2024年05月13日
経営学を始め、様々な分野に多大な影響を与えたピーター・F・ドラッカー。その言葉や教えはいまなお力強い説得力を持ち、私たちの仕事や人生の指針となっています。月刊『致知』では、ドラッカー公認の唯一の学術団体であるドラッカー学会の共同代表理事を務める佐藤等さんの連載を掲載しています。本日はその連載の中から、「組織の目的を明確にする」大切さを説いていただいた内容をご紹介します。
◎各界一流プロフェッショナルの体験談を多数掲載、定期購読者数No.1(約11万8,000人)の総合月刊誌『致知』。人間力を高め、学び続ける習慣をお届けします。
たった3分で手続き完了、1年12冊の『致知』ご購読・詳細はこちら。
※動機詳細は「③HP・WEB chichiを見て」を選択ください
組織の目的という体系的な情報を手にする
〈佐藤〉
マネジメントを学ぶためには組織という道具を見るための3つの視点が不可欠です。
①自らの顧客のために成果を生み出す経済的な機関
②生き生きと働き、生産的な存在とするための社会的な機関
③社会とコミュニティに根ざすがゆえの公的機関
「組織は存在することが目的ではない。(中略)外の環境に対する貢献が目的である」
『経営者の条件』
この言葉は、①に関するものです。組織が存在する目的は、顧客に価値をもたらし貢献することです。この点について多くの人が企業の目的は、利益をあげることであると誤解しています。
「利益は、企業や事業の目的ではない条件なのである」
『現代の経営』
利益を目的にマネジメントすることは、組織としての道具の機能を傷つけます。目的と条件の混同は、時に顧客にもたらされる価値・満足よりも組織の利益を優先するという間違った判断に人を導きます。
果たしてこのような基本的な情報を誰が教えているでしょうか。また、組織で働いている人は、このような重要な情報を手にしたいと思っているでしょうか。
「従業員の目に企業の目的が利益の追求と映るかぎり、自らの利益と企業の利益の間に対立を確信せざるをえない」
『現代の経営』
このようなことが起こらないように必要な体系的な情報とは何か、と自問しなければなりません。
最も重要な情報は、組織の目的に関わるものです。そもそもすべての道具は、目的なしには機能しないものだからです。
それゆえドラッカーは問います。
「われわれのミッションは何か」。目的なしに働くことほど辛いことはありません。さらに、その目的を実現する手段である事業を問います。「われわれの事業は何か」。どんな価値をどんな顧客に届けるために働いているのか。仕事は人のために行うものです。何のために働くかを示さずして、やりがいやモチベーションはありません。
(本記事は月刊『致知』2024年5月号連載「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」から一部抜粋・編集したものです。)
◎佐藤さんの連載「仕事と人生に生かす ドラッカーの教え」では、毎月ドラッカーの教え・言葉をどう生かすか、マネジメントの要諦を繙いていただいています。
詳細は下記バナーをクリック↓
◎佐藤さんも、弊誌『致知』をご愛読いただいています。創刊45周年を祝しお寄せいただいた推薦コメントはこちら↓↓◎
45周年おめでとうございます。マネジメントを学び出した頃、『致知』を偶然読み始めました。ある日、「マネジメントとは科学であるとともに人間学である」とのドラッカーの言葉にハッとさせられ、両者の関係の探求が始まりました。和魂という幹に結実した洋才─ ドラッカーは明治維新を奇跡として世界に発信しました。今再び、現代の和魂である人間学が必要とされています。毎号、日本の根幹を鍛える言葉に出会うのが楽しみです。
◇佐藤等(さとう・ひとし)
昭和36年北海道生まれ。59年小樽商科大学商学部商業学科卒業。平成2年公認会計士試験合格。佐藤等公認会計士事務所開設。14年同大学大学院商学研究科修士課程修了。主宰するナレッジプラザの研究会として「読書会」を800回にわたって開催。編著に『実践するドラッカー』シリーズ(ダイヤモンド社)などがある。
◎各界一流プロフェッショナルの珠玉の体験談を多数掲載、定期購読者数No.1(約11万8,000人)の総合月刊誌『致知』。あなたの人間力を高める、学び続ける習慣をお届けします。
たった3分で手続き完了、1年12冊の『致知』ご購読・詳細はこちら。
※購読動機は「③HP・WEB chichiを見て」を選択ください
≪「あなたの人間力を高める人間力メルマガ」の登録はこちら≫