会社の器は社長の器以上にはならない——いかに真のリーダーを育てるか(「徳道実践塾」主宰・齋藤誠司)

企業の事業戦略、人材マネジメント全般に関わるコンサルティングや営業マーケティングのプロとして国内外で活躍するリーダーシップ・ブレインズ社長の齋藤誠司さん。齋藤さんは様々な組織で経験を積む中で、リーダーには何よりも人格、徳性が備わっていなければいけないと思い至り、「徳道実践塾」を立ち上げました。同塾に通っている塾生たちからは「判断軸が身についた」「経営がうまくいくようになった」など多くの嬉しい声が寄せられています。子供の頃は泣き虫だったという齋藤さんは、いかにして現在の道に進み、どのような思いで塾生に向き合っているのでしょうか。

組織はリーダーの器以上にならない

<齋藤>

幼少期からおとなしく、泣き虫だった私を変えたのは、父の言葉でした。一緒にお風呂に入っている時に、面と向かってはっきりとこう言われたのです。

「いじめっ子がいるから幼稚園に行きたくないって言っているのか? やられたらやり返せ! 男なんだから、めそめそするんじゃない!」

ああ、そうかと目覚めたような感覚を覚えた私は、次第に負けん気が強まり、小学校に入ってからはクラスのリーダー格となりました。言葉は人間をかくも変えるのです。

以後、特に中学校で始めた陸上競技の走り幅跳びには、地元宮城の県大会で上位に入るほど熱心に打ち込みました。将来はオリンピックに出場することが当時の目標でした。

しかし、志望する高校に落ち、滑り止めの私立高校に入学したところ、そこのグラウンドには砂場がなく、走り幅跳びはできなかったのです。目標を失った私の心は荒み、主体性のない悶々とした3年間を過ごしました。

そんな私を覚醒させてくれたのが、空手の世界チャンピオンであり実業家の森俊博先生との出逢いでした。このまま生ぬるい大学生活をしていては自分がダメになる、何か一本筋の通ったことがやりたいという思いが込み上げ、森先生がOBとして指導する空手道部の門を叩いたのです。自分の意志で初めて決断して選択したのが空手でした。

森先生の稽古は大変厳しいものでしたが、うまくできたことに対しては褒めて認めて、得意技(強み)を見いだしてくれる指導者で、それが私の気質にぴったり合い、先生の姿勢、考え方から技まで素直に貪欲に学んでいきました。その努力の甲斐あって、3年生で東北学生チャンピオンになることができたのですが、その際も叱咤激励してくださり、翌年も連覇することができたのでした。この時に自信が確信となり、自分を信じ、努力することで道は開けることを深く学びました。

また、森先生から「これを読みなさい」と手渡されたのが伊藤肇氏の『現代の帝王学』でした。私には難しい内容でしたが、尊敬する師に勧められたものは心に素直に入ってくるものです。ここから東洋古典(四書五経)や安岡正篤の陽明学、森信三の『修身教授録』、佐藤一斎の「言志四録」などの本を耽読するようになり、この活学が私のベースをつくっていくのです。先生と出逢っていなければいまの自分はいなかったでしょう。

大手住宅建材メーカーに入社し、ルートセールスを経験した後、27歳から自分で希望し人材開発部門にて人材戦略や能力開発、各種研修の企画・実行に携わりました。

そこで7年ほど経験を積んだ頃、グローバルに活躍したいとの思いが募り、2000年に退職して渡米。ニューヨークのインターコンチネンタルホテルのHRビジネスインターンとして一年間働くと共に、現地の道場で空手も教えました。帰国後も35か国で展開する外資系の組織コンサルタントとして国内外の人事・組織の課題解決、様々な国際的なプロジェクトにリーダーとして従事しました。

塾生に熱い講義を行う齋藤さん

その体験から実感したことは、知識や言葉よりも前に、物の見方や考え方としてまず日本人としての精神性や愛国心、歴史観や思想哲学、ぶれない軸としての意志をしっかり持っていなければ、相手から真の尊敬と信頼を得ることはできないということです。

また多くの経営者にお会いする中で、会社の器は社長の器以上にはならないこと。四書の入門書である『大學』の教え(修己治人)にあるように、会社や組織が成功してくかどうかは、最終的にはそのリーダー自身の人間性、人徳にかかっていることも身に染みて実感していきました。

その後、2015年に独立。2年後には会社組織としてリーダーシップ・ブレインズを設立し、東洋古典の学びや経験を活かした真のリーダーを育成する「徳道実践塾」を新たにスタートさせました。

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(★この続きは、2023年12月号連載「致知随想」にてご覧ください。「徳道実践塾」の具体的な内容、塾生たちの声、人材育成を通じて伝えたい熱い思いを語っていただいています。詳細はこちら 

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◇齋藤誠司(さいとう・せいじ)――1964年宮城県仙台市生まれ。1987年東北学院大学卒業後大手住宅建材メーカー大建工業株式会社入社。人材開発部門にて従業員2,700名の人材戦略の企画実行及び能力開発システム体系を再構築し、自らも講師として各種研修を実施。また企業内のみならず傘下の特約店、販売代理店に対しても、事業経営支援と販売促進の戦略会議および管理職研修を企画実施した。2000年、渡米の為、退職。ニューヨークにあるインターコンチネンタルホテル(17カ国の従業員700名)でHRビジネスインターンとして従事。帰国後、国内の国際化研修会社の企画営業兼講師を経て2003年に㈱ライトマネジメントジャパン入社(現、マンパワーグループ㈱)組織コンサルタントとして国内外の人事・組織の課題解決に従事。コンサルティング部門のプリンシパルとしてBusiness DevelopmentPeople Managementに携わる。同企業では、5つのグローバルリーダーシップ開発のプロジェクト(和蘭、英国、米国、仏蘭西企業)に参加し、自らもプロジェクトリーダーとして、数多くのプロジェクトを実施した。20152月に独立。戦略とリーダーシップ開発を核に、組織とリーダーのパフォーマンスを向上させるための経営コンサルティング事業としてリーダーシップ・ブレインズを起業。「徳道実践塾」主宰。

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