【創業100周年】加工用米で業界No.1を誇るナカリが貫いてきた〝負けない経営〟

主食用から加工用原料米に至るまで、あらゆる規格の米を取り扱うオールライスメーカー「ナカリ」。今年創業100周年の節目を迎える同社は、加工用米の取り扱いにおいて業界ナンバーワンを誇ります。歴代社長の意志を継ぎ、事業に取り組む4代目社長・中村信一郎さんに、創業から現在に至るまでの歩み、業界ナンバーワンたる所以を教えていただきました。

加工用米で業界ナンバーワンの地位を確立

〈中村〉
当社は1923年、私の曽祖父・中村利三郎が地元宮城県で起こした米穀商「中利商店」に端を発します。
 
戦中は食糧管理法の施行に伴い、米に関わる仕事が一切できない時期が続きましたが、戦後に祖父母の良一とあきゑが農林省指定の米穀集荷指定業者となり二人三脚で事業を再開。

以来、米穀の集荷、保管、加工、販売を担う「オールライスメーカー®」として業容を拡大し、現在売上高60億円(グループ計130億円)を計上しています。
 
当社の強みは、一般的な主食用米からくず米まで、あらゆる規格のお米を取り扱っていることです。米菓や味噌、清酒、焼酎、ビールなどの製造に不可欠な加工用米の開発に注力し、多数の有力メーカー様から引き合いをいただいています。

1年間の米の取り扱い数量は5万トンで、米穀業界最大手の10分の1程度ですが、加工用米の取り扱いは3万5,000トンと、ニッチな業界ながらナンバーワンを誇ります。
 
相場商品である米は、常に価格の変動リスクを抱えています。1993年の大凶作時には、約20億円分の期末在庫が評価額で約7億円にまで暴落したこともありました。

当社がこうした危機を乗り切ることができたのは、オーナー経営の強みを生かして公私を分かたず仕事に打ち込み、内部留保の蓄積とリスク管理に努めてきたからといえます。

歴代社長の語録に込められた経営の要諦を拠り所に

〈中村〉
私は1988年に当社に入社し、2011年に父・光良から経営を引き継いで4代目社長に就任。

事業の柱を増やし、「負けない経営」に徹することで、おかげさまで本年、創業100周年の節目を迎えることができました。
 
100周年記念事業の一つとして制作したのが、歴代社長の遺訓集『ナカリ 伝えたい百の言葉』です。どれ一つを取っても疎かにできない訓戒ばかりですが、とりわけ心に響くのが祖父の言葉です。
 
冒頭に記した経緯で米に関わる仕事ができなくなり、同業者が次々と廃業に追い込まれる中、旅館業や古着商などで懸命に経営を維持してきた祖父は、「生活は質素に」「無駄は御法度」などの厳しい戒めを遺しています。
 
また、「競争相手は大きいものよりも努力するものが怖い」との言葉は、世の中の変化に対応する努力の大切さを示唆しています。

当社はこれを踏まえて従来のようなトップダウンでなく、社員一人ひとりが自分事として事業に関わり、幸せを実現していく組織づくりを推進。例えば、若手の幹部候補が立ち上げた「組織活性部」が、通販サイトのアマゾンで一番安いお米を売ろうというコンセプトで「小粒米」を企画し、粒は小さくてもブランド米に負けない美味しさを実現するなどの成果を上げています。
 
国内の米穀市場は縮小傾向にありますが、社会から求められる努力・工夫を重ねることで、逆にチャンスは広がると私は考えます。

当社は今後ともお客様から一番手に声がかかる「業界ナンバーワンのファーストコールカンパニー」を目指して、「新たな歩みを変わらぬ心で」進めていく所存です。


(本記事は月刊『致知』2023年9月号掲載記事を一部編集したものです)

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