「すべては自分がいまいる場所からやな」歌舞伎町の駆け込み寺から伝えたいこと(玄秀盛)

DV、ストーカー、引きこもり、自殺、虐待……。東京の大歓楽街で、様々な問題を抱えた人に年中無休で手を差し伸べ続けている玄 秀盛さん。ご自身は、1000人に1人の病気で余命1年を宣告され、さらに入院中に自己破産をするなど、波乱の半生を過ごされてきました。そんな玄さんに、いま生きづらさを感じているすべての人に伝えたい想いを伺いました。

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問題を抱えた人の相談に年中無休で応え続ける

——げんさんは東京の歌舞伎町かぶきちょうで、様々な問題を抱えた人の救済活動に尽力なさっているそうですね。

<玄>
日本の歓楽街のど真ん中で、命というものをひたすら見つめながら頑張ってきました。

この活動を始めてもう17年になるけど、相談に乗ってきた人は優に5万人は超えてるやろな。

——5万人とは、途轍とてつもない人数です。

<玄>
いろんな人が相談に来るよ。

サラ金の取り立てに追われる人から、足抜けできない暴力団員、風俗店で労働をいられている女性、夫のDVで体中あざだらけの主婦、苛め、ストーカー、引きこもり、自殺、虐待……。

うちは駆け込み寺やから、来る者
こままず。

年中無休ですべて受け入れています。以前は24時間態勢でやってきたけど、俺も今年で63やし、さすがにそこまでやると壊れちゃう(笑)。

それでもなんとかこの場所をなくさないように毎日12時間、ハーフタイムで頑張っているんです。

いまがどんなに苦しくても生きてほしい

<玄>
5万人も相手にしてきた経験から言えるけど、解決できへん問題は100%ない。

だから相談者には、いまがどんなに苦しくても生きてほしい。

死んだらただの生ゴミやから、いま何をするかが大事。

とにかく生きてくださいよ、から話は始まるんです。

ただ、相談者の根が腐っていたら、その時は助かっても、やっぱり立ち枯れするよな。

こっちが無色透明になって相手をとことん見たら、この人の何が問題かは100%分かるから、苦しみの根っこはここですよって気づかせてあげたら、放っといても立ち直りますよ。

それから最近は、加害者も救わなければいかんことを実感しています。

例えばDVの被害者を助けても、加害者を放っといたらまた被害者が生まれる。

人間の根本ができていない加害者には、「女性はおまえの所有物やないで」「そんなことを続けていたら、また刑務所行きやで」と教えさとす。

生活が破綻はたんしていたら職や住まいの面倒を見てやって「ちゃんと仕事をして、今後は絶対に暴力を振るったらあかん」と言い含める。

平成26年には再チャレンジ支援機構を立ち上げて、出所者の立ち直り支援にも取り組んでいます。

こうやってうちがともし続けてきた貧者の一灯を、ここだけじゃなく全国に灯そうと考えて、宗教団体にも協力をつのったり、『よろず』という月刊誌を発刊したりして、うちの活動を多くの人に知ってもらうことにも力を入れているんです。

いま生きづらさを感じている人に伝えたいこと

——いま生きづらさを感じている人に、ひと言お願いします。

<玄>
どこへ逃げたって状況は変わらへん。

だから不平不満を言う前に、いま自分の足もとを見つめてください。

いまあなたが置かれているところで花を咲かせるように生きてください。

いま自分の足もとを見つめたら、健康であること、家族がおること、仲間がおること、自分がどれだけ恵まれているかということに気づくはずです。

そのことに気づいたら、今度は与える側に回ってほしい。

すべては自分がいまいる場所からやな。脚下きゃっかからすべては始まると思うています。

これまで17年間懸命に灯してきた貧者の一灯も、今後理解者が増えて万灯になったら必ず日本は変わると俺は思うんです。

だからこれからも阿闍梨さんの遺言を守って、いま目の前のたった一人を救っていく。

誰が来ても受けて立つ気概で、これからも頑張っていきますよ。


(本記事は月刊『致知』2019年6月号 特集「看脚下(かんきゃっか)」より一部を抜粋・編集したものです)

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◇玄 秀盛(げん・ひでもり)
昭和31年大阪府大阪市生まれ。様々な職業、事業を経て、平成2年天台宗酒井雄哉大阿闍梨の元で得度。14年暴力や金銭トラブルなど多様な問題を抱えた人たちを救済する「NPO法人日本ソーシャルマイノリティ協会」を設立。24年公益社団法人日本駆け込み寺に組織変更。26年出所者支援のため一般社団法人再チャレンジ支援機構設立。29年よろず相談研究所設立。著書に『悩み方、違ってます!』(幻冬舎)『もう大丈夫』(KKロングセラーズ)など。

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