靴下の「タビオ」創業者が松下幸之助に学んだ《仕事に成功する》一番の秘訣

業界屈指の規模を誇る靴下屋「タビオ」創業者・越智直正さんが急逝し、早1年が過ぎました。丁稚奉公から身を起こし、靴下専門の卸問屋を一代で名企業に育て上げた歩み、遺された言葉は含蓄に富んでいます。越智さんが若い頃に知って心に留めてこられた松下幸之助の逸話――「仕事で成功する一番の秘訣」とは何かをズバリお話しいただきました。

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〈越智〉
私が教えを乞うたのは、古典ばかりではありませんでした。

経営の神様と言われた松下幸之助さんが、日本将棋連盟から依頼を受け普及会員になった時、大山康晴という大名人と対局をしたことがありました。

普通に考えれば、将棋に関しては素人の松下さんが大山名人に敵うはずはないのですが、勝ったのは何と松下さんのほうでした。

松下さんは指し手に困る度に大山名人に「先生、ここではどう指せばよいでしょうか?」と尋ね、言われたとおりに指すうちに大山名人の王将が詰んでしまったというのです。

私が商売でやってきたこともそれと同じでした。

創業時より紳士物の靴下を専門に扱っていた私が、婦人物への進出を決意した時、周囲からは「越智に婦人物などできるわけがない」と一笑に付されました。

その時に私は、店頭の女性販売員を先生と呼んで教えを乞うたのです。女性たちは実に的確なアドバイスをくれ、そのアドバイスに素直に従って商品開発を続けるうちに、私はいつの間にか業界でも認められる人間になることができました。

仕事に成功する一番の秘訣は、知っている人から教わることなのです。


(本記事は月刊『致知』2017年12月号 連載「二十代をどう生きるか」P92より一部を抜粋・編集したものです)

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◇越智直正(おち・なおまさ)
昭和14年愛媛県生まれ。中学卒業とともに大阪の靴下問屋に丁稚奉公。43年独立、靴下卸売会社ダン(現・タビオ)を創業。丁稚時代から読み始めた中国古典の教えをもとに、モラルある商売の道を追求。靴下業界屈指の企業を築く。著書に『男児志を立つ』『仕事に生かす「孫子」』(ともに致知出版社)などがある。令和4年1月逝去。

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