【編集長取材手記】井村雅代×乾友紀子 世界一のアスリートに学ぶ「結果を出す人の思考と行動の習慣」

今年7月、福岡で開催された世界水泳選手権にて日本アーティスティックスイミング界の絶対的エースと名伯楽が一躍脚光を浴びました。ソロ種目で2個の金メダルを獲得し、2大会連続2冠の偉業を成し遂げた乾友紀子さんと、その専属コーチとして指導に当たった〝メダル請負人〟の異名を取る井村雅代さん。ここでは『致知』2023年12月号「敬、怠に勝てば吉なり」に掲載された師弟対談の取材秘話をご紹介します。

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この道50年、有言実行を果たした名将

井村雅代さん。言わずと知れたアーティスティックスイミング(AS)の名将です。「鬼コーチ」「メダル請負人」「シンクロの母」の異名を取り、愛に溢れた厳しい指導で選手の可能性を最大限に引き出し、これまで五輪で16個のメダルをもたらしてきました。今年はコーチ歴50年目の節目に当たります。

2022年4月号の月刊『致知』にて、東京五輪で女子ソフトボール日本代表を金メダルに導いた宇津木麗華監督と対談していただいた際、井村さんはこのようにおっしゃっていました。

「今回の東京オリンピックで日本は4位という結果で終わり、これを機に私は日本代表のコーチに終止符を打つことにしました。
しかしいま、今年の5月に開かれる予定(実際には翌年の7月に延期となった)の世界選手権で、日本の不動のエース・乾友紀子のソロコーチとして再び世界の頂点を目指しています。
乾も現在31歳と決して若くはありません。彼女はいままで日本のアーティスティックスイミング界を牽引し、ものすごく貢献してくれたからこそ、悔いのない選手人生を送らせてあげたい。強敵のロシアや中国もいるので、最後の山はかなり険しい山です。でも、だからこそ面白い」

あれから1年――。井村さんは見事に有言実行を果たし、今年7月、福岡で開催された世界水泳選手権にて日本アーティスティックスイミング界の絶対的エースと名伯楽が一躍脚光を浴びました。

ソロ種目で2個の金メダルを獲得し、2大会連続2冠の偉業を成し遂げた乾友紀子さん。その専属コーチとして指導に当たった井村さん。東京五輪での悔しさを糧に、二人三脚で特訓の日々を積み重ねてきたといいます。

いかなる努力によって自己を磨き、世界の頂点を掴んだのか。お二人の戦いの軌跡から、勝利する者の条件を探るべく、『致知』最新号(12月号)で井村さんと乾さんの師弟対談が実現しました。テーマは「いかにして勝利の女神は微笑むか」です。

当初は断られるも、対談取材を実現できた背景

当初、取材依頼をした際は「日程的に難しい」とのお返事でしたが、再度こちらの熱い思いを伝えたところ、意気に感じてくださったのでしょうか。10月12日(木)の大安吉日に、大阪府門真市にある東和薬品RACTABドームでの練習前の貴重な時間を割いて、対談取材に応じてくださいました。

冒頭、お二人にささやかながらお祝いの花束をプレゼントすると、非常に喜んでくださり、乾さんは師弟対談ということもあってか、最初はやや緊張の面持ちでしたが、とても和やかな雰囲気で取材をスタートすることができました。

井村さんはこれまで何度も『致知』にご登場いただき、1,000名規模の講演会でも講師を務めてくださるなど、弊誌とは20年近くのご縁があります。一方の乾さんは今回が初対面。取材当時の『致知』最新号(11月号)にちょうど井村さんの「創刊45周年 致知と私」のメッセージが掲載されており、乾さんにもそれをご覧いただくことで、どのような月刊誌か一層理解していただけたようです。

 

「創刊45周年おめでとうございます。仕事の関係で全国色々なところに行きますが、〝『致知』でお会いしていますね。私も『致知』を読んでいます〟と声を掛けられることが多い。会いたい人に会える本、あの人はどのような考えをされたのだろうと頭をよぎった時、その人の考えに触れられる本、人生で行き詰まった時に『致知』を読むと次への行動のヒントを感じ取ることができ、静かに脈々と日本のロングセラーになっている本、それが『致知』である――井村雅代」

AS界の至宝が語り合った勝利する者の条件

取材時間は2時間。そこで語られた内容を凝縮して誌面9ページ、約1万2千字にまとめた対談記事が『致知』12月号に掲載されています。対談の主な内容は下記の通りです。

「二人三脚で掴んだ世界の頂点――今大会を振り返って」
・今大会に懸けてきたそれぞれの思い
・世界選手権2連覇を果たすことができた勝因
・コーチとして指導する上で大切にされてきたこと
・特に印象に残っている場面、忘れられないエピソード

