2023年11月16日
約20年間減収減益に喘いでいた学研を13期連続増収&8期連続増益のV字回復に導いた宮原博昭氏。出版や学習塾をはじめとした教育事業に加え、医療・福祉事業拡大等の経営改革を断行してきました。その豪胆無比な人格、経営手腕はいかにして養われたのでしょうか。経営者としての原点となった20代の日々を振り返っていただきました。(本記事は月刊『致知』2023年11月号連載「20代をどう生きるか」より一部抜粋・編集したものです)
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支店売り上げを全国1位に引き上げるために
〈宮原〉
1986年、27歳で入社した当時の私は、全国10数位に甘んじていた神戸支社の学研教室の売り上げを全国1位に引き上げるという目標を打ち立て、朝から晩まで一所懸命働いたのです。
毎朝6時に出社し、電話営業や教室運営の研修はもちろん、チラシの印刷や会員の入会手続きに至るまで、学研教室に関する業務をすべて一人で担いました。さらに、教室の新設や既存教室の促進が成功すればするほど、自らに伸し掛かる業務量は増える一方でした。
奔走する日々の中、常に心掛けていたのは時間の使い方です。
チラシ印刷の合間は各教室で作成されたチラシの内容を熟読するなど、無駄な時間を省き、些細な時間も取りこぼすことなく仕事に充てました。周囲が娯楽にうつつを抜かしている時も、自己研鑽と他社研究に没頭し続けたことで、おざなりになっていたPR活動への注力をはじめとした様々な策を講じることができたのです。
その結果、1年目から全国の支社中トップの個人成績を記録、その後には支社の売り上げが全国1位に飛躍する原動力になりました。
経営層から見れば20代は所詮子どもにすぎず、仕事を選べる立場ではありません。実力が劣るからこそ、せめて情熱と意欲で勝る他に道はないように思います。
目の前の仕事を運命だと受け入れ、たとえ周りと衝突しようと、万難を排して邁進する。自信過剰なくらいの「とんがった人間になる」ことが、その後の人生の選択の幅を広げていくと実感します。
◉本記事では全3ページにわたって、宮原さんが経営者としての原点と語る若手時代の貴重な体験談をご紹介しています。防衛大学校での日々や勤務地限定職としての葛藤、そしていかにして社長就任直後に学研をV字回復へと導いたのか。その全貌は本記事をお読みください。
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◆使命感に駆られ教育の道へ
◆努力は絶対に裏切らない
◆逡巡の罪
◆無償の努力が未来を拓く
◇ 宮原博昭(みやはら・ひろあき)
昭和34年広島県生まれ。防衛大学校卒業後、貿易商社勤務。61年に学習研究社(現・学研ホールディングス)入社。学研教室事業部長、執行役員、取締役を経て、平成22年学研ホールディングス社長に就任。教育と医療福祉を中核とした事業改革を牽引し、13期連続増収、8期連続増益のV字回復を果たす。著書に『逆風に向かう社員になれ』(学研プラス)『M&A経営論:ビジネスモデル革新の成功法則』(東洋経済新報社)など。