伝説の外資トップが『葉隠(はがくれ)』に学んだ〝不遇な時代〟の過ごし方

「これまでのビジネス人生の中で私は2回ほど降格人事に遭ったことがあります」――。日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどで経営に深く携わり、伝説の外資トップと称される新将命(あたらし・まさみ)氏。一見順風満帆のキャリアに実は〝不遇の時代〟があり、その時に心の支えになったのが「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり」で有名な古典『葉隠(はがくれ)』だったといいます。実体験をもとに、社会で逆境にめげず生きるための心得を説いていただきました。

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不遇な時こそ笑顔で働け

……首尾よく召(め)し仕(つか)はるる時は、誰も進みて奉公(ほうこう)をするなり。下目な役になり候時、気味をくさらかす事あり。これが悪きなり。もったいなき事なり。ただいまけっこうの役つかまつる者に、水汲め、飯炊けと仰せられ候時、すこしも苦にせず、一段進みてするがよしと我は覚えたり。……『葉隠』

(人は順調に召し使われている時には、誰でも進んで奉公するものだ。ところが、卑俗な役目になった時には腐ってしまうことがある。これがよくない。もったいないことである。
 現在けっこうな役目に就いている者であっても、水を汲め、飯を炊けと仰せつけられた時には、少しもそれを苦とせず、むしろ一歩進んで積極的にやるのがよいと私は考えている)

これまでのビジネス人生の中で私は2回ほど降格人事に遭ったことがあります。

例えば、大学卒業後に入社したシェル石油(現・出光昭和シェル石油)では、同期トップの34歳で課長になったものの、上司と衝突したことによって平社員へ降格となりました。

しかし、私は降格されたからこそ、朝は誰よりも早く出社して夜は遅くまで会社に残り、いつも以上に一所懸命、笑顔で嬉々として働いたのです。そうすると、自ずと周囲とのコミュニケーションもよくなり、結局半年も経たないうちに課長に再昇格できました。

降格になると、得てして周りは

「あいつはさぞガッカリしているだろう。腐ってしまって仕事も手抜きをするだろう」

という無責任な好奇心と意地悪な目で自分を見るようになりますが、その期待をよい意味で裏切ることで道は開けていくのです。周囲の人たちが最初は抱いていた好奇心が段々と尊敬に変わります。しょげ返っているだけでは状況は悪化するだけです。

『葉隠』の一節は、周囲を変えるにはまず自分が変わることの大切さを教えてくれています。


(本記事は月刊『致知』2021年3月号 特集「名作に心を洗う」より一部を抜粋・編集したものです)


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◇新将命(あたらし・まさみ)
昭和11年東京生まれ。34年早稲田大学卒業後、シェル石油(現・出光昭和シェル石油)入社。日本コカ・コーラ勤務を経て、57年ジョンソン・エンド・ジョンソン社長就任。平成2年国際ビジネスブレイン設立。これまでグローバル・エクセレント・カンパニー6社のうち3社で社長職、1社で副社長職を務める。著書に『新将命の社長の教科書』『伝説の外資トップが感動した「葉隠」の箴言』(致知出版社)など多数。

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