「東京五輪からの2年間の特訓の日々」
・東京五輪での惜敗を、どうバネに繋げてきたのか
・積み重ねてきた〝気を失うほどの練習〟〝細部の質に徹底的にこだわった練習〟とは

「いかなる努力鍛錬によって自己を磨いてきたか」
・競技を始めたきっかけ、本気でこの道に進もうと決意した時
・強くなるために実践してきたこと、心掛けてきたこと
・薫陶を受けた人(両親や師匠など)の教え

「勝利する者の条件」
・勝利を掴む人と掴めない人の根本的な差
・世界のトップに立つためにはどんな考え方や心構えが必要か

アーティスティックスイミング界の至宝と呼ぶに相応しいお二人が実体験を通して掴まれた勝利する者の条件は、職業のジャンルや立場や年齢を超えて、あらゆる人の参考になる、まさに「仕事と人生の成功法則」が詰まっています。

結果を出す人の思考と行動の習慣

そんなお二人に表紙とトップ対談を飾っていただいた『致知』12月号の全体を貫く特集テーマは、東洋古典『小学』の一節から引用した「敬(けい)、怠(たい)に勝てば吉(きつ)なり」というものです。

敬(つつ)しみの心が怠(おこた)りの心に勝てば吉だが、逆に怠りの心が敬しみの心に勝てば、その結果は滅びに至る。「敬」には〝つつしむ〟の他に〝真心を込めてつとめる〟という意味もあります。つまり、自分との闘いに勝つ、克己心こそ人生の重大事である、ということです。

この特集テーマに関して、井村さんはこうおっしゃいます。

「私はよく「結果を出せるのは結果を決めているから」と言っていますが、まず結果を明確に決める。
そのために具体的に何をするか、目標と計画を示す。遅れている時は何が何でもやると決め、できるまでやり続ける。この考え方がとても大事です」

「私と一緒に練習して、ああ地獄のような猛練習が終わってよかった、というような意識のレベルでは絶対にメダルは取れない。大事なのはその練習の後、自分は何をするかを考え、さらに自分で練習するようでなければメダルは取れませんからね。」

この言葉に呼応するかのように、乾さんが答えます。

「どれだけ練習時間があったとしても、そこに全力で打ち込める体力とメンタルを調えておかなければ、同じ時間練習しても全然身にならない。ですから、練習以外の時間に行う食事や身体のケアが大事になってきます。
この競技は脚で表現するので、脚が綺麗じゃないとダメ。脚がむくまないように飛行機に乗る時や寝る時もテーピングをグルグルに巻いたり、長時間立ったり座ったりしていると明日の練習に響くなとか、日常生活の中でそういうことを考えながら、ベストコンディションで練習に臨めるように自己管理を徹底していました」

「うまくいかないことの連続で、すごく悔しい思いもいっぱいしたんですけど、次こそはこうなりたいと目標に対する情熱を絶やさず、いつか必ずチャンスが来ると諦めないで努力し続けたことで金メダルを獲得することができました」

心にズシリと重く響いてくる言葉です。

世界選手権2冠&2連覇という金字塔を打ち立てることができた背景には、20年来の師弟関係で結ばれたお二人の圧倒的な努力がありました。目に見えないところを追求し続ける姿勢こそ本物に至る道なのでしょう。


本記事では、お二人がいかなる努力によって自己を磨き、世界の頂点を掴んだのか。戦いの軌跡から、勝利する者の条件を探ります。

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◇井村雅代(いむら・まさよ)
昭和25年大阪府生まれ。中学時代よりシンクロナイズドスイミング(現・アーティスティックスイミング)を始める。選手時代は日本選手権で2度優勝し、ミュンヘン五輪の公開演技に出場。天理大学卒業後、大阪市内で教諭を務める傍ら、シンクロの指導にも従事。53年日本代表コーチに就任。平成18年より中国、イギリスの指導を経て、26年日本代表ヘッドコーチに復帰。28年リオデジャネイロ五輪ではデュエット、団体とも銅メダルに導く。令和3年東京五輪では4位入賞。五輪でのメダル獲得数は通算16個。著書に『井村雅代コーチの結果を出す力』(PHP研究所)など。

◇乾 友紀子(いぬい・ゆきこ)
平成2年滋賀県生まれ。小学校1年生の時にシンクロナイズドスイミング(現・アーティスティックスイミング)を始める。6年生の時から井村シンクロクラブに所属。平成18年世界ジュニア選手権に出場し、3種目で銅メダル。2年後の世界ジュニア選手権ではデュエットで銀メダル、チームで銅メダルを獲得。21年立命館大学入学、この年より日本代表入り。五輪には24年ロンドン、28年リオデジャネイロ、令和3年東京の3大会に出場し、リオ五輪ではデュエット、チームで銅メダルを獲得。東京五輪後はソロに専念し、4年ブダペスト大会と5年福岡大会で共に2冠を達成した。

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