「一引き、二運、三力」——人生百年時代を生き抜く〝極意〟|ガッツ石松×田中真澄

弊社書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』が、30万部超えの大ベストセラーに。読者から連日寄せられる感想からも、収録された各界一流人の珠玉の言葉が、多くの人の心を捉え、奮い立たせていることが窺えます。同書に名を連ね、同書に大きな共感を示していただいている田中真澄氏とガッツ石松氏に、収録されたエピソードを踏まえて、各々を今日へと導いた言葉について語り合っていただきました。

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人生百年時代に勉強すべきこと

〈田中〉
こうしてお話を伺っていると、ガッツさんは本当に小さい頃から命懸けで生きてこられた方で、だからこそ今日があるのだと実感されます。そういう歩みの中でも、一番厳しかったのはいつですか。

〈ガッツ〉
子供時代ですね。

〈田中〉
あぁ子供時代ですか。後のどんな時よりも。

〈ガッツ 〉
私は選挙で落選したこともあります。あの時は自民党から全部面倒を見ると言われていたんですが、出馬したら何のバックアップもなくて、結局選挙に負けて3億円の借金が残りました。だけど文句は言えないですよ。自分が決意して出馬したわけだから。もちろん負けて悔しかったけど、辛いとは思いませんでした。

辛かったのはやっぱり子供時代なんですよ。廃屋のような粗末な家で食う物にも事欠いて、毎日がその日暮らしですから。でも、ああいう厳しい環境に育ったおかげで頑張れたんです。どんなに辛い下積み時代でも、目を瞑ると故郷の風景と一緒に、父ちゃん、母ちゃんの貧しい姿が浮かぶんです。「あぁ、父ちゃん、母ちゃんに旨いものを腹いっぱい食わせてあげたいな」と思うと頑張れた。だから、神様ありがとうって心の底から思えるんです。

ただ、頑張ると言っても、力をつけないと頑張れない。先生の言葉の三番目の「力」が必要です。

〈田中〉
本当にそうですね。

〈ガッツ〉
ボクシングでも、頑張るという気持ちは誰にもあるんですよ。だけど、その中で力をつけなかったら勝てないじゃないですか。そして力をつけるためには、練習しかないんですよ。

〈田中〉
最近は、学力テストや知能テストよりも大事なのは、非認知能力だと言われるようになりました。ガッツさんのような根性とかやる気がないと人間はダメだっていう調査結果が、どんどん出てきています。

私がいた日経には、有名大学を出た頭のいい人がたくさんいました。けれども、自分でゼロから何かをやろうという気概を持った人は少なかったですね。

残念ながら日本人の88%は、学校を出たらサラリーマンになって一生終わろうという、非常に短絡的な人生観しか持っていないんです。いまは100歳まで生きても不思議じゃない時代になったでしょう。それなのに、定年後の30年、35年をどう生きるかを全然考えていなくて、漫然と生きている人が多いんですよ。

〈ガッツ〉
豊か過ぎるんじゃないですかね。国が豊か過ぎて、日本人は何も考えなくなってしまったんじゃないでしょうか。

〈田中〉
ですから若い方々には、将来定年を迎えてフリーになる時が必ず来るんだから、その後どう生きるかを真剣に考えてほしい、と講演でよくお話しするんです。

そうすると、「じゃあ先生、何を勉強したらいいでしょうか?」という質問が挙がるので、「老舗」の勉強をしましょうと私は勧めるんです。「裸一貫から商売を立ち上げて、ずっと続いているのを『老舗』っていうんです。老舗の勉強をすれば必ず生きる基本が分かるから、それを自分なりに応用していくといいですよ」と。

私は『田中真澄のパワー日めくり』というのを出していて、そこにきょうガッツさんからご紹介いただいた、「一引き、二運、三力」など、私がこれまで講演でご紹介してきた話のエッセンスを31の言葉に凝縮して紹介しているんです。そこに「老舗の三原則」というのも載せていましてね。

「目立たず 無理せず 背伸びせず 事業は永続してこそ本物」
これを実践してもらえたら、どんなに人生を楽に生きられるかと私は思うんです。


(本記事は月刊『致知』2021年9月号 特集「言葉は力」より一部を抜粋・編集したものです)

田中真澄さんも、弊誌『致知』をご愛読いただいています。創刊45周年を祝しお寄せいただいた推薦コメントはこちら↓↓◎

『致知』創刊から1年後の昭和54年、43歳で日経を辞めた私は以後、社会教育家として44年間、自営を貫いてまいりました。 
 その間の厳しい試練に耐えることができましたのは、常に私の傍に『致知』があったからです。毎月届く『致知』の記事から、どれだけ多くの生きる勇気を与えられたか、計り知れません。『致知』なくして私の後半の人生は考えられません。それを思いますと、『致知』と共に生きることができた好運を、私は天に感謝するばかりです。

 

ガッツ石松がっつ・いしまつ)――本名・鈴木有二。昭和24年栃木県生まれ。40年中学卒業と同時に上京、プロボクサーを志しヨネクラジムに入門。41年プロボクシングデビュー。20余もの職を転々としながら練習を続け、49年WBC世界ライト級チャンピオンとなり、以後5回防衛。53年引退し、芸能界に転身。平成8年衆議院議員選挙に出馬。20年広島国際学院大学現代社会学部客員教授。著書に『神様ありがとう俺の人生』(桜の花出版)『劣勢からの逆転力ガッツの知恵』(青土社)など。

田中真澄(たなか・ますみ)――昭和11年福岡県生まれ。34年東京教育大学(現・筑波大学)卒業後、日本経済新聞社入社。日経マグロウヒル社(現・日経BP社)を経て、54年独立。ヒューマンスキル研究所を設立。社会教育家として講演・執筆活動を展開。著書に『百年以上続いている会社はどこが違うのか?』(致知出版社)『朝礼・会議で使える田中真澄の61話』(ぱるす出版)など多数。

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