お気軽に1年購読 10,500円(1冊あたり875円/税・送料込み)
※おトクな3年購読 28,500円(1冊あたり792円/税・送料込み)

人間学の月刊誌 致知とは

閉じる