V字回復を成し遂げた、驚きの再生術とは〈浜松市花みどり振興財団理事長・塚本こなみ×新江ノ島水族館社長・堀一久〉

あしかがフラワーパーク、はままつフラワーパークを再建した塚本こなみ氏(写真・左)と、新江ノ島水族館を全国屈指の人気を誇る水族館に育て上げた堀一久氏(写真・右)。共にバブル経済崩壊後の不況をはじめとする様々な困難と向き合いながら、強固な信念と高い志を抱いて厳しい改革に臨み、見事、大型施設をV字回復に導いてきました。そんなお二人が語り合う、事業発展の秘訣とは。
(本記事は『致知』2026年1月号 対談「かくしてV字回復は成し遂げられた」より一部を抜粋・編集したものです)

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小さな変化を積み重ねることの大切さ

<塚本>
いまのお話を伺いながら、とても共感するところがありました。お客様の要望にお応えするために、新たな展示内容や新しい魅力を創出していくことの大切さを私も常にひしひしと感じておりますから。

これは「あしかがフラワーパーク」のオーナーさんともよく話をしていたことなんですけど、内容を毎年少しずつ変えましょうと。藤の季節に来られた方が今年も来ていただくために1か所違うものをつくる。そして来年また新しいところをつくる。そうやって少しずつでも常に進化させていくことが大事だと思っています。

「はままつフラワーパーク」の母体は浜松市ですので、大掛かりな変更やリニューアルに当たってはすべて市の許可が必要です。私たち運営者が独自でできることは限られていますが、それでも少しずつ少しずつ変化する場面、お客様に飽きさせない場面をつくりあげていく努力をしなくてはいけない。きっと堀さんも同じ思いでいらっしゃるのではないでしょうか。

<堀>
おっしゃる通りですね。理念そのものは変えることなく、集客という視点で一年を通して季節感を感じる展示、テーマ性のある企画などの組み替えを、全体の展示のストーリーラインを損なわない形で付加していく。そのことでお客様には満足感を得ていただくことができるのだと思います。

「えのすい」の入場料は2,800円なのですが、その2倍の5,600円の設定で会員制の年間パスポートを発行しています。2回の入場で元を取れるために相場的には安いと言われるのですが、リニューアル開業当初は「同じ水族館に普通1年に2回は行かないでしょう」という否定的な声が内部でも聞かれました。

しかし、そんな不安を払拭するかのようにお客様が他のお客様を呼んでいただく、我々にとっては有形無形の営業部隊ともいえるコアなファン層が形成されていったんですね。いまはそういうお客様との関係性を深めること、そのための企画を創造していくことに力を入れています。

一方で、そんなお客様の思いに応えるためにも従業員教育に力を注いできました。「えのすい」にはアルバイトを含めて400名ほどの従業員がいます。全員の努力のおかげでV字回復を果たせましたので、今度はそれを感覚ではなく言葉として共有したいという思いから、2012年、「えのすい」としての思いをクレドという小さな冊子にまとめました。

<塚本>
そこにはどういうことが書かれているのですか?

<堀>
一番のベースである「新江ノ島水族館が目指すもの」は、先ほどお話しした雨宮初代館長の言葉を掲げ、その上で理念や信条、行動指針などを記しました。

「生物たちの『つながる命』の価値を最大限伝えていく」「日本一居心地の良い水族館に」「常に進化を続ける」などはその一例です。

このクレドを各部署の朝礼などで唱和することにより、「えのすい」が目指すべき方向性が確認でき、もし何か迷うことがあったらクレドを読み返すことで原点回帰できるんです。

実際、社員からアルバイトまで全員が思いを共有することにより、全体のモチベーションがものすごく高まってきたと感じています。

「えのすい」の15のチームにはそれぞれ部長クラス、マネジャークラスの社員がいますが、できるだけフラット化して自由闊達な議論をしながら、皆で「えのすい」らしさをチェックし合っています。そのことで全員参加型のよき社風が生まれてきました。喜びとプライドと自信を持って日々働いてくれる社員と対話をする中で、一番刺激を受けているのは私自身なのかもしれませんね。


(本記事は『致知』2026年1月号 対談「かくしてV字回復は成し遂げられた」より一部を抜粋・編集したものです)

↓ 対談内容はこちら!

◆地域と共に歩み続けて
◆女性樹木医第1号の道へ
◆困難を極めた大藤の移植
◆突然経営を担った母親の後ろ姿に教えられる
◆苦境の中で生まれた水族館再建策
◆改革の手始めは徹底した市場調査から
◆感動分岐点を超えた革新的アイデア
◆「えのすい」の価値をいかに正しく伝えるか
◆小さな変化を積み重ねることの大切さ
◆宿命に生まれ、運命に挑み、使命に燃える
◆世界一を目指して歩き続ける

 

本記事は電子版で全文お読みいただけます。
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◇塚本こなみ(つかもと・こなみ)
昭和24年静岡県生まれ。造園家であるご主人の仕事を手伝った後、グリーンメンテナンス、環境緑化研究所の2社を設立。樹木医になり、足利の大藤を移植・デザインを担当。造園指導などを続ける傍ら平成11年あしかがフラワーパーク園長に就任。25年はままつフラワーパーク理事長に就任。卓越したアイデアと努力により赤字に陥っていた両園のV字回復を果たす。

◇堀 一久(ほり・かずひさ)
昭和41年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、平成元年に住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)に入社。14年江の島水族館に専務取締役として入社。16年江ノ島マリンコーポレーション(江の島水族館から商号変更)の社長に就任。26年新江ノ島水族館社長に就任。

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